(北朝鮮が再度ミサイル実験)
29日北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射し、失敗した。およそ50キロ離れた北朝鮮内陸部に落下したが、国連安保理の閣僚級会合が開かれたタイミングに合わせたものとみられる。このミサイルについて、米国メディアは中距離弾道ミサイル「KN-17」と分析している。北朝鮮としては米国から攻撃されないように、リスクヘッジしながら米国には屈しないという意思を貫いた形だったが、トランプ大統領はTwitterで「北朝鮮はミサイルを発射し、中国の願いをないがしろにした。...
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(北朝鮮が再度ミサイル実験)
29日北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射し、失敗した。およそ50キロ離れた北朝鮮内陸部に落下したが、国連安保理の閣僚級会合が開かれたタイミングに合わせたものとみられる。このミサイルについて、米国メディアは中距離弾道ミサイル「KN-17」と分析している。北朝鮮としては米国から攻撃されないように、リスクヘッジしながら米国には屈しないという意思を貫いた形だったが、トランプ大統領はTwitterで「北朝鮮はミサイルを発射し、中国の願いをないがしろにした。ひどい」と投稿し、北朝鮮が中国の面子をつぶしたと批判した。一方、原子力空母・カールビンソンは、共同訓練を行ってきた海上自衛隊の護衛艦などと共に、29日昼過ぎ、長崎県沖の対馬海峡を相次いで通過し日本海入りし、防衛省によると海上自衛隊との共同訓練は終了したという。今月末までに韓国海軍と共同訓練を行うとみられるが、この再度のミサイル発射実験を受けて、トランプ大統領がどう動くのか、読み取っていきたい。
(中国への圧力を強める米国)
今後、起こりうるケースは米国が中国側への圧力をこれまでにないレベルまで強めることで、いくつかある北朝鮮の石油のバルブの一部を止めてしまうことを考えている。これで物流の足が止まる。北朝鮮の軍の動きも止めることにもつながる。さらには中国に点在している北朝鮮系のダミー企業の活動をストップさせるなどして、経済的に締め上げるオプションもある。この場合、北朝鮮としてはロシアとの関係を強化することになる。ロシアが北朝鮮との間を結ぶ定期航路を発表したことは記憶に新しいが、ロシアとしてはシベリア開発のための格安の労働力として北朝鮮と握っておきたい思惑とシリア・イランと共に影響下に置いておきたいという思惑がある。
(米国の先制攻撃はあるのか?)
国連安保理では米国、日本、韓国は圧力強化を主張したが、中国、ロシアは対話を通じた解決を主張した。結局、中国とロシアが連携し、北朝鮮への制裁が骨抜きになってしまう形勢にある。以前から「国連決議を伴わない米国の単独行動も辞さない」と主張してきたトランプ大統領にとってこの内容は想定内である。国連抜きでピンポイントで、北朝鮮の核施設を先制攻撃する可能性もないとは言えない。具体的にどのような攻撃が考えられるのだろうか。ブルームバーグ4月20日の記事によると “米国防総省が活用できる手段の一つは、北朝鮮の核施設がある寧辺を標的に潜水艦またはステルス機から精密誘導爆弾で攻撃することと述べている。さらには豊渓里の核実験場の攻撃である。ノースロップ・グラマン製のB-2爆撃機がバンカーバスター爆弾を落とす可能性がある。あるいは、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの試射を準備していることが分かれば、発射場所を攻撃するか、ミサイルを打ち落とすこともできる。” とニックアダムス氏は述べている。
(トランプ大統領はどう出るか?)
核・ミサイル開発を推進する北朝鮮のこれ以上の放置は危機を拡大させることになる。日本や韓国などの同盟国への反撃(サリンを搭載したノドンミサイルの発射やミサイルによる原発攻撃、日本や韓国内におけるテロ活動)や、核のデータがイランやシリアに流れてしまうことが懸念材料だし、BBCは25日の朝鮮人民軍創建85周年記念日に行われた実弾砲撃訓練が“ソウルは自分たちの砲弾の射程圏内にある”との韓国への明確なメッセージだったと報道した。トランプ大統領としては北朝鮮の核運用とICBMの実験を不可能にすることが最大の優先課題ではあるだろうが、これまで述べてきたように単純に先制攻撃をするという選択肢は難しいだろう。次の一手をトランプ大統領がどう打つかに注目が集まっている。
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(緊迫する朝鮮半島情勢)
25日は、朝鮮人民軍創立85周年記念日であり、米国の原子力空母・カールビンソンを中心とする第1空母打撃群が北朝鮮沖に到着予想日でもある。さらに東京では日米韓による6か国協議首席代表会合が行われる。北朝鮮は16日にもミサイル実験を行ったことなどから、25日前後には核かミサイル実験を行う可能性は十分ある。21日には、日本政府が北朝鮮の弾道ミサイルが国内に着弾する事態に備え、都道府県の防災担当者向けの説明会を開催した。...
