2020年、フランスの映画館の入場者数が70%近く減少した。この劇的な減少は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために取られた外出禁止令などの規制措置によって引き起こされた。
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『ルモンド』によると、新型コロナウイルス対策として取られた営業禁止令や入場者数の制限といった措置だけでなく、上映できる作品自体も不足したため、フランスの映画館にとって2020年は非常に厳しい年となった。現在も1月7日までの営業休止となっているフランス全国の映画館は、昨年の観客数が一昨年前に比べて69.4%減少した。フランス国立映画映像センター(CNC)の年次報告書によると、2019年には映画館の入場者数が2億1,000万人を超えたのに対し、2020年の入場者数は6,510万人にとどまった。...
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『ルモンド』によると、新型コロナウイルス対策として取られた営業禁止令や入場者数の制限といった措置だけでなく、上映できる作品自体も不足したため、フランスの映画館にとって2020年は非常に厳しい年となった。現在も1月7日までの営業休止となっているフランス全国の映画館は、昨年の観客数が一昨年前に比べて69.4%減少した。フランス国立映画映像センター(CNC)の年次報告書によると、2019年には映画館の入場者数が2億1,000万人を超えたのに対し、2020年の入場者数は6,510万人にとどまった。
報告書によると、劇場は新型コロナウイルス対策のために2回にわたって、合計162日間の休業を余儀なくされた。2020年全体で見ると、入場者数は前年比30%だが、2ヶ月間の完全休業を経た6月は特に厳しい状況だった。6月の、劇場の営業日数は10日未満であったことからも入場者数は91.1%減を記録した。
また有望なフランス長編映画を含む大型作品数十本の公開が今なお延期されている。しかしCNCの統計と調査の責任者であるダナール氏は、「今でもフランス人は映画館に行くことを好んでいる。カップルで、家族で、あるいは友人と一緒に出かける場所として、今でも最も親しまれているのが映画館だ」と指摘している。そして、「オンラインで今までになく多くの作品が見られる状況の中でも、10月には300万人が映画館に戻ってきた。その10月には、劇場の75%が、夜間禁止令が発動された地域にあったにもかかわらずだ。」と付け加えている。
仏『レゼコー』によると、フランス映画館連盟(FNCF)は2019年の売上高が14億ユーロ(約1770億円)以上であったのに対し、2020年には約10億ユーロ(約1260億円)の収入を失うことになると発表した。FNCF代表のマルク=オリビエ・セバッグ氏は、「劇場は国家の援助のおかげでこの12月まで大量の倒産を免れた。しかし、劇場閉鎖が1月末まで続く場合は、倒産が発生する可能性がある」と懸念を表明している。
配給会社やフランス国立映画映像センターなどを含めた広い意味での映画産業は、8月末に発表された復興計画の枠組みの中で、映画館の営業損失を補填する仕組みも含めて1億6,500万ユーロ(約208億円)の恩恵を受けた。そして、FNCFによると、合計で8000万ユーロ(約100億円)近くが映画館に支払われたという。
過去10年間、毎年20本以上の映画が200万人以上の入場者数を記録してきたが、2020年に3本の映画だけが200万人以上を動員できた。
このような危機的状況の中で、それでも希望を持てる理由はいくつかあるという。視聴率調査会社「コムスコア・フランス」のエリック・マルティ支社長によると、第一に「入場者数が、劇場が再び休業に入る前の10月末にほぼ正常なレベルに戻っていた。これは、大衆が映画館に戻りたいと思っている証拠だ」と指摘している。第二に、「アメリカ映画の入場者数が77%の減少を記録したのに対し、フランス映画の入場者数は61%の減少にとどまり、フランス映画の方が好調な点」を挙げている。そのためフランスの「映画市場は、70%以上の減少を記録しているほとんどの他のヨーロッパ諸国と比較して、ダメージがいくらか軽い」と述べている。
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