バイデン政権は、前政権の無謀と評価された政策からの転換を図っていて、そのひとつであるパリ協定(気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)復帰を宣言している。そこで、貿易・人権・領有権問題等で対峙する中国とも連携することなしに同対策の効果は期待できないとして、ジョン・ケリー気候変動担当特使(77歳、元国務長官)を派遣して、4月下旬に開催を主導する気候変動対策サミットのための下準備をさせている。
4月9日付
『AP通信』:「ケリー大統領特使、バングラデシュを訪問して気候変動対策協議」
ジョン・ケリー気候変動担当大統領特使は4月9日、パリ協定復帰後の対策の一環で、訪問先のバングラデシュにおいて、ジョー・バイデン大統領(78歳)はバングラデシュと協同して気候変動対策に取り組んでいく意向である旨表明した。
同特使は、前政権が2017年に離脱を表明したパリ協定に復帰したことを踏まえて、バングラデシュの前にアラブ首長国連邦(UAE)、インドを歴訪して、パリ協定における協力体制構築を訴えて回っている。...
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4月9日付
『AP通信』:「ケリー大統領特使、バングラデシュを訪問して気候変動対策協議」
ジョン・ケリー気候変動担当大統領特使は4月9日、パリ協定復帰後の対策の一環で、訪問先のバングラデシュにおいて、ジョー・バイデン大統領(78歳)はバングラデシュと協同して気候変動対策に取り組んでいく意向である旨表明した。
同特使は、前政権が2017年に離脱を表明したパリ協定に復帰したことを踏まえて、バングラデシュの前にアラブ首長国連邦(UAE)、インドを歴訪して、パリ協定における協力体制構築を訴えて回っている。
同特使は記者団に対して、“地球温暖化問題は、ただひとつの国だけで解決できるものではない”と強調した。
更に、“我が国は、技術・研究・開発・資金提供を通じて、この問題を一緒に解決していく心構えである”とも付言した。
一方、バングラデシュのA.K.アブドゥル・モメン外相(73歳)からは、隣国ミャンマーから逃げてきている110万人のロヒンギャ難民が、同国の広大な森林を伐採して焼き畑農業を行っていて困っているとして、彼らがミャンマーに帰れるよう米国の支援を要請したいとの発言があった。
なお、国務省発表によると、ケリー特使はインドのナレンドラ・モディ首相(70歳)とも会談し、気候変動対策の一環で、クリーンエネルギー開発促進や、エネルギー備蓄設備、産業界の脱炭素政策、また、持続可能な都市化や農業事業支援について協議したという。
バイデン大統領は、40ヵ国の首脳に声を掛けて、4月22、23日にオンラインでの気候変動対策サミット開催を主導している。
4月11日付『アキシオス』オンラインニュース(2017年設立):「ジョン・ケリー気候変動担当特使、バイデン大統領主導の気候変動対策サミット開催に先駆けて訪中意向」
『ワシントン・ポスト』紙は4月10日、ジョン・ケリー気候変動担当特使が来週、気候変動対策協議のために訪中する意向であると報じた。
中国は世界最大の二酸化炭素排出国であり、米国は2位となっていて、気候変動対策を効果的に進めるためには、両国の協力が必須と考えられるからである。
今のところ国務省報道官は、“ケリー特使の訪中予定は何も決まっていない”としているが、同時に、同特使が就任以来、“解振貨(シィエ・チェンホア、71歳)気候変動担当トップと連絡を取り続けている”と言及した。
両氏は、2015年のパリ協定締結の際、米・中を代表して深く関わっている。
そしてこの程、両氏とも米・中各々の気候変動対策担当トップに就任している。
従って、国務省報道官は、“両氏間の協議を通じて、気候変動対策進捗が図られることに期待している”とも表明している。
なお、中国は昨年、2030年までに二酸化炭素排出量の削減の道筋を付け、2060年までにはカーボンニュートラル(注後記)を達成すると標榜している。
一方、米国は、4月22、23日にバイデン大統領主導で開催される気候変動対策サミットまでに、2030年の二酸化炭素排出削減目標を公表する予定だと言われている。
(注)カーボンニュートラル:削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること、または他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態(排出量を実質ゼロにすること)。
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