イランの目的はオマーン湾に位置するジャスク港の石油出荷基地からイランで生産した石油の一部を輸出可能とすることにあった。
中東からアジア、ヨーロッパおよび北アメリカに輸出される石油の大部分はペルシャ湾とオマーン湾をつなぐホルムズ海峡を経由してきた。従ってホルムズ海峡は政治的に敏感な地域で、多くの外国船籍、とりわけ米国の軍艦がパトロールを行っており、過去数か月間でイランの革命軍の船舶との間で多くの小競り合いが起こっている。...
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イランの目的はオマーン湾に位置するジャスク港の石油出荷基地からイランで生産した石油の一部を輸出可能とすることにあった。
中東からアジア、ヨーロッパおよび北アメリカに輸出される石油の大部分はペルシャ湾とオマーン湾をつなぐホルムズ海峡を経由してきた。従ってホルムズ海峡は政治的に敏感な地域で、多くの外国船籍、とりわけ米国の軍艦がパトロールを行っており、過去数か月間でイランの革命軍の船舶との間で多くの小競り合いが起こっている。 ちなみに、2019年から現在まで2回ほどイランと米国間で戦闘寸前まで発展したことがある。
なお、新しく建設した石油パイプラインで最初の段階として、イランは、今から来年3月までに35万バーレル/日の石油をジャスク港の石油出荷基地から輸出しようと考えており、その後の出荷量は100万バーレル/日とする計画である。
イランは新しいパイプラインと出荷基地の完成でこれまでペルシャ湾沿いのカーク石油出荷基地にのみに依存していた輸出体制を2つの出荷基地とすることで輸出能力の強化を図りたいと考えている。
すなわち、イランとしては、トランプ前大統領による2018年からの米国のイランに対する経済制裁で苦しめられてきた中で、新しいパイプラインと出荷基地の建設完成が状況を好転することを期待している。
米国の経済制裁前にイランは250万バーレル/日の石油を生産していたが、現在は経済制裁のため100万バーレル/日以下の生産量となっている。
イラン石油大臣によれば、米国の経済制裁が解けたら生産量を現状の3倍に引き上げられると語った。イランのためにも米国のイランに対する経済制裁が早急に解除されることに期待したい。
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