これは、長期間にわたる防衛予算増強計画によるもので、軍事物資の調達やドイツ軍兵員の確保に使われるという。このような防衛予算の増加は、東西冷戦終結が終結した1990年以来はじめてとなる。ドイツのショルツ首相は、2月17日に開催される第6回ミュンヘン安全保障会議を前にして発表されたもので、政治的に強いメッセージを持っている。
2年前のロシアのウクライナ侵攻開始の3日後に当たる2022年2月27日に、アンゲラ・メルケル前首相の後継者のショルツ首相は、ドイツ連邦議会の壇上で、時代の変化に向けた行動を宣言している。...
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これは、長期間にわたる防衛予算増強計画によるもので、軍事物資の調達やドイツ軍兵員の確保に使われるという。このような防衛予算の増加は、東西冷戦終結が終結した1990年以来はじめてとなる。ドイツのショルツ首相は、2月17日に開催される第6回ミュンヘン安全保障会議を前にして発表されたもので、政治的に強いメッセージを持っている。
2年前のロシアのウクライナ侵攻開始の3日後に当たる2022年2月27日に、アンゲラ・メルケル前首相の後継者のショルツ首相は、ドイツ連邦議会の壇上で、時代の変化に向けた行動を宣言している。すなわち、2014年に北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に設定した各国防予算をGDPの2%に設定することを約束している。しかし2022年においては、ドイツの防衛軍事費はGDPの1.46%しか満たしていない。
ショルツ首相の今回の発表で、ドイツの国防軍事費はGDPの2.0%を満たすこととなるが、問題は、この2.0%枠は継続できるのかという点である。ショルツ首相は肯定しているが、実際上は確証されていない。
2022年2月27日にショルツ首相により発表され、3か月後に保守反対派を押し切って採択された1兆ユーロ(=約160兆円)の特別予算により2024年に2%は満たせるとしても、この特別予算は2027-2028年には使い切ってしまうことになる。
それ以降においても国防軍事費はGDPの2.0%を満たすためには、新たな特別予算を設定するか、現状の国防軍事費、520億ユーロ(=約8.3兆円)に加えて、250~300億ユーロ(=約4~4.8兆円)の増加を見込む必要があると見られる。これについては、ドイツ連邦財政における構造的な赤字割合の制限を超える可能性があり、連邦議会での今後の厳しい論議が必要となる。
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