既報どおり、ジョー・バイデン大統領(78歳)は、アジア政策においてはもっぱら、中国の軍事力及び経済力の台頭を阻止することに注力すると明言している。これに対して中国は、米新政権の方針に反発するかのように、米国が同盟国・友好国として支持する日本の尖閣諸島領海内や台湾の防空識別圏(ADIZ、注後記)に武装海警艦や戦闘機を差し向けている。そして、台湾はこの圧力に屈しないとばかり、度重なる戦闘機の侵入に対してスクランブル発進(対領空侵犯措置)を実行して警告している。
2月20日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「台湾、中国軍戦闘機による南シナ海の台湾のADIZ侵入に対してスクランブル発進」
台湾国防部(省に相当)は2月20日、中国軍戦闘機及び爆撃機十数機による度重なるADIZ侵入に対して警告するため、2月19日、20日と連日スクランブル発進を実行したと発表した。
中国は、台湾を自国の領土だと主張していて、直近数ヵ月の間、台湾のADIZ、主として南シナ海北端の東沙諸島(プラタス、台湾が実効支配)上空で航空機侵犯を繰り返している。...
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2月20日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「台湾、中国軍戦闘機による南シナ海の台湾のADIZ侵入に対してスクランブル発進」
台湾国防部(省に相当)は2月20日、中国軍戦闘機及び爆撃機十数機による度重なるADIZ侵入に対して警告するため、2月19日、20日と連日スクランブル発進を実行したと発表した。
中国は、台湾を自国の領土だと主張していて、直近数ヵ月の間、台湾のADIZ、主として南シナ海北端の東沙諸島(プラタス、台湾が実効支配)上空で航空機侵犯を繰り返している。
台湾国防部によると、2月19日に東沙諸島上空に9機の戦闘機が飛来し、2月20日には11機(戦闘機8機、核爆弾搭載の大型爆撃機H-6が2機、対潜攻撃機1機)が領空侵入してきたという。
台湾空軍機から中国軍戦闘機に対して、ADIZから速やかに退去するよう警告し、同時に非常事態に備えてミサイルを配備したとする。
中国側は、直近2日間の活動に対して何らコメントを出していないが、以前に同様の領空侵犯とされる行為を行った際は、台湾と米国の“共謀”行動及び中国主権を擁護するための対抗措置だと表明していた。
一方、米国務省の報道官は2月20日、中国に対して、“台湾に対する軍事的、外交及び経済的圧力をかけるのを止めるよう”繰り返し呼びかけ、むしろ“民主的に選出された台湾代表と意味ある対話を行うべき”だと表明している。
なお、台湾政府は2月19日、中国の脅威に備えて軍隊の最新鋭化や諜報能力強化を図るため、米国で訓練を受けた人物を国防部長官に任命する等、安全保障部門の高官を再編成したことを明らかにした。
(注)ADIZ:各国が防空上の必要性から領空とは別に設定した空域のこと。ここでは、常時防空監視が行われ、(通常は)強制力はないが、あらかじめ飛行計画を提出せず、ここに進入する航空機には識別と証明を求める。更に、領空侵犯の危険がある航空機に対しては、軍事的予防措置などを行使することもある。
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