コロナ禍と並行し、全米でアジア系住民を対象としたヘイトクライムが後を絶たず、著名人がSNS上で声を上げるなど世界的にも関心が広がっており、米国以外のカナダ、ドイツ、フランス、オランダ、ニュージーランドでも抗議デモが拡大している。バイデン米政権は1月に政府が発表した、差別やハラスメント、ヘイトクライム防止策を記した覚書を基に、対策をさらに強化するとしている。
3月30日付米国
『US News&World Report』は「ホワイトハウスがアジア系ヘイト問題対策強化を発表」との見出しで以下のように報道している。
火曜バイデン政権は、コロナ禍で増加するアジア系住民に対する暴力への対応策をファクト・シート(概況報告書)で発表。ニューヨークでアジア系女性が蹴るなどの暴行を受けた防犯カメラ映像が公開された数日後のタイミングとなった。警察によると犯人の男は差別的発言をしていたという。この時警備員とみられる男性が仲介に入らず、被害者を助けることもせずにドアを閉めたことも多くの疑念を生んでいる。
バイデン政権はアジア系への外国人嫌悪へ対策を行う小委員会を設置し、司法省による具体的支援策を指示したという。これは1月バイデン氏が発表した人種差別と憎悪を批判した覚書を補強するものとなる。
差別や犯罪の実態件数の把握は、すべてが報告に上がる訳ではないため難しいが、アジア系住民は、コロナ禍が始まって以来、多くの嫌がらせや差別に声を上げてきた。アジア系住民や太平洋諸島の住民への憎悪事件を追跡している「Stop AAPI Hate」の今月の報告書によれば、2020年3月から今年2月までの期間、アジア系住民への憎悪事件は3,795件に上った。また、今月のカリフォルニア州立大学憎悪とヘイト研究センターの報告書では、2020年に警察に報告された16都市でのアジア系へのヘイトクライムは約150%増加したという。
3月31日付米国『Wall Street Journal』は「BTSからイギリスまで、アメリカ国外でもアジア系差別問題に注目が高まる」との見出しで以下のように報道している。
アメリカのアトランタのスパ発砲事件を機にデモが起きたことで、アジア系住民に対する暴力問題への関心が世界で拡大している。アジア系への支援者輪がSNS上で拡大し抗議デモも増加しており、数十年くすぶってきたヘイト問題に注目が集まっているという。
火曜韓国のグループBTSはツイッター公式アカウントを通じ、メンバーもその容姿から罵りやからかいを受けてきたと告白。「今起きていることは、アジア人としてのアイデンティティから切り離すことはできない。」とし、リツイートや「いいね」は3百万に上った。
アジア系差別への抗議デモは、ここ数週間でカナダ、ドイツ、フランス、オランダ、ニュージーランドにまで広がりを見せている。グーグル・トレンドによると、ヘイトクライムに関する検索ワード1位は「アジア系へのヘイトクラム」で過去12か月での注目度は1650%増だという。
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