東芝・「量子暗号通信」・英国で試験提供(4月27日)
東芝は26日、英国の通信大手BTグループとロンドンの複数の拠点をつなぎ、「量子暗号通信」によってデータを転送するサービスの提供を試験的に始めたと発表した。
「量子暗号通信」は理論上、絶対に解読されないとされている次世代の暗号技術で、セキュリティーの強化が求められる金融業界や安全保障などの分野で活用が見込まれている。ロンドン中心部では「量子暗号通信」の送受信の装置が披露され、東芝の担当者がデータの安全性がどのように担保されるかなどを説明した。...
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東芝は26日、英国の通信大手BTグループとロンドンの複数の拠点をつなぎ、「量子暗号通信」によってデータを転送するサービスの提供を試験的に始めたと発表した。
「量子暗号通信」は理論上、絶対に解読されないとされている次世代の暗号技術で、セキュリティーの強化が求められる金融業界や安全保障などの分野で活用が見込まれている。ロンドン中心部では「量子暗号通信」の送受信の装置が披露され、東芝の担当者がデータの安全性がどのように担保されるかなどを説明した。
東芝は、ロンドンには機密性の高いデータを扱う金融機関が多く集まっていることなどから、事業を展開する上で理想的な環境だとしていて、サービスを試験運用しながら効果を見極めたいとしている。
「量子暗号通信」をめぐっては、これまで東芝が研究開発をリードしてきたが、中国などとの開発競争が激しくなっている。
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全て再生エネルギーで賄う実証実験スタート(4月16日)
4月15日、滋賀県のパナソニックの工場で、使用する電力の全てを再生可能エネルギーで賄う「RE100(Renewable
Energy 100%)化ソリューション」の実証実験が始まった。太陽光、燃料電池(水素)、蓄電池の3つの組み合わせで工場で使う全ての電力を賄うことができる世界初の工場である。燃料電池と組み合わせることで天候に左右される太陽光発電の弱点を補うことができる。
また、小型化することによって必要な電力量に応じて必要な台数だけで発電し、停止することも簡単にできるため、効率性がアップした。...
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4月15日、滋賀県のパナソニックの工場で、使用する電力の全てを再生可能エネルギーで賄う「RE100(Renewable
Energy 100%)化ソリューション」の実証実験が始まった。太陽光、燃料電池(水素)、蓄電池の3つの組み合わせで工場で使う全ての電力を賄うことができる世界初の工場である。燃料電池と組み合わせることで天候に左右される太陽光発電の弱点を補うことができる。
また、小型化することによって必要な電力量に応じて必要な台数だけで発電し、停止することも簡単にできるため、効率性がアップした。余った電気はリチウムイオン蓄電池に蓄えて活用するという。パナソニックは今回の実証実験を経て、来年度から国内外の企業に発電システムを販売していく計画である。
課題はコストで、現状では水素価格が高いために、電気を購入する場合と比べ、コストは2倍以上になる。パナソニックは、こうした取り組みが広がれば徐々に水素の価格は下がっていくものと捉えている。
2050年カーボンニュートラルを前提に考えればむしろパナソニックのような工場が日本にこれからどんどん出てこないと間に合わないだろう。
企業の脱温暖化ガスの取り組み、物差しを図るのに国際機関「GHG(グリーンハウスガス)プロトコルイニシアチブ」が策定したスコープという基準があり、1と2と3がある。
より具体的に言うと、自社や工場が温暖化ガスを一切出さないというのが「スコープ1」で、電力を購入する時に化石燃料による電力は使わないというのが「スコープ2」とされる。さらに、サプライチェーンに組み込まれている取引先の工場などで温暖化ガスを出さないというのが「スコープ3」となり、取引先も含めた全体が100%再生可能エネルギーで発電される必要がある。パナソニックの工場は「スコープ3」を見据えている。
アップルは「スコープ3」を2030年に実現すると宣言しており、「スコープ3」が可能な企業を協力企業にすると公表している。
裏を返せば自社工場が再エネ100%でないとアップルとは取引ができなくなるということを意味するものである。
資源小国の日本としてはこれらのイノベーションに必死になって関わっていく必要がある。
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EVの最新動向(4月9日)
ウクライナ危機などの影響で、EVの生産に使われるアルミやニッケルなどの原材料価格が高騰するなどし、テスラや、激安で知られる上海GM五菱汽車など、多くのEVメーカーも続々と値上げに踏み切った。こうした動きは世界のEV化戦略の流れに水を差すものだが、全世界的EVシフトという基調路線には変化はみられない。
EVの導入をめぐっては、日本の動向が気になるところである。日本の自動車産業は電動化をめぐって2分化されている。...
