英国は2年前、2030年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止する決定をした。これに追従するかのように、英国を象徴するロンドンタクシーを傘下に収める中国大手自動車メーカー“吉利汽車(キリー、1986年設立)”が、同タクシーの他、自家用・商用車EV化市場にも乗り出す方針を掲げている。
1月23日付
『ロイター通信』は、「キリー、ロンドンタクシーを一大EVメーカーに押し上げる方針」と題して、ブラックキャブで親しまれているロンドンタクシーを傘下に収める中国大手自動車メーカーが、タクシーはもとより他の自家用・商用車EV化市場にも乗り出す方針を打ち出したと報じている。
中国大手自動車メーカーのキリーは2013年に、ブラックキャブで親しまれているロンドンタクシー(LTC、1919年前身設立)の製造を含めた経営権を5億ポンド(約800億円)で取得して傘下に収めた。...
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1月23日付
『ロイター通信』は、「キリー、ロンドンタクシーを一大EVメーカーに押し上げる方針」と題して、ブラックキャブで親しまれているロンドンタクシーを傘下に収める中国大手自動車メーカーが、タクシーはもとより他の自家用・商用車EV化市場にも乗り出す方針を打ち出したと報じている。
中国大手自動車メーカーのキリーは2013年に、ブラックキャブで親しまれているロンドンタクシー(LTC、1919年前身設立)の製造を含めた経営権を5億ポンド(約800億円)で取得して傘下に収めた。
そしてこの程、同社の幹部が『ロイター通信』の独占インタビューに答えて、タクシーの他自家用・商用車も含め英国における電気自動車製造の一大企業に押し上げるべく、巨額投資を考えている旨語った。
LTCは2017年、吉利汽車の意向でブラックキャブのEV化の一環でロンドン電気自動車会社(LEVC)に社名を変更しているが、LEVCとしては電気自動車製造に加えてメインテナンス等も含めたサービス事業も拡大するとしている。
LEVCのアレックス・ナン最高経営責任者(CEO)は、“英国における一大EVメーカーとするため、技術面及びインフラ面に追加投資して生産体制を拡充していく意向だ”とコメントしている。
ただ、同CEOは、具体的な追加投資額は後日発表するとして今回は明言を避けた。
LEVCはこれまで、1台当たり6万6千ポンド(8万1,500ドル、約1,056万円)かけてハイブリッド型(電気・ガソリンの二つの動力源)のブラックキャブを製造していて、両方の動力を併せて364マイル(約580キロメートル)走行可能となっている。
ただ、同社も新型コロナウィルス感染爆発の影響を受けて、昨年10月には140人の人員削減を強いられていた。
それでもキリーは2021年、20億ポンド(約3,200億円)を投じて英国スポーツカーメーカーのロータス(1952年設立)の経営権を取得し、英国及び中国におけるスポーツカー、スポーツ用多目的車(SUV)、セダンの生産拡大を図っている。
そこでナンCEOは、LEVCも同様の拡大戦略を取る意向であるとしている。
しかし、英国の電気自動車産業は先週、リチウムイオン電池製造の新興企業ブリティッシュボルト(2019年設立)が会社清算を発表したことでショックを受けている。
ただ、LEVCのクリス・アレン最高執行責任者(COO)は、“英国での電気自動車生産・販売環境は、世界的に見ても競争力があるということを示していきたい”と述べている。
同COOは、“5年以内に電気自動車生産・販売体制の確立を目指しているが、今後2年間の時間軸については、顧客動向をよく見極めた上で具体的計画を策定・実行していく必要がある”としている。
なお、LEVCは現在、年間3千台のタクシー生産能力を持っていて、アレンCOOは、市場動向次第ですぐに年間2万台の生産規模に拡大できるとしている。
大手自動車メーカーは平均年間30万台の生産体制を有しているが、同COOは、中国内でのロータス製スポーツカーの生産注力も含めて、“LEVCの世界市場での認知度を高めていくべく、生産・販売体制を拡充していく”と付言した。
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南米のブラジルとアルゼンチンでは、数年前から通貨の統一が検討されており、今週の中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)サミットにあわせて正式に発表される見込みだという。2国間から始まり、南米諸国への拡大でユーロ圏に次ぐ通貨圏の形成が期待されているという。
1月23日付
『ロイター通信』:「ブラジルとアルゼンチンが共通通貨協議」:
ブラジルとアルゼンチンは、共通通貨の開発を含む経済統合を目指しており、ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は、アルゼンチンのウェブサイト「ペルフィル」掲載の共同文書で、規則の簡素化と近代化、通貨使用奨励の方針について述べている。
共通通貨案は昨年のブラジルの財務相と秘書官の文書で出されたもので、当時遊説中のルラ大統領もこれに言及していた。...
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1月23日付
『ロイター通信』:「ブラジルとアルゼンチンが共通通貨協議」:
ブラジルとアルゼンチンは、共通通貨の開発を含む経済統合を目指しており、ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は、アルゼンチンのウェブサイト「ペルフィル」掲載の共同文書で、規則の簡素化と近代化、通貨使用奨励の方針について述べている。
共通通貨案は昨年のブラジルの財務相と秘書官の文書で出されたもので、当時遊説中のルラ大統領もこれに言及していた。
ルラ氏は就任後最初の遊説先に慣例となっている最大貿易相手国アルゼンチンを選んだ。ボルソナロ前大統領時代から4年緊張状態が続いていたが、今回の訪問は、ブラジルが2019年にボルソナロ政権のもとキューバとベネズエラが参加していることを理由として脱退したラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)への回帰ともなる。
両国は、関係樹立の必要性や、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイからなるする南米南部共同市場(メルコスール)の強化を強調している。
今週ブエノス・アイレスで開催されるCELACサミットで協議される予定で、ブラジルは通貨統一により地域の貿易を促進し、米ドルへの依存を減らすことを目指しているとされる。首脳のアルゼンチン訪問時に正式に発表されるとみられている。
統一通貨案については2019年から両国の間で協議が重ねられてきたが、ブラジルの中央銀行の反対に合っていた。二国間から後にラテンアメリカ諸国への統一拡大を狙う。
22日付米『フィナンシャル・タイムズ』:「ブラジルとアルゼンチンが共通通貨への準備開始」:
今週、南米の2大経済大国が、共通通貨に向けた準備開始を発表するとみられる。共通通過にはランテアメリカ諸国が加わり、世界第二位の通貨同盟の形成が期待されている。
南米全体が加われば、世界のGDPの5%にあたる通貨統合となる。世界最大のユーロ圏はドル換算で世界のGDPの14%を占める。他の共同通貨圏では、アフリカ諸国で使用されるCFAフランや東カリブ・ドルがあるが、これらは世界経済でみればかなり小規模だ。統合の成果が実現されるのはずっと先となる。欧州ではユーロの形成まで35年を要した。
両国は過去数年通貨について協議をしてきたが、中央銀行の反対で失敗に終わった。しかし現政権が共に左翼の大統領であるため、政治的な支持を得やすい背景となった。
両国間の貿易は、2022年には前年同時期比で21%増加。パラグアイやウルグアイが参加する南米南部共同市場(メルコスール)を主導する存在となっている。
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