しかし、最近の若いアメリカ人を対象とした調査ではその傾向が逆転していることがわかった。すなわち、過去20年間の肺がんの発症率の統計をとると、男女を含めた全体的な肺がんの発症率は低下傾向にあるものの、30歳から54歳の若い年齢層の女性の低下度合いが男性に比べて劣っている。若い女性層の年々の肺がん低下傾向が男性ほど顕著ではないとのことである。
この原因は何か気になるところである。特に過去10-15年間に若い女性のがん発症率が男性の値を上回っているという調査結果が得られている。...
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しかし、最近の若いアメリカ人を対象とした調査ではその傾向が逆転していることがわかった。すなわち、過去20年間の肺がんの発症率の統計をとると、男女を含めた全体的な肺がんの発症率は低下傾向にあるものの、30歳から54歳の若い年齢層の女性の低下度合いが男性に比べて劣っている。若い女性層の年々の肺がん低下傾向が男性ほど顕著ではないとのことである。
この原因は何か気になるところである。特に過去10-15年間に若い女性のがん発症率が男性の値を上回っているという調査結果が得られている。
アメリカのがん協会の主任担当官のオーチス・ブローリー氏によれば、女性の喫煙率や喫煙パターンとの関連を調べたが、これといった確証できる原因は見出されていないとのことである。ところで、肺がんはアメリカで男女ともに最も致死率の高いがんである。さらに、アメリカがん予防センターの調査によると、肺がんの原因のうち、80-90%が喫煙によるものである。
現在のところ、若い女性の肺がん発症率の年ごとの低下が男性の値に比べて鈍い次の2つの説が提案されている。
1.若い女性の喫煙が男性にくらべてまだ普及されつくされていないため、年々の女性の喫煙の普及度合いの増加による。
2.喫煙が肺がんを誘発する度合いが、女性と男性の性の違いによって異なり、女性に対してより強く誘発する。
このうち、2.の説が今のところ優勢であるが、この性の違いによる肺がんの発症率の違いを立証するにはさらに多角的ながん研究が必要とのことである。
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