2月17日、米中間の貿易・経済関係の国家安全保障への影響を調査する議会委任機関である米中経済安全保障検討委員会の公聴会で、複数の専門家が、中国共産党がその政権を世界のサイバー超大国へと変貌させており、その影響力に対抗するために、米国は重要インフラの保護と米国の価値観の普及にもっと力を入れる必要があると、証言した。
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『エポックタイムズ』によると、公聴会で証言したシンクタンク研究員のウィノナ・デソンブレ氏は、「中国共産党は中国をサイバー超大国にしたいと考えており、その目標達成に向けて順調に進んでいる」と述べた。「中国の攻撃的なサイバー能力は米国のそれに匹敵し、サイバー防御能力も強固である。」と述べている。デソンブレ氏によると、習近平は、2015年に、中国人民解放軍の大規模改革を皮切りに、軍事とプロパガンダの優先順位を情報・情報作戦に集中させるよう指示したという。このような展開に対抗するためには、米国は同盟国と連携して情報領域での価値を高める必要があり、外国人人材の採用制限を緩和し、重要インフラをサイバー脅威から守るための新しい法律や規制を作るべきだと提言した。
米シンクタンク「ヘリテージ財団」のシニアリサーチフェローであるディーン・チェン氏は、中国人民解放軍が「将来の戦争における勝敗は、情報を活用する能力の関数である」と判断していると述べている。中国共産党はネットワーク上の情報技術を活用し、新たな軍事的機会を創出することに取り組んでいるという。「中国共産党の分析によると、人工知能、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの情報技術の持続的な発展は、新しい軍事作戦の機会を作り出している」と説明している。中国は「複数のシステムから成るシステム」の戦争を追求しており、戦争に勝てるかどうかは、1つの兵器によって決まるのではなく、相互に接続されたシステムで対抗して戦わせることによって決まると見ているという。
サイバーセキュリティ企業「Mandiant Threat Intelligence」のシニアマネージャーであるケリー・ヴァンダ―リー氏も、中国共産党と人民解放軍によるサイバー攻撃力は大幅に強化され、外国のターゲットに対する複雑な攻撃方法を進化させていると述べている。中国政府によるビジネスやサービスへのサイバー攻撃は、責任の所在を明らかにすることが難しく、データ収集の努力を見抜くことも困難になってきているという。また、中国政府はその不正行為に対する国際的な非難や、従来の国際交渉の手段に対して、ますます強気になってきていると指摘している。
米国防関連のニュースサイト『ディフェンス・ニュース』によると、ロンドンに拠点を置くシンクタンク「国際戦略研究所」の世界の軍事動向を評価する調査で、ロシアと中国が米国よりも大幅に多くの軍事サイバー部隊をサイバー「効果」に充てていることが指摘されている。報告書は「効果」とは、政府関係者と協力して代理人が行う行為、及び否定、混乱、破壊する行為だと定義している。また、脆弱性の研究、マルウェアの作成または使用、エクスプロイトによる指揮統制の維持など、その他のさまざまな機能も含まれている。
調査によると、ロシア軍のサイバー部隊の33%が「効果」に重点を置いており、中国軍の18.2%、米国軍の2.8%となっている。調査は、中国も過去 10 年間で軍事的なサイバー能力を大幅に向上させ、最近の軍事演習に攻撃的なサイバー作戦を組み込んでいることを指摘している。また、ロシアはインシデント対応にかなりの人数を割いており、軍の80%がこの任務に専念しているという。これに対し、米国は29%、中国は9.1%となっている。サイバーインテリジェンス、監視、偵察に充てる兵力は3カ国ともほぼ同じ割合で、50%から54%の間であった。
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