既報どおり、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題収束の目処が立たないばかりか、東京オリンピック大会関係者のスキャンダル続発もあって、多くの人が今夏の大会開催に反対している。そうした中、北朝鮮が図ったように挑発的な弾道ミサイルを発射した当日、大会開催を象徴する聖火リレーがスタートしたと欧米メディアが大々的に伝えている。
3月25日付
『ロイター通信』:「北朝鮮がミサイル発射する中、聖火リレーが福島県をスタート」
東京大会開催に向けての聖火リレーが3月25日、最初の出発点の福島県から始まった。
そして同日早朝、その祝典に水を差すかのように、北朝鮮が少なくとも2発の弾道ミサイルを発射している。
しかし、かかる挑発は無関係とばかりに、東京大会組織委員会の橋本聖子新会長(56歳)が同日朝の出発式で、“世界中が新感染症に喘いでいるが、聖火は静かにしかし力強く皆の思いを繋いでいく”とアピールした。...
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3月25日付
『ロイター通信』:「北朝鮮がミサイル発射する中、聖火リレーが福島県をスタート」
東京大会開催に向けての聖火リレーが3月25日、最初の出発点の福島県から始まった。
そして同日早朝、その祝典に水を差すかのように、北朝鮮が少なくとも2発の弾道ミサイルを発射している。
しかし、かかる挑発は無関係とばかりに、東京大会組織委員会の橋本聖子新会長(56歳)が同日朝の出発式で、“世界中が新感染症に喘いでいるが、聖火は静かにしかし力強く皆の思いを繋いでいく”とアピールした。
また、菅義偉首相(72歳)も、北朝鮮のミサイル発射の事態を承知した上で、“新感染症の感染防止に最大限の努力を継続していき、東京大会を安全に開催できるよう、東京都及び国際オリンピック委員会(IOC)と協力していく”との決意を表した。
当該聖火リレーは、2011年の東日本大震災で最も深刻な被害を受けた福島県を皮切りに、約1万人のランナーが47都道府県を繋いでいき、7月23日の開会式当日に新国立競技場に到着することになっている。
ただ、依然COVID-19感染問題が収束していない中での聖火リレーであるので、沿道での応援等はできるだけ自粛するよう求められている。
リレーの出発地であるJビレッジ(1997年開設の、サッカー等を対象としたスポーツトレーニング施設)では、僅か数十人の市民が、密とならないように離れた場所から拍手等で応援していた。
また、出発式に臨んだ福島県の内堀雅雄知事(56歳)も、“復興は着々と進んでいる”としながらも、“まだ多くの方が自宅に戻れず、また、街の生活等を元に戻す上で依然多くの困難な事態がある”とコメントしている。
日本政府は、被災地域の復興に3,000億ドル(約32兆4千億円)近くを投じているが、地元民の多くは、放射能被害で依然立ち入り禁止区域があること、かつて住んだ場所に戻れずに既に別の場所での定住を余儀なくされてしまったこと、更に、爆発事故を起こした原発の廃炉に1世紀、数十億ドル(数千億円)かかること等に大きな不安を感じている。
従って、地元民の中には、復興五輪などとても考えられないとする人も多い。
大会関係者も政府も、何としてでも今夏に開催すると前のめりになっているが、医療従事者は、大会を開催することでCOVID-19感染が拡大して医療体制がひっ迫すると反対を表明し、また、専門家も感染再爆発が起こることを懸念している。
なお、COVID-19ワクチン接種について、日本は主要7ヵ国の中で接種率が最も低く、現在の接種者は、主に医療従事者を中心とした僅か70万人に留まっている。
同日付『AP通信』:「121日間に及ぶ聖火リレーがスタート」
今夏の東京大会開催に向けて、121日間に及ぶ聖火リレーが3月25日、福島県からスタートした。
同地は、2011年東日本大震災に伴う津波、原発事故等に遭って、約1万8千人が犠牲となっている。
復興五輪と銘打っているため、福島県が出発地に選ばれたが、COVID-19感染拡大を防止するため、式典は一般に公開されず、限られた人数で行われた。
大会関係者やIOCは、聖火リレーによって大会開催への機運が高まることを切望しているが、目下の世論調査では、COVID-19感染問題収束の目処が立っていないことから、約80%の人が大会の中止、あるいは再延期を望んでいる。
なお、1年前に大会開催が今夏に延期された際、費用削減のために聖火リレーの取り止め案が持ち出された。
しかし、大会トップ・スポンサー企業であるコカ・コーラとトヨタがこれを望まず、予定どおり実施されることになっている。
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