国際人権団体Human Rights Watch(HRW、1978年前身設立)は直近リリースした報告書で、中国共産党政府が2017年以来、新疆ウィグル自治区のウィグル族やトルコ系イスラム教徒に対して人権蹂躙をはたらいていると告発した。そして、同報告書の中で、日本の超党派国会議員グループが岸田文雄首相(66歳、2021年就任)率いる現政権に対して、日本の自動車メーカーが同自治区での強制労働によって生産されたアルミニウムを買い付けている事態について、厳しく調査するよう要求していると言及している。
3月22日付
『アジアン・ニュース・インターナショナル』オンラインニュース(1971年設立)は、直近でリリースされたHRW報告書によると、日本の超党派国会議員グループが現政権に対して、新疆ウィグル自治区の人権侵害について厳格調査をするよう要求していると報じた。
HRWは直近でリリースした報告書の中で、中国共産党政府が2017年以来、新疆ウィグル自治区のウィグル族やトルコ系イスラム教徒らに対して人道的犯罪を犯していると告発した。
それは、恣意的拘束、強制失踪、文化的・宗教的迫害、同自治区内の強制労働等であるとする。
そして同報告書の中で、強制労働の結果生産されたアルミニウム製品を日本の自動車メーカーが買い付けているとも言及した。
その上で、日本の超党派国会議員グループ「人権外交を超党派で考える議員連盟(2021年設立)」が岸田文雄首相率いる現政権に対して、当該事態について厳格な調査を実施するよう要求したとしている。
同議員連盟は、菅野志桜里元衆議院議員(49歳、弁護士、2014~2021年在任)と中谷元衆議院議員(66歳、元国際人権問題担当首相補佐官、1990年初当選)が共同議長として、海外における重大な人権侵害に制裁を科すために日本版「マグニツキー法(注1後記)」を制定するために立ち上げられた政策集団である。
HRW報告書によると、菅野氏が、人権制裁法と人権デュー・ディリジェンス法(注2後記)を導入し、企業がサプライチェーンにおける人権侵害に対処し、検討することを義務付けるよう政府に促したと言及している。
その影響であるのか、今年初め、香港当局は、民主派新聞『蘋果日報』(アップルデイリィ、1995年創刊、2021年廃刊)の創始者である黎智英氏(76歳、ジミー・ライ、2020年制定の香港国家安全維持法違反容疑で逮捕)の裁判で、菅野氏を「共謀者」として糾弾している。
HRWの報告書によると、菅野氏に対するこうした根拠のない非難は、サプライチェーンの濫用に対する彼女のキャンペーンが、中国政府によって看過できないものとされる程効果が現れていることを示唆しているとする。
(注1)マグニツキー法:2012年に米国で制定された法律。2016年以降、世界全体を適用するとして、米国政府が人権侵害に関わった個人・組織を特定した上で、米国にあるその資産を凍結し、また、米国への入国を禁止するとするもの。同様の法律が欧州など34ヵ国で制定される先駆けとなった。
(注2)人権デュー・ディリジェンス法:企業に対して、サプライチェーン上を含めた事業における人権リスク(例:強制労働など)を特定し、その防止・軽減を図り、取組みの実効性や対処方法について説明・情報開示する義務を負わせるとする法案。
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