オーストラリア政府は4日、13億豪ドル(約1079億円)の資金援助を含む10年計画を発表した。これは、電池や太陽電池のような価値の高い製品や、鉱業をより安全で効率的なものにする技術や機器の成長を奨励することを目的としている。
オーストラリア政府が昨年10月に発表した「近代製造業戦略」は、製造業の変革を促進することを目的としており、米国と日本が、多くの製造業に不可欠な鉱物の中国への依存度を減らそうとしていることを背景にしている。...
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オーストラリア政府は4日、13億豪ドル(約1079億円)の資金援助を含む10年計画を発表した。これは、電池や太陽電池のような価値の高い製品や、鉱業をより安全で効率的なものにする技術や機器の成長を奨励することを目的としている。
オーストラリア政府が昨年10月に発表した「近代製造業戦略」は、製造業の変革を促進することを目的としており、米国と日本が、多くの製造業に不可欠な鉱物の中国への依存度を減らそうとしていることを背景にしている。オーストラリアは、電池の主要部品であるリチウムの輸出国であり、レアアースの主要な供給国でもある。中国政府はレアアース政策を見直しており、国家安全保障上の脅威となる国や企業への精製技術の輸出を禁止する兆候が表れているという。
モリソン首相は、記者会見で、「オーストラリアが世界中のサプライチェーンに確実に組み込まれるようにすることは、オーストラリアにとって主権的かつ戦略的な優先事項である」と述べた。「なぜなら、レアアースや重要鉱物は、将来的に私たちが頼りにすることになるテクノロジーの根幹となるものだからだ。」と語った。
豪メディア『ストックヘッド』によると、10 年計画では、オーストラリアは豊かな鉱物資源を活用して、製造業の雇用と経済機会を増やすことを目指しているという。そのためにも、オーストラリアを世界の国々への資源供給国として最先端テクノロジー製品やサービスを商業化および製造するためのグローバルセンターへと成長させようとしている。
モリソン首相は、今週発表された2020年第4四半期の国内総生産(GDP)が3.1%成長したことは、オーストラリア経済が回復していることを示すものであり、製造業と雇用は国家経済回復計画の中心となるだろうと述べている。近代製造業戦略は、オーストラリアを資源分野の世界的リーダーとしてだけでなく、使用されるテクノロジーの製造や、原材料を付加価値のある製品に変えることにも貢献していくと述べて、「本日の資金調達は、産業界からの投資を促進し、オーストラリアの鉱物資源における製造能力と競争力の構築を支援するとともに、世界的に成長している流れに便乗することができる。」と語った。
米『エポックタイムズ』によると、レアアースや重要鉱物は、光ファイバーケーブル、スマートフォン、磁石、軍用機器などのハイテク製品の製造に欠かせないものであり、オーストラリアは、ルチル(チタンの原料)、ジルコン(ジルコニウムの原料)、タンタルなど、レアアースや重要鉱物の埋蔵量が世界最大級の国であるという。また、アンチモン、コバルト、リチウム、マンガン鉱石、ニオブ、タングステン、バナジウムの産出量でも世界5位以内にランクインしている。
しかし、世界的には中国が世界のサプライチェーンの63%以上を支配していると推定されている。中国以外の国で採掘された鉱物も、低コストで処理施設が多い中国に、加工のために送られていることが多い。近年、地政学的な紛争により、中国政府がサプライチェーンを利用してライバル国に対抗するのではないかという懸念が持たれている。これにより、民主主義国家は中国共産党政府から独立した独自のサプライチェーンを構築しようとしている。
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