NEDOが人工光合成を支援(2月19日)
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は「人工光合成」の研究開発に300億円を支援することを明らかにした。三菱ケミカルを中心にトヨタ自動車、東京大学などが「人工光合成」の研究に参画する。
これまで「人工光合成」をけん引してきたのは三菱ケミカルホールディングスグループである。
「人工光合成」は光合成を人工的に行うもので、第一工程で太陽光の力で水を分解し、水素をまず作り出す。
さらに第二工程ではその水素とCO2を反応させてプラスティックなどの原料となるオレフィンにしていく。...
全部読む
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は「人工光合成」の研究開発に300億円を支援することを明らかにした。三菱ケミカルを中心にトヨタ自動車、東京大学などが「人工光合成」の研究に参画する。
これまで「人工光合成」をけん引してきたのは三菱ケミカルホールディングスグループである。
「人工光合成」は光合成を人工的に行うもので、第一工程で太陽光の力で水を分解し、水素をまず作り出す。
さらに第二工程ではその水素とCO2を反応させてプラスティックなどの原料となるオレフィンにしていく。
世の中の厄介者として敬遠されるCO2を資源として利用し削減するものであり、カーボンニュートラルに向けて大きな期待を集めている。
三菱ケミカルホールディングスグループは化学メーカーとして、水素を燃料そのものとして使うよりも、さまざまな化学品を作れるオレフィンのほうが自社の強みを活かせる上に、収益性があると判断しオレフィン作りにあたってきたという。
あと10年ほどで形となるとのことで、どんな形で登場してくるのか今から楽しみである。
閉じる
日本が米高速炉計画に参加(1月3日)
世界のエネルギー界、産業界は脱炭素まっしぐらにシフトしている。世界がデジタル化に向かい、これからますます電力が必要とされる中で、発電時にほとんどCO2を排出しない原発見直しの動きが欧州を中心に広がっている。
原発は天候にも左右されないため、太陽光や風力などの自然ネルギーと比べると安定したエネルギー供給源となりうる。ところが日本の原発の置かれている状況は、どうかと言えば2011年の東京電力福島第1原発の事故ですっかりと変わってしまったといえる。...
全部読む
世界のエネルギー界、産業界は脱炭素まっしぐらにシフトしている。世界がデジタル化に向かい、これからますます電力が必要とされる中で、発電時にほとんどCO2を排出しない原発見直しの動きが欧州を中心に広がっている。
原発は天候にも左右されないため、太陽光や風力などの自然ネルギーと比べると安定したエネルギー供給源となりうる。ところが日本の原発の置かれている状況は、どうかと言えば2011年の東京電力福島第1原発の事故ですっかりと変わってしまったといえる。
高速増殖炉「もんじゅ」が実証炉への道筋をつくれないまま廃炉になり、動燃のずさんな核管理が理由で核燃料サイクルも破綻してしまったことも大きかった。これまでは日本では原子力を今後どう使っていくかの議論も、なかなか進んでこなかったため、原発の将来性については見通しが立っていないのが現状である。
そんな中、マイクロソフト創業者のビルゲイツ氏が出資する米国の原子力スタートアップ企業「テラパワー」と米国エネルギー省主導の高速炉の開発計画に日本原子力研究開発機構や三菱重工業が参加することが明らかになった。日本の施設で安全試験も行い、1月にも協力の合意書を取り交わす方針である。「テラパワー」は2028年にワイオミング州に34.5万キロワットの高速炉を建設することを目指しているという。
なぜ「テラパワー」は高速増殖炉で失敗した日本に近づいたのか。これについてテラパワー・クリスレベスクCEOが「日本の高速炉の知識、優れた実験施設を活用できれば素晴らしい」語ったように、彼らは日本と同じミスを繰り返さないためにもナトリウム漏れの事故を起こしたもんじゅの経験や実験炉「常陽」のデータを必要としている。
今回の話は、日本の核燃料サイクル業界にとっては朗報に違いない。しかし注意すべき点が2つある。日米の協力が実現しても日本国内ですぐに高速炉新設という話にはならないということがまず第一点であり、第二点目は米国に有能な研究者や保守点検のための技術者だけを取られとられてしまったり、一方的にデータだけを提供し取られ損にならないようにすることである。
日本としては今回の日米の協力を最低限、技術の発展や人材育成に結びつけていき、日本における原発復権の流れを作っていくことが優先課題としていくべきである。
閉じる
開発・空自の次期戦闘機エンジン・来月から英国と共同研究へ(12月23日)
航空自衛隊の次期戦闘機の開発を巡り、防衛省は来月から英国とエンジンの共同研究を始めることになった。
航空自衛隊のF2戦闘機の後継となる次期戦闘機について防衛省は日本主導で開発することにしていてエンジンは大手機械メーカーのIHIが担当する。
ただ前回、国内企業が主導して戦闘機を開発してから40年以上がたっていることからエンジンはIHIと英国のロールスロイス社が共同で実証機を開発することになった。...