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ウクライナ危機などの影響で、EVの生産に使われるアルミやニッケルなどの原材料価格が高騰するなどし、テスラや、激安で知られる上海GM五菱汽車など、多くのEVメーカーも続々と値上げに踏み切った。こうした動きは世界のEV化戦略の流れに水を差すものだが、全世界的EVシフトという基調路線には変化はみられない。
EVの導入をめぐっては、日本の動向が気になるところである。日本の自動車産業は電動化をめぐって2分化されている。一方はEV一本足打法の日産とホンダであり、もう一方はEVだけでなくPHV、HV、FCVなども全方位を視野に入れたトヨタである。
この路線対立が現在の日本では常に論争の的となっている。更に、ここに来てEV量産のための切り札とも言われる「全固体電池」をめぐっても路線の対立が生じている。
EV普及のための鍵とも言われるのが「全固体電池」である。「全固体電池」はEV普及のための鍵をもつ「ゲームチェンジャー」として世界から熱い視線が注がれている。その根拠となっているのは次の3つである。①エネルギー密度が高く、航続距離を約2倍にできること、②優れた充放電性能によって従来の3分の1に充電時間を短縮できること。③材料の組み合わせによってバッテリーコストを抑えることができることである。
全固体電池の主要技術は、電解質の種類に応じてポリマー系、硫化物系、酸化物系の3つに分けられるが、ここで自動車産業の対立が生じている。トヨタが樹脂系の固体電解質を使った全固体電池を提唱しているのに対し、日産は硫黄系の電解質を使った全固体電池を提唱しているのである。
日産はトヨタをけん制するかのように8日、「全固体電池」の試作設備を初公開した。電池材料の選定や設計についてはNASA、東工大などと連携しながら、2028年度までの量産化を目指していくという。
2028年という年は自動車メーカー各社がEVの量産時期として見据えている年であり、2028年に向けて生き残りを賭けた戦いが激しくなりそうである。
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大手石油開発企業INPEXが核融合発電に参入(4月3日)
国内外で石油・天然ガス等の権益を持つ大手石油開発企業INPEXが核融合発電に参入すると発表した。
日本の大企業として初めて核融合の関連新興企業に出資し、2040年代の実用化を目指している。
CO2を出さず、安定して発電でき、環境への負荷もほとんどなく、原発に比べ事故のリスクも低い核融合発電は2050年カーボンニュートラルに向けて出遅れ感のある日本の救世主となる可能性を秘めている。
さらに日本にとって大きな要素が2つある。...
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国内外で石油・天然ガス等の権益を持つ大手石油開発企業INPEXが核融合発電に参入すると発表した。
日本の大企業として初めて核融合の関連新興企業に出資し、2040年代の実用化を目指している。
CO2を出さず、安定して発電でき、環境への負荷もほとんどなく、原発に比べ事故のリスクも低い核融合発電は2050年カーボンニュートラルに向けて出遅れ感のある日本の救世主となる可能性を秘めている。
さらに日本にとって大きな要素が2つある。1つ目が、材料となる重水素が海水中に無尽蔵にあることである。
これはすごいことであり、石炭や石油のように中東やロシアなどからの輸入に頼る時代からの決別を意味する。
2つ目は石炭石油、再エネより価格が安くなること。EVなど電力の大量消費時代にふさわしいエネルギーといえる。
3つ目は余計な設備投資が不要であることである。必要となるのはただ送電設備につなげることだけである。ただし100年程度保管が必要な低レベル放射性廃棄物の問題等まだ未知数の課題がある。
新興エネルギー産業を推進させるには政治的パワーが必要であり、例えば産油国や原発企業などエネルギー既得権益からの横やりが入る可能性が懸念される。
ここは核融合開発に積極的なマイクロソフト創業者のビルゲイツなどと協力し、核融合発電推進グループを形成し大きなムーブメントにしていく必要があるかもしれない。
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東京大学・食品メーカー研究・国内初「食べられる培養肉」(3月31日)
肉の細胞を培養して新たな肉を生み出す培養肉について、東京大学と食品メーカーの研究グループが実際に人が食べても大丈夫な素材と技術を使って牛肉から食べられる培養肉を国内で初めて作り出した。
東京大学・竹内昌治教授と日清食品ホールディングスなどのグループが研究を進めていて、おととい試食が行われた。
これまでは研究用の素材を使っていたため、実際に食べることはできなかったが、食用に対応した培養液などを独自に開発し、食の安全などの観点から研究の進め方について大学の委員会で審査を受け、食べても大丈夫な牛肉の培養肉を作成。...
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肉の細胞を培養して新たな肉を生み出す培養肉について、東京大学と食品メーカーの研究グループが実際に人が食べても大丈夫な素材と技術を使って牛肉から食べられる培養肉を国内で初めて作り出した。
東京大学・竹内昌治教授と日清食品ホールディングスなどのグループが研究を進めていて、おととい試食が行われた。
これまでは研究用の素材を使っていたため、実際に食べることはできなかったが、食用に対応した培養液などを独自に開発し、食の安全などの観点から研究の進め方について大学の委員会で審査を受け、食べても大丈夫な牛肉の培養肉を作成。
グループによるとこうした技術で食べても大丈夫な培養肉が作られたのは国内では初めてだということで、3年後には100グラム程度の培養肉のステーキを実現したいとしている。
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