厚生労働省が1月初めに公表した、昨年11月の「毎月勤労統計」によると、「実質賃金」が前年(2021年)同月より3.8%も減少した。消費増税の影響を受けた2014年5月以来8年半ぶりの大幅な落ち込みとなっている。岸田政権や経団連等の賃金アップ要請もあって、多くの大企業がインフレをカバーできるような賃上げを表明しているが、全労働人口の4割近くを占める非正規雇用労働者の実質賃金アップは、インフレに遠く及ばないと欧米メディアが報道している。
1月20日付
『ロイター通信』は、「ある日本の日雇い労働者の賃金が直近二十年で初めてアップするも、マクドナルド・ハンバーガーの値上げに追い付かず」と題して、ある日雇い労働者のインタビューを基に、日本の実質賃金の現状について報じている。
『ロイター通信』はこの程、東京在の日雇い労働者A氏に賃金アップ状況等についてインタビューを行った。
彼は、二十年前から日雇い労働に従事しているが、今回初めて賃金を上げてもらったという。...
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1月20日付
『ロイター通信』は、「ある日本の日雇い労働者の賃金が直近二十年で初めてアップするも、マクドナルド・ハンバーガーの値上げに追い付かず」と題して、ある日雇い労働者のインタビューを基に、日本の実質賃金の現状について報じている。
『ロイター通信』はこの程、東京在の日雇い労働者A氏に賃金アップ状況等についてインタビューを行った。
彼は、二十年前から日雇い労働に従事しているが、今回初めて賃金を上げてもらったという。
しかし、昨今の原材料アップに伴い、“自身の好物であるマクドナルド・ハンバーガーも昨年、単価が110円から170円に大幅値上げされたことから、これまで買っていた半分の個数しか買えなくなっている”と嘆いている。
彼は大学中退後、日本がバブル経済に沸いた1980年代後半にアルバイトに精を出し、その後バーテンの仕事に就いていたが(バブル崩壊とともに)失職して現在の日雇い労働者になったという。
日本経済は長い間デフレに見舞われていたこともあって、賃金自体もほとんど上がってきていなかったが、直近の猛烈な物価高に遭って、41年振りに年4%のインフレ率になっている。
そこで、政府からの圧力もあって、多くの大企業が数十年振りの大幅賃金アップ方針を打ち出しつつある。
例えば、衣料品大手のユニクロ(1949年前身設立)は、40%の賃金アップを表明している。
『ロイター通信』の調査によると、大手企業の半分以上が大幅賃金アップを予定しているという。
しかし、日本の労働者人口の大半を占める中小企業にあっては、これに追随できない状況となっている。
更に、A氏のような日雇い労働者やその他非正規雇用労働者の場合、賃金アップの見込みはもっと悪く、(国の定めた)最低賃金や社会保障の適用が受けられない立場にある。
安倍晋三氏が2012年に首相に就任して、“アベノミクス”と呼ばれる、株価及び企業収益増を目論む経済政策を推進したが、その陰で非正規雇用労働者が増え、結果として平均賃金が低く抑えられる状態となっていた。
政府資料によると、当該非正規雇用労働者の占める割合は、2019年時の31.5%から昨年の36.7%まで更に増えている。
A氏は、“ユニクロの大幅賃金アップはうらやましいが、原資捻出のためにコストカットを断行することとなり、配送者やその他当該事業を底辺で支える人たちにしわ寄せがくることを懸念している”とコメントしている。
なお、60代前後のA氏は目下、高血圧の治療を受けているものの、“あと十年は働きたいと考えているし、恐らく続けられるだろう”としながらも、“自分と同じ境遇の若い人たちは、今後やっていけるのかと心配している”と吐露している。
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米国発祥のサンドイッチ・チェーン店「サブウェイ」(1965年創業、注後記)は、今や「マクドナルド」を上回る店舗数で世界展開を進めている。しかし、共同創業者の逝去や新興チェーン店の台頭もあって、今後の経営方針を見極める必要に迫られ、“身売り”もひとつの選択肢と報じられている。
1月12日付
『ロイター通信』は、「サンドイッチ・チェーン店“サブウェイ”、事業売却を視野」と題して、マクドナルドを上回る店舗数で世界展開を遂げているチェーン店が、身売りを検討していると報じた。
『ロイター通信』は1月11日、サンドイッチ・チェーン店「サブウェイ」が事業売却を検討している旨、事情通から聴取した。
最初に報じたのは『ウォールストリート・ジャーナル』紙で、売却額は100億ドル(約1兆3千億円)超となる可能性があるとする。...
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1月12日付
『ロイター通信』は、「サンドイッチ・チェーン店“サブウェイ”、事業売却を視野」と題して、マクドナルドを上回る店舗数で世界展開を遂げているチェーン店が、身売りを検討していると報じた。
『ロイター通信』は1月11日、サンドイッチ・チェーン店「サブウェイ」が事業売却を検討している旨、事情通から聴取した。
最初に報じたのは『ウォールストリート・ジャーナル』紙で、売却額は100億ドル(約1兆3千億円)超となる可能性があるとする。
同紙によると、売却プロセスはまだ初期段階で、大手企業や投資会社が名乗りを上げると期待されている。
しかし、同社の広報担当は『ロイター通信』の取材に対するメール回答で、“非上場企業であるので、資本構成や今後の事業計画についてコメントする意向はない”と表明している。
同社は、世界100ヵ国余りで3万7千店以上を展開する世界的規模のファストフード・チェーンであるが、創業以来、2つの創業家のみが50年以上経営に携わってきている。
なお、同社の身売りについては、2021年にもメディア報道されたが、その際は全否定していた。
(注)サブウェイ:サブマリンサンドイッチという長楕円形のサンドイッチを主力商品とするファストフード店。1965年、コネチカット州・ブリッジポートで2つの創業家が共同で操業。今や、世界に約3万7千店の店舗を構え、マクドナルドを上回る世界最大の飲食店チェーンに成長。店名は、“Submarine SandwichをYour Way(客の好み)で提供”に由来。
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