フランス上院で16日、審議中の法案に対して、大統領選挙における期日前投票導入に関する修正案が追加された。投票日前日に提出された政府修正案は、野党が猛反発し、十分な議論の時間が与えられていないとして上院で否決された。
仏金融紙
『レゼコー』によると、上院で審議中の大統領選挙の運営方法に関する法案に、法案投票直前になって新規条項が加えられた。追加された条項は、「選挙の前の週に政令で定められた日」に、電子投票機を利用して事前投票を行うことを可能にするという内容のもの。最終的には反対321票、賛成23票で否決され、賛成票は与党である共和国前進党の議員のみであった。
仏日刊紙『ルフィガロ』によると、カスタネール内務相は16日、修正案は民主主義の近代化をもたらすものだと支持を表明し、上院は現状維持ばかりを好むと批判した。...
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仏金融紙
『レゼコー』によると、上院で審議中の大統領選挙の運営方法に関する法案に、法案投票直前になって新規条項が加えられた。追加された条項は、「選挙の前の週に政令で定められた日」に、電子投票機を利用して事前投票を行うことを可能にするという内容のもの。最終的には反対321票、賛成23票で否決され、賛成票は与党である共和国前進党の議員のみであった。
仏日刊紙『ルフィガロ』によると、カスタネール内務相は16日、修正案は民主主義の近代化をもたらすものだと支持を表明し、上院は現状維持ばかりを好むと批判した。アメリカ、フィンランド、デンマーク、ポルトガルがこの方法を導入しており、フランスも追従すべきだと指摘した。特に投票率を高める効果が期待されている。2020年に導入した韓国ではコロナ禍でも過去最高の得票率を記録している。一方、フランスでは、同じくコロナ禍の中で実施された2020年3月の市議会選挙で、2014年よりも20ポイント近く多い56%という異例の棄権率を記録した。
しかし、フランスでは期日前投票に対する懐疑的な意見を持つ政治家や専門家が多い。ソルボンヌ大学で公法を教えているポール・カッシア教授は、『ルフィガロ』に対し、この修正案は正当性に欠けているとコメントしている。「フランス人は年に1~3回しか投票しておらず、代理人投票制度がすでに存在する。民主主義の最も基本的な行為を安易なものにしようとすることは、その価値を矮小化することになるだろう」と警告している。また、投票直前の最後の週に議論や意見が具体化することは周知の事実であり、当日投票と1週間前に投票する人との間では情報の差が発生するため、投票そのものの真実さが強く問われることになると指摘している。
さらに、「投票機」の利用については、不信感も大きい。2008年、フランスの約60の都市で利用されていた投票機をめぐり、ハッキングのリスクが高く、不正行為の疑いが絶えないという理由で、電子投票機を新しく購入することが禁止された。2017年には、フランス政府は投票機の利用を全面的に禁止することも考えていた。
こうした背景があるにもかかわらず、政府が突如全国的な投票機の設置を提案したことで、不正選挙を容易にしようとするマクロン政権の政治的策略なのではないかとする声が多く上がっている。
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