アマゾンは21日、子会社である自然派食品スーパーの「ホールフーズ」の7つの店舗で手のひらをスキャナにかざすだけで代金を支払うことができる、手のひら決済を導入すると発表した。
米IT系ニュースサイト
『pcmag』によると、手のひらをかざすだけの決済システムは「アマゾンワン」と呼ばれ、2020年9月に世間にお披露目された。その後、レジ無しコンビニ「アマゾンゴー」、同じく食品スーパー「ゴーグローサリー」、書店の「アマゾンブックス」、アマゾン評価で4つ星評価の商品を販売しているお店「アマゾンフォースター」の各店舗で「アマゾンワン」が導入された。今度はホールフーズの店舗でも、非接触型の支払いシステムが導入される。
『pcmag』は、パンデミック下で非接触決済サービスの導入メリットは明確であり、ホールフーズでの展開は必然であると伝えている。唯一の驚きは、アマゾンがシステムを拡大していっているスピードだという。
ホールフーズ・マーケットの最高技術責任者兼テクノロジー担当上級副社長のアルン・ラジャン氏は、「ホールフーズ・マーケットでは、お客様のショッピング体験を向上させるための新しく革新的な方法を常に模索しています。アマゾンとの緊密な連携により、プライム会員割引、オンラインでの食料品の配送や受け取り、無料返品などの特典をお客様に提供してきましたが、本日から支払い方法としてアマゾンワンを追加できることを嬉しく思います。」と話している。シアトル地域の7つの店舗でまずは展開していく。
英紙『ガーディアン』によると、手のひら決済は、ユーザーが自分の手のひらをアマゾンのシステムに登録することで、「手のひら」署名でクレジットカードと連携して支払いを行うことができる。ユーザーの手のひらの表皮の下にある線、しわ、静脈、骨、軟部組織などの構造を分析して署名を作成する仕組みとなっており、アマゾンは2019年に特許を出願している。
一方で、この署名はデータクラウドに保存されるため、ハッカーなどの悪意のある人物にさらされる可能性があると指摘されている。データ・人工知能・分析チャネルのシニアリサーチアナリストであるペイジ・バートリーは、「生体情報は、漏洩してもデータを変更することができないため、悪意ある攻撃者、ハッカー、標的型攻撃の標的にされるリスクが高い」と述べている。
「クレジットカードが盗まれたとしても、そのカードを解約して番号を変更することができる。しかし、手のひらの指紋などの生体情報が保存されていて、その情報が漏洩した場合、手のひらの指紋を変更することはできない。」と注意を促している。
またアメリカでは、こうしたアマゾンの新技術の導入に対して、雇用をなくしてしまう可能性があるとして不安の声も上がっている。全米食品商業労働組合のマーク・ペローネ会長は昨年2月に、米「USA Today」に対し、「残酷な真実は、アマゾンがひとつのことに集中しているということです。できるだけ多くの仕事をなくしていくということです。」と、「アマゾンゴー」や「ゴーグローサリー」の店舗について述べていた。
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