米国の金融データ及びソフトウェア会社であるファクトセットは、米国外からの収益の比率が50%を超える米国企業は第二四半期に9.3%減益になると予想。一方、国内向けの売り上げが多い企業は1.4%の増益になる可能性がある。ただ、投資家はこれまで大きく反応をしていないが、各種の株式指標は上昇しており、6月に入ってから過去最大に近い規模で債券にも軸足を移しつつある。
『CNBC』は貿易戦争が米国企業に与える影響について、専門家の見解を伝えている。
貿易戦争と世界的な景気減速が同時に進んでいるため、米国の多国籍企業の利益は急速に減速しつつある。
ファクトセットは、売上高のうち海外での売り上げが50%を超える企業は、第二四半期に9.3%の減益となると予想。またS&P500銘柄については幅広い銘柄で2.3%程度の減益になると予想。
例えばアップルやボーイングは、世界で幅広く活動しており、他の国々での売上や費用削減が事業を大きく支えている。...
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『CNBC』は貿易戦争が米国企業に与える影響について、専門家の見解を伝えている。
貿易戦争と世界的な景気減速が同時に進んでいるため、米国の多国籍企業の利益は急速に減速しつつある。
ファクトセットは、売上高のうち海外での売り上げが50%を超える企業は、第二四半期に9.3%の減益となると予想。またS&P500銘柄については幅広い銘柄で2.3%程度の減益になると予想。
例えばアップルやボーイングは、世界で幅広く活動しており、他の国々での売上や費用削減が事業を大きく支えている。またS&P500の11セクターの中でも、ITセクターは最も影響を受け、11.8%の減益になると予想されている。
一方で、売上の半分が米国内からのものである企業の場合、収益は1.4%上昇すると予想されている。
このように予想されてはいるが、これまでのところ市場はあまり反応していない。
UBSの専門家は「関税は収益見通しに影響を与えるが、関税以外にも世界経済と米国企業の収益見通しを悪化させる要素は数多くあると考えている。」と述べた。
これまでのところ、米国はおおむね、関税の問題や他の先進国の景気の弱さから大きな影響を受けずにいた。GDPは2018年に2.9%上昇、そして2019年の第一四半期は3.1%伸びた。インフレは抑制され、最近になって弱さも見えてきたとはいうものの、労働市場も持ちこたえてきた。
株式市場の主要指数は今年度すべて2桁上昇し、6月には各指標とも4%以上上昇したことに見られるように、株式市場は上下するものの、おおむね関税問題の影響をやり過ごしてきた。
しかし、景況感などの各種調査をみると、コスト上昇が利益を損なう可能性について懸念や警告を表明する経営者が増えてきている。
ウォールストリートのアナリストは分析の結果として、より目に見える影響がでてくるだろうと予測している。
別の専門家は、「政策の不透明性が高い。中でも貿易問題の不透明性が高い。貿易戦争の長期化でリスクが高まったことを踏まえて、収益見通しを引き下げてきた。貿易の問題は夏にも解決される可能性があるとまだ楽観的に見ているが、それまでの間に米国経済と中国経済により大きな圧力がかかるのは避けられないだろう。」と述べている。
また『CNBC』はそれより先、貿易問題について、IMFのラガルド専務理事の12日のコメントも伝えている。
「国際協調と多国間での問題解決の枠組みへの理解が薄まりつつある。」
「世界経済は6年以上の間、低い成長率に抑えられている。また世界最大の経済大国が新たな貿易障壁を構築しつつあり、または構築すると脅しをかけている。これは何か別の動きの始まりである可能性があり、世界のすべての国に幅広い影響を与える恐れがある。」
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