米国アマゾン・ドット・コムの物流配送センターでは、注文を受けた商品をロボットが運び梱包するなど、オートメーション化を進めてきたが、ロボットでより生産性と安全を強化をし、仕事をより充実したものにしているという同社の見解とは逆に、作業員の単純作業や怪我が増加するという問題も起きているという。
9月29日付米国
『CNBC』は「アマゾンが倉庫での負傷率増加を軽視しているとの調査報告」との見出しで以下のように報道している。
調査報道センター(「Reveal」)によるアマゾン社内部の安全報告書によると、アマゾンでは、2016年から倉庫での作業員の負傷率が増加しているという。
同社は重傷の怪我の中には、軽い捻挫も含むと反論しているが、怪我の増加については否定をしておらず、怪我防止と怪我を減らすよう努めたいとしている。...
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9月29日付米国
『CNBC』は「アマゾンが倉庫での負傷率増加を軽視しているとの調査報告」との見出しで以下のように報道している。
調査報道センター(「Reveal」)によるアマゾン社内部の安全報告書によると、アマゾンでは、2016年から倉庫での作業員の負傷率が増加しているという。
同社は重傷の怪我の中には、軽い捻挫も含むと反論しているが、怪我の増加については否定をしておらず、怪我防止と怪我を減らすよう努めたいとしている。機械と歩行者を分けるための、フォークリフトのガードレールなどの作業支援器機を導入し、人間工学的を改善するプログラム等、数千万を投じた安全対策を今後も継続しているとしている。
2019年には重傷事故が14000件起きている。配送センターでは100人あたり7.7人の負傷率となる。これは業界の標準の2倍に近い割合である。
内部報告書によれば、時期(アマゾンのPrime Dayディスカウントやハイシーズン)と並行して、オートメーション化が進んだ施設での負傷率が高くなっている。自動化された配送センターの作業員は、1時間に400商品をスキャンしなければならない(非自動化センターでは100商品)。2019年から月あたりの負傷率は、プライムデー(7月)の当りでピークとなっていた。
アマゾンは2012年にキバ・システムズを買収後、倉庫へのロボットシステム導入を加速。出荷商品の取り出し、パッキング、出荷のプロセスをロボットや機械が徐々に担うようになった。ロボット導入が進むにつれ、アマゾンはテクノロジーにより効率性と安全性が向上したとしていた。
同社では、以前にも安全性が問題となっていた。Revealの別の調査報告では、全国平均より重傷率が高いとされるなど、配送サービス関連企業の安全性軽視も問題となっていた。
9月30日付英国『BBC』は「アマゾンで倉庫のロボットによりスタッフの負傷増加」との見出しで以下のように報道している。
アマゾンではロボットの利用が従業員の負傷の増加につながったという。調査報道センター(CIR)がアマゾンの配送センター150か所の4年間の内部記録を入手。通常の配送センター間で比較すると、ロボットを導入している所の方が、重傷の怪我が50%多かったという。
アマゾンは2012年に効率化のためロボットを導入、作業員の生産性の向上も期待されたが、ロボットが商品を運ぶ傍ら、作業員は、持ち場に立ちっぱなしで、同じ単純作業を継続してやることが増えたのだという。昨年だけでも、休業や、仕事の制限が発生するような重大な怪我が14000件発生。トータルの負傷率は業界の中でも2倍に近い。いくつかの倉庫では業界平均の5倍のところもある。
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