米国・トランプ大統領・中国との貿易交渉“暫定合意検討も”(9月13日)
米国・トランプ大統領は中国との貿易交渉について「包括的合意が望ましい」とした上で、一部分野について妥結を図る暫定的合意について検討することもありうるとの考えを示した。
米国大統領「関税上乗せ延期へ」(9月12日)
米国のトランプ大統領はTwitterでの投稿で来月1日に予定していた中国からの輸入品のうちすでに発動している2500億ドル分への関税を25%から30%に引き上げる措置の発動について、来月15日に延期する方針を明らかにした。
トランプ大統領は中国のリュウカク副首相に求められた来月1日に中国の建国70年を祝うことから15日に延期することに同意したとしている。
米中対立の行方2中国側からみた展望(9月12日)
日本国際問題研究所・客員研究員・津上俊哉が解説した。
昨年3月、トランプ大統領(著書「『米中経済戦争』の内実を読み解く」「巨龍の苦闘」など)が中国に対して最初の関税引き上げを予告してから既に一年半が経過した。
1930年代、世界中が自国経済を守るために、関税を引き上げたり通過を切り下げたりする競争に走ったことが、第二次世界大戦勃発の遠因となったとされている。
昨年10月、米国・ペンス副大統領が厳しい対中批判演説をしたことから想像以上に事態が深刻なことに気付いた。...
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日本国際問題研究所・客員研究員・津上俊哉が解説した。
昨年3月、トランプ大統領(著書「『米中経済戦争』の内実を読み解く」「巨龍の苦闘」など)が中国に対して最初の関税引き上げを予告してから既に一年半が経過した。
1930年代、世界中が自国経済を守るために、関税を引き上げたり通過を切り下げたりする競争に走ったことが、第二次世界大戦勃発の遠因となったとされている。
昨年10月、米国・ペンス副大統領が厳しい対中批判演説をしたことから想像以上に事態が深刻なことに気付いた。
昨年11月、アルゼンチンで開かれたG20で決まった90日間の貿易休戦の間に、中国はかなり大胆な譲歩を提案していた。
ところが5月に、中国の交渉態度が大きく後退した。米中貿易戦争の応酬が激しくなっていった。
米国に屈するなという中国のムードは最近の香港問題によって強まっていることにも注意が必要である。
NHKの番組「視点・論点」を参考にした。
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貿易戦争から覇権争いへと熾烈な戦いは続く(9月7日)
関税で中国を締め上げた米国は、安全保障上問題があるとしてファーウェイや天津海光先進技術投資、成都海光集成電路、成都海光微電子技術、中科曙光、無錫江南計算技術研究所を米国版ブラックリストに載せ、取引を禁じるなどハイテク分野でも中国を締め上げている。さらに中国を為替操作国認定し、為替自由化や資本取引の自由化を梃に、本格的な構造改革を迫り、中国の共産党体制を揺さぶろうという次元にまで話を進めている。具体的には中国に、固定相場制を放棄せよと求めており、これは共産主義国に、資本主義国になれと言っているに等しい。...
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関税で中国を締め上げた米国は、安全保障上問題があるとしてファーウェイや天津海光先進技術投資、成都海光集成電路、成都海光微電子技術、中科曙光、無錫江南計算技術研究所を米国版ブラックリストに載せ、取引を禁じるなどハイテク分野でも中国を締め上げている。さらに中国を為替操作国認定し、為替自由化や資本取引の自由化を梃に、本格的な構造改革を迫り、中国の共産党体制を揺さぶろうという次元にまで話を進めている。具体的には中国に、固定相場制を放棄せよと求めており、これは共産主義国に、資本主義国になれと言っているに等しい。さらに安全保障では航行の自由を掲げ、南シナ海、東シナ海、台湾海峡のパトロールを頻繁に行うことで軍事的にも中国をけん制している。香港デモ問題では内政問題を主張する中国をよそに「第二の天安門事件は見たくない」と世界の目を香港にくぎ付けにし、ウィグルやチベット問題の存在を声高に叫び中国をけん制している。また、台湾総統選挙で蔡英文に肩入れするなど米国・トランプ政権は次から次へと中国を追い込む仕掛けを中国に突き付けている。中国が苦境に追い込まれれば追い込まれるほど、中国国内外資企業や富裕層が、自由度の高い金融機関に資産をシフトさせる「キャピタル・フライト(資本流出)」が起きてくることも予想され、結果的にますます中国は追い込まれることになる。米国は、時々条件を緩めながら、貿易や安全保障などの交渉において中国に徐々に譲歩を迫っていき中国を米国が望むカタチに変えていこうと圧力をかけ続けている。
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米中圧力の掛け方の違い(9月7日)
米中覇権争いによって世界がふりまわされている。圧力をかける事に関して言えば両者とも力づくで他国を従わせる点では共通している。今までは中国の方がより露骨であったが、トランプ大統領の場合は強烈なパンチを見舞うことも多い。以前に麻生副総理が指摘したことでもあるが、中国は途上国にインフラ整備のためとニコニコしながら近寄り、借金漬けにして国家資産を差し押さえ、支配するというまるでサラ金のようなやり方で途上国を支配していくスタイルも見られる。...
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米中覇権争いによって世界がふりまわされている。圧力をかける事に関して言えば両者とも力づくで他国を従わせる点では共通している。今までは中国の方がより露骨であったが、トランプ大統領の場合は強烈なパンチを見舞うことも多い。以前に麻生副総理が指摘したことでもあるが、中国は途上国にインフラ整備のためとニコニコしながら近寄り、借金漬けにして国家資産を差し押さえ、支配するというまるでサラ金のようなやり方で途上国を支配していくスタイルも見られる。スリランカでは南部ハンバントータ港の運営権を中国側が99年間握ることになったことはよく知られている事実である。後で気が付いたら、えらい高い金利で返せなくなるのを百も承知で中国は金を貸している。中国から高金利のインフラローンを組まされた国はほかにもジプチ、キルギス、ラオス、モンゴル、モルジブ、モンテネグロ、タジキスタン、パキスタン、トンガなどがある。アフリカ諸国も中国に警戒感を持たない国々が多くあり債務のワナに陥るのは時間の問題であるとして懸念されている。さらに中国はタイやラオス、ベトナムなどのメコン川流域国を上流の水加減をコントロールすることで支配するという露骨なやり方もしている。メコン川上流にあるラオスのダム建設資金は中国政府が貸し手であり、実は建設や運営も中国電力建設集団など中国国営企業が担っている。上流の重要施設は中国の手の中にあるといえる。今、香港デモで話題になっている香港に関しても電力は中国本土から供給されており、反中国の動きに対してこの部分を絞ってしまえばいいという姿勢である。
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