ドイツのハイコ・マース外相は23日、米国とロシアが中距離核戦力全廃条約を維持するよう、北大西洋条約機構(NATO)に支援を求める意向を示した。同外相はさらに、ロシアに条約を順守させるための措置を講じる用意があるとも語った。
ドナルド・トランプ米大統領は20日、西部ネバダ州で記者団に対し、米国と旧ソ連が冷戦時代に調印した中距離核戦力全廃条約(「INF条約」)にロシアが違反しているとして、同条約から離脱すると表明した。
トランプ大統領は、ロシアはINF条約に加盟していない中国とともに軍備増強を図っており、米国は中ロ両国を念頭に置いて条約を破棄し、人々が理性を取り戻すまで核戦力を増強する意向であることを強調した。...
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ドナルド・トランプ米大統領は20日、西部ネバダ州で記者団に対し、米国と旧ソ連が冷戦時代に調印した中距離核戦力全廃条約(「INF条約」)にロシアが違反しているとして、同条約から離脱すると表明した。
トランプ大統領は、ロシアはINF条約に加盟していない中国とともに軍備増強を図っており、米国は中ロ両国を念頭に置いて条約を破棄し、人々が理性を取り戻すまで核戦力を増強する意向であることを強調した。ロシア政府は22日、条約違反を強く否定し、米国が新たなミサイル開発に着手すれば、対抗措置を取らざるを得ないとの立場を示した。
マース独外相は、こうした状況の中、独紙「フンケ・ミディエングルペ」に対し、ドイツは「あらゆる外交的手段」を用いて、欧州で地上発射型核ミサイルを廃棄する同条約を存続させるために戦うとしている。
同外相は、「我々は本問題をNATOの議題として高順位に位置付ける。」「ロシアにINF条約を履行させるよう協力していく用意がある。新たな軍拡競争の始まりを許すつもりはない。」とその決意を述べた。
ロシアが条約に違反しているという指摘に対し、長年対応してこなかったことを踏まえ、マース外相は、「米国の不満は根拠のないものではない。」と米国の懸念に一定の理解を示した。しかしながら、条約の破棄については、「大切なものを不要なものと一緒に捨ててはいけない。それは大きな誤りだ。」と批判している。
1987年12月、米首都ワシントンで当時の米国のレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長によって調印されたINF条約は、両国が保有する中射程および短射程の地上発射型の核ミサイル、従来型ミサイルを全て廃棄することを定めている。87歳になったゴルバチョフ氏は21日、トランプ大統領がINF条約破棄の意向を示したことに対し、非常に不可解で悲惨な結果を招く可能性がある、両国当事者が核軍縮を達成するために行ったあらゆる努力を損なうことになると警告した。
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