フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領(75歳)は、2016年に就任以来、傍若無人な発言や態度を繰り返すことから、フィリピンのトランプと揶揄されていた。そして、本家退陣後もその姿勢は変わらず、今度は米国に対して、駐留米軍や合同軍事演習に関わる費用を支払えと言い出している。
2月13日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「ドゥテルテ大統領、フィリピンとの地位協定維持のために米国側に費用弁済を要求」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2月12日、締結後20年余り続く「訪問米軍に関する地位協定(VFA、注後記)」の維持に関わる費用を米国側に支払うよう求めたいと発言した。
フィリピン国軍兵士を前にして演説したもので、同大統領は、VFAに基づいて合同軍事演習等を行ってきているが、それに伴い応分の負担が必要だと言及した。...
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2月13日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「ドゥテルテ大統領、フィリピンとの地位協定維持のために米国側に費用弁済を要求」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2月12日、締結後20年余り続く「訪問米軍に関する地位協定(VFA、注後記)」の維持に関わる費用を米国側に支払うよう求めたいと発言した。
フィリピン国軍兵士を前にして演説したもので、同大統領は、VFAに基づいて合同軍事演習等を行ってきているが、それに伴い応分の負担が必要だと言及した。
同大統領によると、例えば南シナ海における緊張が高まって、米中間で衝突が発生した場合、“VFAに基づいてフィリピン国軍も戦闘に巻き込まれる訳で、当然その補償を求めることになる”という。
ただ、同大統領は、金額含めてどういった費用の補填になるのか詳細には触れていない。
一方、『フィリピン・デイリィ・インクワイアラー』紙(1985年創刊)によると、同大統領発言の前日、米新政権とフィリピン高官が安全保障上の協力について協議しており、その際デルフィン・ロレンザーナ国防相(72歳)が、今夏に米比合同軍事演習の再開を希望している旨発言したという。
同大統領は約1年前、VFAの破棄を言い出していたが、その後この発言を撤回している。
同大統領はしばしば、米国との同盟関係に疑問を投げかける発言をしているが、実際上は、フィリピン国軍は米軍と協調して、南シナ海における中国側の勢力拡大活動に抵抗してきている。
なお、フィリピン外務省は2月12日、中国に対して60通の外交文書を出状した旨公式ツイッターアカウントに投稿している。
この中には、中国が直近で法制化した中国海警法(南シナ海において、海警艦が外国船舶に対して武器使用を認める法律)について抗議する1月27日付外交文書も含まれている。
同日付『ロイター通信』:「ドゥテルテ大統領、地位協定を維持したいなら“応分の支払いが必要”と米国に要求」
ドゥテルテ大統領は、熱血漢のナショナリストで、これまでもしばしば米国との長年の同盟関係に不満を募らせてきており、昨年には米国側が、同大統領の盟友であるフィリピン国会議員に対して米国入国ビザを発給しないとしたことに腹を立てて、VFAを破棄すると言い出している。
この発言は後に撤回されたが、同大統領は今度、VFAを維持したければ、米国は応分の費用負担をすべきだと発言したものである。
しかし、一方でフィリピン国防省は、貧弱な国軍にとって、米軍の支援に基づく軍事力向上は願ってもないため、VFAの継続を希望している。
そして同省は2月11日、バイデン新政権下で初の国防会議を開催し、南シナ海において勢力を拡大してきている中国に対抗するために協働していくことを再確認している。
(注)VFA:米国とフィリピンの間で1998年に締結された地位協定の一つ。米兵のフィリピン国内での法的地位について定め、合同軍事演習や有事の際に米軍の迅速な援助を可能としている。協定の締結後に米兵が罪を犯し、フィリピン側が容疑者の拘束を求めたものの拒否された事件があり、フィリピン国内には不平等だとの批判も存在する。なお、同協定は、2020年8月に失効する見込みとなっていたが、同年6月、当初協定破棄を発表していたドゥテルテ大統領が、外交関係の多様化を図ることを理由として、破棄を撤回している。
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