欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、ワクチンを接種したアメリカ人に今後数ヶ月のうちに「無条件」で開放することを発表した。観光産業への依存が高い欧州のいくつかの国では、国境閉鎖により壊滅的な打撃を受けており、観光シーズンに向けて受け入れ再開を急いでいる。
仏金融紙
『ラトリビューヌ』によると、欧州委員会委員長は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、米国でのワクチン接種が大きく進展していることを指摘し、米国で使用されている3つのワクチンは欧州医薬品庁(EMA)が承認しているものでもあることから、「27の欧州加盟国は、EMAが承認したワクチンを接種したすべての人を無条件に受け入れる」と断言した。米国では、モデルナ(米)、ファイザー(米)とビヨンテック(独)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(米)が開発した3つのワクチンが承認されており、6月中旬までに、成人人口の70%がワクチン接種を受ける予定だ。
欧州委員会委員長は、受け入れ再開の具体的なスケジュールを明らかにしなかったが、ニューヨーク・タイムズ紙は、世界中でワクチン接種が盛んになる今年の夏には新しいルールが導入される可能性が高いと報じている。
同委員長は、渡航の再開については「疫学的な状況によるが、米国では状況が改善しつつあり、EUでもそうなることを期待している」と述べた。
観光産業により大きく依存している欧州のいくつかの国では、パンデミックのために観光客に対し国境が閉鎖されたことで、壊滅的な打撃を受けている。仏金融紙『レゼコー』によると、欧州委員会は3月中旬、観光業の急速な復興を目指す南欧諸国からの要請を受けて、「デジタル・グリーン証明書」を7月から運用開始することを発表している。証明書は、ヨーロッパに住んでいる人や旅行者がワクチンを接種したこと、または陰性反応であったこと、あるいは新型コロナウイルスの抗体を持っていることを証明するためのもので、欧州内で自由な移動を促進することを目的としている。
仏ニュース専門放送局『フランス24』によると、欧州諸国の中でも特にギリシャは、観光業に大きく依存しており、新型コロナウイルスの新規感染者が増加しているにもかかわらず、国境を徐々に開放することを決定した。2020年には活動が80%減少した国の重要な産業である観光を救うための戦略的な選択だと言える。ギリシャでは今、観光シーズンが訪れる前に、最も観光客に人気の高い小さな島々に住む住民へのワクチン接種を優先的に進めているという。
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