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(緊迫する朝鮮半島情勢)
25日は、朝鮮人民軍創立85周年記念日であり、米国の原子力空母・カールビンソンを中心とする第1空母打撃群が北朝鮮沖に到着予想日でもある。さらに東京では日米韓による6か国協議首席代表会合が行われる。北朝鮮は16日にもミサイル実験を行ったことなどから、25日前後には核かミサイル実験を行う可能性は十分ある。21日には、日本政府が北朝鮮の弾道ミサイルが国内に着弾する事態に備え、都道府県の防災担当者向けの説明会を開催した。また内閣官房のウェブサイトである国民保護ポータルサイトの閲覧件数が急増している。今、日本人はそれぐらい朝鮮半島周辺には危機が迫っていると感じている。緊迫する北朝鮮情勢は今後、どう動くのか。読み取ってみたい。
(核実験の準備は整っている)
20日、北朝鮮は「超強力な先制攻撃」を示唆し、軍事的圧力を強める米国をけん制した。また、北朝鮮の核実験場の衛星画像からは施設関係者らしき人々がバレーボールをやっている様子が確認できたが、今は人影は見られない状況で、いつ核実験が行われてもおかしくない様子で、38ノースの北朝鮮専門家ジョゼフ・バーミュデッツ氏は「核実験の準備が整っている」との見方を示した。
(中国に期待を寄せるトランプ大統領)
トランプ大統領は米国が直接手を出さずに、中国が北朝鮮に核・ミサイル実験を思いとどまらせるという新たな戦略を描いていると思われる。21日、北朝鮮の核・ミサイル実験阻止に向けて「簡単なことではないことはわかっているが、北朝鮮問題を解決するために中国は行動するだろう」「中国が行動するのなら米国と中国はよいパートナーになれる」と習主席を絶賛しつつ、中国の影響力行使に絶大な期待を寄せたことからもそのことがうかがえる。中国は北朝鮮に対し軍事的圧力を加える以外にも、石油の輸出を止めることでミサイルの発射や、北朝鮮の軍の車両の動きを止めることができ、また金融、人の流れ、情報の流れ、航路を止めることで北朝鮮が身動きがとれないようになるという影響力を持っている。また、中国が北朝鮮の政治的後ろ盾にならないことで地域、国際社会から北朝鮮を孤立させることもできるとトランプ大統領は読んでおり、最終的には中国が北朝鮮をより安全な国家として再構築していくことを望んでいる。
(不可解なロシアの動き)
こうした中、ロシアが不可解な動きを見せている。19日、ロシア企業がロシアと北朝鮮を結ぶ定期航路を発表。20日の国連安保理では当初米国が反対していた「対話を通じて」の文言がロシアの強烈なプッシュで盛り込まれた報道声明が採択された。こうした一連の動きの背景にはシベリア開発において、北朝鮮の安価な労働力に期待するロシアの思惑が見え隠れしている。さらには中国から北朝鮮を引きはがし、シリア・イランと共に関係強化を図りたいと考えていることもある。こうしたことはトランプ大統領にとっては今後のリスク要因となり得るだろう。
(トランプ大統領のねらい)
トランプ大統領は北朝鮮周辺には原子力空母・カールビンソン等を集結させ、圧力をかけ、中国からはより直接的な圧力をかけさせることによって、北朝鮮には核やミサイルの開発や実験を止めさせようと考えている節が読み取れる。また、韓国の大統領選においても影響力を増大させようと考えていると思われる。
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(トランプ大統領・すぐには動けない)
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に圧力を加えるため、トランプ大統領は原子力空母・カールビンソンやミサイル巡洋艦、駆逐艦、潜水艦を北朝鮮沖に向かわせている最中に、しかも「ペンス副大統領の訪韓に合わせるかのように4月15日北朝鮮はミサイル発射を行ったが、失敗に終わった。現在200人規模の外国人記者団がピョンヤンで北朝鮮によるプロパガンダの取材で滞在中のためか、動きをつけずらい状態である。...
