イタリアのドラギ首相は、新型コロナウイルスの流行がまだ収まらない状況にありながらも、26日から規制を緩和することを発表した。厳格な対策よりも経済回復を優先させるべきだという、市民や右派からの圧力に応えて政治的な選択を行ったものと見られている。
『ロイター通信』や仏紙
『ジュルナール・デュ・ディマンシュ』によると、イタリアのドラギ首相は16日の定例記者会見で、当初5月初旬に予定されていたロックダウン措置の緩和を、多くの地域で4月26日に開始すると発表した。
首相は、「劇的ではないにせよ、データ上改善が見られることから、政府は合理的なリスクを取る」と述べた。ただし、「この合理的なリスクを成功させるためには、人々や組織がルールに則って行動することが原則だ」とくぎを刺した。
イタリアは26日より、15地域をイエローゾーン(中程度のリスク)に定め、レストランや学校の再開を認める。22時から朝5時までの外出禁止令は維持される。また、これらの地域間の移動も認められる。
バーやレストランでは、昼食や夕食時にテラス席でのサービスが再開できるようになり、映画館や劇場は予約制とし、定員の50%、最大500人まで受け入れ可能となる。さらに、5月中旬から6月にかけて、室内サービスやスポーツジムの営業再開などが予定されている。
仏紙『レゼコー』によると、死者数は1日約300人にのぼるが、新規感染者数は15%減少しており、1日約12,000件となっている。停滞していたワクチン接種キャンペーンも、ようやくスピードを上げ始め、80歳以上のほとんどの人を含む、人口の6分の1がすでに予防接種を受けた。1日の接種回数は35万回を超え、政府の目標である50万回に近づいている。7月までに、第1四半期の3倍以上となる予防接種5,400万回分が届く予定で、うまくいけば、秋には集団免疫を獲得できるのではないかと、予防接種キャンペーンの責任者たちは期待を持ち始めている。
『レゼコー』は、今回の発表は、レストランのオーナー、文化や芸術関係の人々などによるデモが多発し、社会的緊張の高まりを受けて政府が対応したものだと伝えている。政府はまた、右派からも経済回復を優先させるべきだという圧力を受けていた。
今回の発表は、規制に疲れ果てた国民には歓迎されたが、満場一致で支持されたわけではない。多くのウイルス学者は時期尚早と考えており、テラスを持たない多くのレストランオーナーは差別を受けていると感じている。『レゼコー』は、ドラギ首相の賭けは確かに計算されたものだが、イタリア人が三密回避などのバリアジェスチャーを尊重することで緩和が継続することに賭けているため、リスクもあると報じている。
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