全部読む
航空自衛隊の次期戦闘機の開発を巡り、防衛省は来月から英国とエンジンの共同研究を始めることになった。
航空自衛隊のF2戦闘機の後継となる次期戦闘機について防衛省は日本主導で開発することにしていてエンジンは大手機械メーカーのIHIが担当する。
ただ前回、国内企業が主導して戦闘機を開発してから40年以上がたっていることからエンジンはIHIと英国のロールスロイス社が共同で実証機を開発することになった。英国との間ではことし7月、岸防衛大臣とウォレス国防相の会談でエンジン開発の協力で協議を加速させることで一致していて、防衛省は高度な技術を必要とする開発の経費削減やリスクの低減につながるとして来月から共同研究を始めることにしている。
これについて英国のウォレス国防相はコメントを出し「日英両国の技術面、産業面での強みを生かし、次世代戦闘機の技術において幅広い協力を検討していく」と歓迎した。
次期戦闘機の開発では、全体を統括し、機体を担当する三菱重工業が米国のロッキードマーチン社から技術的な支援を受けることになっており、日本、米国、英国の技術が使われることになる。
次期戦闘機を巡ってはきのうの閣僚折衝で来年度予算案に開発費として858億円を盛り込むことが決まっており、防衛省はF2戦闘機の退役が始まる2035年ごろまでに配備を始めたいとしている。
閉じる
自動車産業から見える国際競争の構造(12月20日)
今、世界は日米中欧の4極に分かれしのぎを削っている。
世界のフェーズは大まかに言うと1.経済、2.産業、3.技術開発、4.金融、5.安全保障という5つに分かれている。
日本は厳しい状況にあるがこの4つ巴の世界の中で、日本がどう生き抜いていくのかが今後5年から10年の間で問われてくる。今回は特に「産業」を自動車業界を通じて見ていく。
自動車産業は日本が最も得意とする分野であり、日本の基幹産業である。...
全部読む
今、世界は日米中欧の4極に分かれしのぎを削っている。
世界のフェーズは大まかに言うと1.経済、2.産業、3.技術開発、4.金融、5.安全保障という5つに分かれている。
日本は厳しい状況にあるがこの4つ巴の世界の中で、日本がどう生き抜いていくのかが今後5年から10年の間で問われてくる。今回は特に「産業」を自動車業界を通じて見ていく。
自動車産業は日本が最も得意とする分野であり、日本の基幹産業である。2020年にはトヨタ自動車が世界の売上トップに輝いた。
これに肉薄しているのがドイツのフォルクスワーゲンである。
今、欧州と中国、米国が結託し、EVシフトを加速させている。EVシフトに積極的でない長年の敵・トヨタ自動車を狙い撃ちにしているように見える。
特にトヨタの看板であるHVを潰しにかかっている。日本の盟友であるはずのバイデン政権が、2030年に新車販売の50%を環境に負荷をかけない「ゼロエミッション車」とする自動車の電動化目標の中から不思議なことにHVを除外していたことは気になるところである。
EV化は中国にとっても大チャンスであり、これまでガソリン車では日本車の牙城に食い込むことはできなかったが、ここは開発独裁で一気にEV化を押し進めEV市場の主要キープレイヤーとして名乗りを上げたいと考えている。
一方でEV化の代償として既に、中国ではリチウムイオン電池の廃棄物で溢れているという。
電池の廃棄物問題は他の産業にも通じる、これからの影の側面を暗示しているようにも見える。
閉じる
EVのボトルネックをどう解消してゆくか(12月13日)
トヨタ自動車が進めている全固体電池はリチウム電池にとって代わるEV市場の流れを劇的に変えるゲームチェンジャーとして期待を集め、研究・開発が進められてきたが、ここにきて電解質内のリチウムイオン拡散など、技術的な課題がボトルネックとなり、EVの電池については当面、リチウムイオン電池を改良したもので対応していく方針となった。
リチウムイオン電池には問題が多く、異常過熱による発火や爆発など、安全面の課題もある。...
全部読む
トヨタ自動車が進めている全固体電池はリチウム電池にとって代わるEV市場の流れを劇的に変えるゲームチェンジャーとして期待を集め、研究・開発が進められてきたが、ここにきて電解質内のリチウムイオン拡散など、技術的な課題がボトルネックとなり、EVの電池については当面、リチウムイオン電池を改良したもので対応していく方針となった。
リチウムイオン電池には問題が多く、異常過熱による発火や爆発など、安全面の課題もある。こうしたリチウムイオン電池の問題点はスマートフォンやノートパソコンのバッテリー爆発事故や、発火事故などで一般にもよく知られている。
同じようなバッテリーによる事故はEVでも起きる。電池セルがショートして熱が発生し、それがバッテリー内の化学物質に引火し、隣接しているセルに燃え移り広がることも知られている。
これが“熱暴走”と呼ばれる現象であり、発火や爆発を誘発するものである。韓国では2020年から現在に至るまで現代自動車のEVである「コナEV」が発火事故を起こし、米国ではGMの「シボレー」が発火し、3度にわたってリコールが実施された。
専門家によると、リチウム電池は、電解液の可燃性が高く、充電しても不具合のある電池セルが少しでもあると、過充電となり発火する可能性が高まるという。
中国ではここ2年間でEVの火災が累計1万件起きており、そのうち8割が充電中のリチウム電池発火によるものである。
こうした安全面での問題点があるにも関わらず、世界はEV化にまっしぐらに突き進んでいる。例えばドイツでは2030年までに、1500万台までEVを増やすという、9年でおよそ50倍にするというのはどこかの部分に負荷がかかることを意味することにもなりかねない。
期限を切ることによって安全性の確保よりスピードが優先されていった場合、この先バッテリーによる発火・爆発事故は増加していくものと予想される。
EV分野では出遅れが指摘される日本の自動車産業だが、最終的にはトヨタ自動車のように慎重な姿勢が必要なのかもしれない。
閉じる
「日本の技術」内の検索