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(トランプ大統領・すぐには動けない)
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に圧力を加えるため、トランプ大統領は原子力空母・カールビンソンやミサイル巡洋艦、駆逐艦、潜水艦を北朝鮮沖に向かわせている最中に、しかも「ペンス副大統領の訪韓に合わせるかのように4月15日北朝鮮はミサイル発射を行ったが、失敗に終わった。現在200人規模の外国人記者団がピョンヤンで北朝鮮によるプロパガンダの取材で滞在中のためか、動きをつけずらい状態である。しかも日本、韓国など同盟国の意向も考慮する必要がある。その中でトランプ大統領はどう動くのか、難しい局面に直面している。
(北朝鮮のさらなる核・ミサイル実験はあるか)
15日の金日成生誕105年にあたる記念日を迎え、北朝鮮は軍事パレードおよび新型ICBMを連想させるミサイルを初公開し、米国を威嚇した。崔竜海党副委員長は式典の冒頭で米国に対し「全面戦争には全面戦争で、核戦争には核攻撃戦で対応する」と宣言した。15日、韓国・聯合ニュースは「北朝鮮がミサイル一発を発射したが、失敗したとみられる」と報道した。中距離ミサイルとみられ、米ホワイトハウス当局者は今後の対応について「大統領が特に対処する必要はない」としているとし、「当面は静観する姿勢を示している」としているが、今後、さらなる核・ミサイル実験が行われた場合には米国の威信が丸つぶれとなり、何らかの行動を起こさなければトランプ大統領としては示しがつかない状況になる。しかしその時、トランプ大統領が軍事行動を起こすにはかなりの戦略的な効果を必要とすることになる。
(米韓合同軍事演習が終了する30日ぐらいまで緊迫した情勢が続く)
トランプ大統領は中国の北朝鮮への説得に期待をかけてきたが、今回北朝鮮がミサイル発射に踏み切ったことで、トランプ大統領の圧力が100%は効いていないことを意味し、なんらかの軍事的制裁を加える方向性が強まったことになる。米国は北朝鮮政策の見直しをほぼ終え、金正恩体制の変更は求めないものの、非核化に動き出すまで最大限圧力をかけ続ける方針を固めたとも伝えられている。すでに沖縄・嘉手納空軍基地にはミサイルが搭載された戦闘機がスタンバイ状態にあるという。また、北朝鮮沖に向かっていたカールビンソンの位置情報が14日から更新されなくなったのも、「作戦が漏れないようにするため」だという。米国はカールビンソン等の戦略行動の鍵を握る人物、NSC・マクマスター安全保障補佐官を中心に次の一手を決めようとしている。どの段階がレッドラインなのか、不明にさせたまま、米韓合同軍事演習が終了する30日頃までしばらくは朝鮮半島の緊迫した情勢が続くことになりそうだ。
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今を生きる日本人にとって、最大の関心事の一つは、「北朝鮮による核・ミサイル開発」ではないだろうか。
(近々に北朝鮮の核実験・ミサイル発射はあるか)
米中首脳会談が7日に終わった。今後、注目されるのは北朝鮮の核・ミサイル実験についてである。今までは4月11日のキムジョンウン就任5周年、15日のキムイルソン生誕105年あたりに行う可能性があると言われてきたが、北朝鮮はトランプ大統領のシリアへのミサイル攻撃を目のあたりにして、動きずらくなったと言えよう。...
