ホルムズ海峡付近で攻撃されたタンカー被害は(6月20日)
中東・ホルムズ海峡で日本の海運会社が運航する2隻のタンカーが攻撃を受けた事件。米国軍は一部メディアにタンカー近くでの撮影を認め、爆発による被害の状況を初めて公開した。米国軍は2隻のタンカーから残留物の回収や調査を行う。
残留物「リムペットマイン」は船体に吸着させタイマーなどで爆発させる爆弾の一部とみられる丸い磁石も公開され、飛来物で攻撃を受けた可能性が高いとしていた海運会社の見方を否定した。...
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中東・ホルムズ海峡で日本の海運会社が運航する2隻のタンカーが攻撃を受けた事件。米国軍は一部メディアにタンカー近くでの撮影を認め、爆発による被害の状況を初めて公開した。米国軍は2隻のタンカーから残留物の回収や調査を行う。
残留物「リムペットマイン」は船体に吸着させタイマーなどで爆発させる爆弾の一部とみられる丸い磁石も公開され、飛来物で攻撃を受けた可能性が高いとしていた海運会社の見方を否定した。
米国はイランが関与したと断定、回収した残留物などを公開することでイランの関与を国際社会に印象付ける狙いがあるとみられる。
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ホルムズ海峡・タンカー攻撃事件(6月15日)
(安倍首相イラン訪問の最中・ホルムズ海峡で日本のタンカーが攻撃される)
安倍首相がイランを訪問し、イランの最高指導者ハメネイ師と会談を行っている最中に日本の海運会社が運航するタンカーなど2隻が中東ホルムズ海峡付近のオマーン湾で攻撃された。タンカー乗組員によると飛来物による2回の爆撃があったというが、乗組員21人は全員無事だった。犯人はわかっていないが、14日、トランプ大統領は米国がイラク革命防衛隊によるものとする爆発物回収映像を根拠にFOXテレビのインタビューで「攻撃はイランが行った」と断定した上で「どうなるか様子を見るが、軽くは受け止めない」とイランを激しく非難した。...
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(安倍首相イラン訪問の最中・ホルムズ海峡で日本のタンカーが攻撃される)
安倍首相がイランを訪問し、イランの最高指導者ハメネイ師と会談を行っている最中に日本の海運会社が運航するタンカーなど2隻が中東ホルムズ海峡付近のオマーン湾で攻撃された。タンカー乗組員によると飛来物による2回の爆撃があったというが、乗組員21人は全員無事だった。犯人はわかっていないが、14日、トランプ大統領は米国がイラク革命防衛隊によるものとする爆発物回収映像を根拠にFOXテレビのインタビューで「攻撃はイランが行った」と断定した上で「どうなるか様子を見るが、軽くは受け止めない」とイランを激しく非難した。一方イラン側は「米国側は明確な証拠もないのにイランを疑っている」と事件への関与を全面否定し、米国とイランの対立はこれまでよりも高まっている。今回の事件は中東情勢が一触即発の状態であるということを改めて浮き彫りにした。
(米国ではホルムズ海峡でのタンカー攻撃に絡め安倍外交に厳しい見方も)
米国はイラン革命防衛隊が「機雷を処理している」映像を攻撃がイラン側によるものとの証拠として公開したが、複数のタンカー乗組員が飛来物によって今回の爆発が起きたと証言しており、いくつかの矛盾点が存在する。またサウジアラビアやイスラエルなどが攻撃に関与しているなどという話も出ている。確かに言えることは日本が輸入する原油の約8割はホルムズ海峡を経由しており、この地域で紛争が起きたり、封鎖された場合に一番被害を被るのは日本であるということだ。14日、トランプ大統領との電話会談後、安倍首相は首相官邸で「いかなる者が攻撃したにせよ船舶を危険にさらす行為に対して日本として断固非難する。不測の事態が発生することがないようすべての関係国は自制し、緊張を高める行為を慎むできである」と訴えた。米国・ウォールストリートジャーナルはホルムズ海峡でのタンカー攻撃に絡め「中東和平における初心者プレーヤーが痛みをともなう教訓を得た」「日本の指導者による41年ぶりの訪問を終え、米国とイランの対立はさらに不安定化した」と安倍首相のイラン訪問に対し米国内に手厳しい見方があることを示した。トランプ大統領はFOXテレビのインタビューでイランがホルムズ海峡を封鎖したケースについて触れ「(ホルムズ海峡封鎖を仮にイランが実行したとしても)長続きはしないだろう」と語り、イランとの対話については「当面急ぐつもりはない」と述べた。ホルムズ海峡は日本の生命線には違いないが、イラン核問題への善意の介入によって日本が一番被害を受けるという結果になることだけは日本としては避けなければならない。この地域に原油や天然ガスの調達を依存し続けてきた日本のエネルギー政策の立て直しが急がれる。
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中東を覆う三重の戦い(6月15日)
今回のホルムズ海峡のタンカー爆破事件で改めて中東が一触即発の状態にあることが確認された。中東が抱えるいろいろな問題が今回のこの事件に凝縮されている。中東の緊張状態の背景にある構造的な問題を探っていきたい。
中東における親米勢力と反米勢力のぶつかり合いという話に見られがちだが、中東の複雑な構造を理解しておく必要がある。まず第1にシーア派とスンニー派の歴史的な宗教対立というものが背景にある。シーア派の総本山がイランであり、スンニー派の総本山がサウジアラビアである。...
