1週間近く前の前回報道時以降も、日本や欧州等北半球に第2波、3波が襲来していて、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行鎮静化の兆しは全くみえない。10月30日午後4時半現在、感染者4,501万8,354人(前回より+280万3,978人)、死者118万1,027人(同+3万6,708人)、致死率2.6%(同▼0.1%)となっている(米ジョンズ・ホプキンズ大学集計データ引用)。
10月30日付
『AP通信』他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
≪ハイライト≫
●世界保健機関(WHO):欧州の直近の感染者が1,000万人の大台突破となったと公表し、再び今春以来の感染爆発が起こりつつあると警鐘。
●欧州連合(EU):加盟27ヵ国に対して、COVID-19対策に協力して当たるべく総額2億2千万ユーロ(約268億円)を支援と発表。
●米国:共和党牙城のテキサス州で、ドナルド・トランプ大統領(74歳)はCOVID-19改善と嘯いたが、実際はエルパソ(メキシコ国境沿い)で新たな都市封鎖措置導入。
●インド:先月の一日10万人感染より漸減傾向にあるものの、依然ニューデリー等大都市圏での感染が深刻で、5~6万人の感染ペース。
●フランス:11月より、特別の事情を除き、自宅から1キロメートル以上離れることを禁止。違反者には135ユーロ(162ドル、約1万6,500円)の罰金賦課。
●スペイン:非常事態に伴う対応措置(夜間外出禁止等)を2021年5月まで延長。
●英国:イングランド北方のウェストヨークシャーにおいても、11月2日より第3段階の最も厳しい行動規制開始(対象者200万人)。
●日本:感染者が10万人に迫る勢いで引き続き増加。
≪WHO≫
・WHO欧州地域のハンス・クルーゲ事務局長(52歳、ベルギー人医師)は、先週の欧州の感染者が150万人で、欧州全体で遂に1,000万人の大台突破と発表。
・同局長は、“各国の医療機関は、再び今春以来のひっ迫状態になりつつあり、死者も30%以上増加”とした上で、“欧州が再び感染爆発の危機に陥りつつある”と警鐘。
≪EU≫
・欧州委員会(EUの政策執行機関)のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(62歳、ドイツ人政治家)は10月29日、EU加盟27ヵ国代表とのテレビ会議において、感染が再び増加しているCOVID-19防止対策のため、支援金として2億2千万ユーロを拠出する用意があると発表。
・同委員長は、“域内の集中治療室の空き状況をもっと情報共有し、必要に応じて国境を越えての患者移送を行う等、EUが費用補填することで対策が十分とれるようにする”と表明。
≪米国≫(感染者904万3,390人、死者23万2,194人、致死率2.6%)
・共和党が牙城の米南部テキサス州では、ドナルド・トランプ大統領が過日、COVID-19感染状況が改善したと嘯いていたが、エルパソ(メキシコ国境沿い)では患者急増で医療機関がひっ迫したため、10月29日より再び2週間の行動規制措置を決定。
・エルパソ郡のリカルド・サマニエゴ判事は、“病院や医療従事者の業務がひっ迫しており、必要不可欠な事業以外、例えば、タトゥー、美容院、ネイルサロン、ジムや対面の会食等、不要不急のものは禁止とし、前例のないほどの死者を出さないよう対応する必要がある”と強調。
≪インド≫(感染者808万9,593人、死者12万1,144人、致死率1.5%)
・保健省発表では、先月の一日当たり10万人のピークを過ぎ、ここ1ヵ月以上漸減傾向にあって、直近2週間では6万人弱まで減少。
・これに反して、首都ニューデリーでは唯一、第3波とみられる感染爆発が起こりつつあると警鐘。
・原因の一つは、大都市で大気汚染が再び深刻化し始めたことに伴う、呼吸器疾患の患者急増。
≪フランス≫(感染者128万2,769人、死者3万6,020人、致死率2.8%)
・全国で11月以降、再び不要不急の外出禁止措置導入。食料品買い付け、通学等の必要不可欠な場合を除き、自宅から1キロメートル(約0.6マイル)を超えての外出不可。違反者には135ユーロの罰金賦課。
・行政府の長であるジャン・カステックス首相(55歳、2020年7月就任、大統領に任命・罷免権)は10月29日、“国内の病院の集中治療室は既に62%も占有されていることから、これ以上の重症患者を出さないため、新たな外出禁止措置が必要不可欠”と強調。
≪スペイン≫(感染者116万83人、死者3万5,639人、致死率3.1%)
・国会は10月28日、緊急事態措置を来年5月9日まで延長することを採択。これは、夜間外出禁止令や、その他地方ごとの感染防止策実施を許容するもの。
・一日の感染者が再び上昇に転じており、欧州で2位の感染者数(1位はフランス)。
≪英国≫(感染者96万5,342人、死者4万5,955人、致死率4.8%)
・感染者が一日約9万6千人と再び急増しているイングランド北部のウェストヨークシャーで、11月2日より第3段階の最も厳しい行動制限導入決定。対象住民は200万人。
・これによって、パブやレストランは閉鎖、また、他の家族との室内での面談等も禁止。
≪日本≫(感染者9万8,852人、死者1,733人、致死率1.8%)
・国内感染者が再び上昇に転じていて、横浜港停泊のクルーズ船乗客の感染者712人を含めると10万人超。
・感染者の約3分の1が東京都。
・感染症専門家は、都市封鎖措置を講じない日本で、欧州や米国のように“感染爆発”が発生していないのは、マスク着用等の感染症対策が以前から慣習化していたことや、ソーシャルディスタンシング等今回の感染症対策がしっかり取られていたことが要因と分析。
・但し、専門家は、会食や飲み会の席、またオフィス等での感染拡大阻止に向けて更に注意が必要とコメント。
・一方、厚生労働省は、新規感染者の半分近くが20代~30代の若年層とのデータを公表して注意喚起。
≪バチカン市国≫(感染者27人、死者0人)
・イタリアで感染者が再び急増(感染者61万7千人)していることから、フランシスコ法王は、一般参拝者の受け入れ停止を決定。
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