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今を生きる日本人にとって、最大の関心事の一つは、「北朝鮮による核・ミサイル開発」ではないだろうか。
(近々に北朝鮮の核実験・ミサイル発射はあるか)
米中首脳会談が7日に終わった。今後、注目されるのは北朝鮮の核・ミサイル実験についてである。今までは4月11日のキムジョンウン就任5周年、15日のキムイルソン生誕105年あたりに行う可能性があると言われてきたが、北朝鮮はトランプ大統領のシリアへのミサイル攻撃を目のあたりにして、動きずらくなったと言えよう。
(北朝鮮は今は動きにくい)
今回行われた米中首脳会談の中でトランプ大統領は「中国が共に行動しないのであれば米国は(北朝鮮に対し)単独でも対応する」と発言し、中国にクギを刺した。今、金正恩委員長としてはこのような米国に言われっぱなしの状況下で何も行動しないことは、米国の圧力に屈したことになると考えているが、それでも動きにくいのが現実である。
(だが北朝鮮が動けば、米国の軍事行動の可能性は高くなる)
もしこうした状況下でも、核やミサイルの実験を行えば、米国が軍事行動を起こす可能性が高いとみているはずである。おりしも米韓合同軍事演習には米原子力空母カールビンソンが参加しているのに加え、特殊部隊であるデルタフォースと、シールズも参加している。また来月9日には親北朝鮮政権が韓国に誕生する可能性が高いとみており、米国にとっても今が、北朝鮮を攻撃できる数少ないチャンスと考えているとしても不思議はない。北朝鮮が何か事を起こしたら、それを口実に米国は北朝鮮を空爆や金正恩暗殺をねらう可能性も考えられる。それほどまでに米国の軍事展開が現実的な視野に入ってきた。
(ティラーソン国務長官がロシアを訪問)
一方で中国は米国と首脳会談を終えたばかりであり、夏から秋にかけてトランプ大統領の訪中が予想されている。また来週11日から12日までプーチン大統領と旧交があるティラーソン国務長官がロシアを訪問するなど、北朝鮮が頼みとする中国やロシアも今は北朝鮮の行動を水面下でもサポートしずらい時期である。
(トランプ大統領の動きを見定めている北朝鮮)
思い起こせば昨年11月、12月、1月前半のトランプ大統領就任まで北朝鮮の核・ミサイル実験は無かった。これは北朝鮮がトランプ大統領の出方を見定めていたからで、その北朝鮮が今後数か月以内に核・ミサイル実験を行えるのかのかどうかか注目のポイントとなる。
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4月6日から2日間、習近平国家主席がフロリダ州を訪問し、トランプ大統領と初の米中首脳会談が行われる。習主席はフィンランドからの帰り道に立ち寄る形となる。「米国側は安倍総理夫妻をもてなしたフロリダの別荘から10キロ離れたリゾートホテルを習主席に提供する」など安倍首相に対する扱いとは大きく違っている。
それにしてもなぜこのタイミングでの米中首脳会談なのか。「日程が早まった最大の理由は北朝鮮の挑発」と防衛大校長・国分良成氏は指摘した(NHK3/31)が、米国本土も射程に収めるICBM大陸間弾道ミサイルや、核弾頭の小型化などが実用化目前とされるなど北朝鮮が格段に技術を進歩させていることが大きいと思われる。...
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4月6日から2日間、習近平国家主席がフロリダ州を訪問し、トランプ大統領と初の米中首脳会談が行われる。習主席はフィンランドからの帰り道に立ち寄る形となる。「米国側は安倍総理夫妻をもてなしたフロリダの別荘から10キロ離れたリゾートホテルを習主席に提供する」など安倍首相に対する扱いとは大きく違っている。
それにしてもなぜこのタイミングでの米中首脳会談なのか。「日程が早まった最大の理由は北朝鮮の挑発」と防衛大校長・国分良成氏は指摘した(NHK3/31)が、米国本土も射程に収めるICBM大陸間弾道ミサイルや、核弾頭の小型化などが実用化目前とされるなど北朝鮮が格段に技術を進歩させていることが大きいと思われる。
トランプ大統領としては、中国になんとか北朝鮮を抑制してもらいたいと思っているが、その一方でトランプ大統領の意をくんだティラーソン米国務長官が「北朝鮮に対する戦略的忍耐の政策は終わった」と語るなど、中国が北朝鮮に対し何も手を打たないのならば、米国としても軍事的に対応することもやぶさかではないとの考えをトランプ大統領が習主席にちらつかせる可能性がある。
英国の経済紙「フィナンシャルタイムズ」は電子版でトランプ大統領のインタビューを伝えた。トランプ大統領は首脳会談で核とミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応を協議する方針を示した上で、「中国は我々に協力するかどうか決断することになる。協力しないなら誰の得にもならない」と述べ、北朝鮮への圧力を強めるために中国が協力すべきだと改めて強調した。
さらに中国抜きでも対応を進める考えを示すしたが、具体的な方策には触れなかった。
今回行われている米韓合同軍事演習でもフセインを追い詰めたデルタフォース、ウアサマビンラディンを殺害したシールズを参加させていることからも、トランプ政権のそうした強硬姿勢がみてとれる。
特に気がかりなのは、この2日間の米中首脳会談の最中、北朝鮮が何か行動を起こさないかという事である。
安倍首相とトランプ大統領が会食している最中に、ミサイル実験を行ったような事態が起きると、米中は何か行動を起こさなければならず、極めて深刻な事態になると考えられる。
トランプ大統領は国内政治で失策続きだが、米中首脳会談をその汚名挽回のチャンスととらえている。もちろん中国は北朝鮮に対する新たな制裁プランを米国に対するおみやげとして用意してくるかもしれないが、情勢はこれまでになく緊迫している。
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