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今回のホルムズ海峡のタンカー爆破事件で改めて中東が一触即発の状態にあることが確認された。中東が抱えるいろいろな問題が今回のこの事件に凝縮されている。中東の緊張状態の背景にある構造的な問題を探っていきたい。
中東における親米勢力と反米勢力のぶつかり合いという話に見られがちだが、中東の複雑な構造を理解しておく必要がある。まず第1にシーア派とスンニー派の歴史的な宗教対立というものが背景にある。シーア派の総本山がイランであり、スンニー派の総本山がサウジアラビアである。時々両陣営がエスカレートしてぶつかりあったり、代理戦争のような形で衝突したりしている。現在、シーア派のイランは3方面作戦をやっており、イエメンではスンニー派のサウジアラビアと戦っている反乱軍武装組織フーシ派を支援している。イスラエルにおいてはシーア派の反乱軍・ヒズボラを支援している。シリアでは政府軍スンニー派がシーア派のイランに対抗するために米国に接近しているなど複雑な動きを見せている。世界にとって看過できないのはシーア派の総本山であるイランが核を持つと世界中のシーア派が全部核を持つことになるほどの影響力を持っているという点である。イランが核を持てばおそらくスンニー派のサウジアラビアはイスラエルから核をもらって核を持ち対抗することになり、この地域が世界全体の脅威となる。
第2に対イスラエル、中東和平をめぐるパレスチナ問題を軸にイラン、イスラエル、サウジアラビアによる中東の覇権争いという側面がある。パレスチナを応援しているのはイランであり、シーア派のヒズボラを応援している。サウジアラビアは米国に接近することでイランをけん制している。イスラエルの今後を決めるトランプ大統領の中東和平問題解決策が25日バーレーンにおける中東和平会議でまもなく発表されるが、これを混乱させようという動きがこれから出てくる。
第3は石油をめぐる米国、ロシア、中東の争いがある。ホルムズ海峡が封鎖されればロシアの原油に注目が集まる。原油価格やその影響が大きな力学として動いている。
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タンカー攻撃・運航会社“飛来物の可能性”(6月14日)
攻撃されたタンカーを運航する国華産業が記者会見を開いた。米軍は、攻撃を受けた2隻のうち国華産業が運航する「コクカカレイジャス」の船体の側面から、遠隔装置で起爆させる「リムペットマイン」と呼ばれる爆弾が見つかったと発表した。
さらにこの爆弾は爆発しておらず、イランの精鋭部隊「革命防衛隊」がこの爆弾を取り外したとして、一連の様子をとらえたとする映像を公開した。
国華産業・堅田豊社長は記者会見を開き、「本船の乗組員が飛来物でやられたと言っている。...
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攻撃されたタンカーを運航する国華産業が記者会見を開いた。米軍は、攻撃を受けた2隻のうち国華産業が運航する「コクカカレイジャス」の船体の側面から、遠隔装置で起爆させる「リムペットマイン」と呼ばれる爆弾が見つかったと発表した。
さらにこの爆弾は爆発しておらず、イランの精鋭部隊「革命防衛隊」がこの爆弾を取り外したとして、一連の様子をとらえたとする映像を公開した。
国華産業・堅田豊社長は記者会見を開き、「本船の乗組員が飛来物でやられたと言っている。なにか飛んできたようだと。それで穴があいたという報告がきている」と述べ、「飛来物で攻撃を受けた可能性が高い」という見解を示した。
被害を受けたタンカーについては現在、UAE(アラブ首長国連邦)のホールファカンに向かっているという。さらにタンカーに積んでいるメタノールについては、航路が閉鎖されないかぎりは別の船に積み替えて輸送を続けることを明らかにした。
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米国国務長官「イランに責任ある」(6月14日)
米国・ポンペイオ国務長官は緊急の記者会見を開き、イランによる攻撃だと非難。一方、国連のグテーレス事務総長は事実関係の解明を急いだ。
経済産業省は、仮に海峡が閉鎖される事態になれば、日本にとって死活的な影響があると見ている。ただ、この海域では先月にも、サウジアラビアなどのタンカーなど4隻が攻撃を受けて損傷する事件が起きていて、サウジアラビアは敵対するイランの関与を主張していた。
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