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行程表なき大成功(5月11日)
米朝首脳会談は6月12日にシンガポールで開催されることになった。トランプ大統領は「大成功を収めるだろう」と述べたと伝えられている。両首脳が会って、握手をして、どのような合意がなされるのか。
非核化の合意がなされたことによって「大成功」になるのだろう。「2年以内に」などの期限についてトランプ大統領は口にするだろう。ただし具体的な行程表は実務者同士の折衝になる。うまくいかなければ実務者が悪いことになる。完全な、あるいは恒久的な、不可逆的な非核化には2年以上の年月がかかる。このため2年内でできることで、決着をつけようと考えてしまうかもしれない。
「大成功」の会談の後での行程表の作成で両国間に齟齬がでた場合でも、金正恩委員長にとっては失うものはそれほど多くない。最悪で北朝鮮に対する2017年水準の制裁に戻るだけである。韓国や中国の制裁が緩和方向にあることを考えると、2017年水準の制裁はないと考えているはずである。
米朝が狙う合意の中身(5月11日)
米朝首脳会談は、6月12日シンガポールで開催で決まった。
トランプ米大統領は意欲満々であり、北朝鮮・金正恩朝鮮労働党委員長も満足げである。
一昨日行われた米国・ポンペイオ国務長官と金委員長の会談では実務的な問題や手続きなど協議し、首脳会談開催に向け、重要な進展があったとみられる。
しかし一体どんなことが進展しているのか具体的には、表面化していない。
金委員長の立場から言えば、米国からの「核開発のデータ廃棄」「数千人ともみられる核開発に関係した技術者を海外に移住させる」等の厳しい条件は、笑って受け入れられるものではないだろう。...
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米朝首脳会談は、6月12日シンガポールで開催で決まった。
トランプ米大統領は意欲満々であり、北朝鮮・金正恩朝鮮労働党委員長も満足げである。
一昨日行われた米国・ポンペイオ国務長官と金委員長の会談では実務的な問題や手続きなど協議し、首脳会談開催に向け、重要な進展があったとみられる。
しかし一体どんなことが進展しているのか具体的には、表面化していない。
金委員長の立場から言えば、米国からの「核開発のデータ廃棄」「数千人ともみられる核開発に関係した技術者を海外に移住させる」等の厳しい条件は、笑って受け入れられるものではないだろう。
トランプ大統領は、「日本も韓国も中国も喜ぶだろう」と大きなジェスチャーを交え、抱負を語った。
日本が特に喜ぶとしたら、核兵器の完全廃棄と拉致被害者の帰国が実現することであろう。
また日本ができることとすれば、経済援助ということになるのだろうか。
まさか、ポンペイオ国務長官と金委員長の会談で、そんな話が出ているのだろうか。
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北朝鮮の拘束から解放の3人・米国に帰国(5月10日)
北朝鮮による拘束から解放された米国人3人は米国の首都ワシントン近郊のアンドリュース空軍基地に到着した。
トランプ大統領自らが乗り込んで出迎えた後メラニア夫人も含めてそろってタラップの上に姿を見せ帰国を歓迎した。
トランプ大統領は「北朝鮮に拘束されていた3人が解放された」とTwitterで明らかにした。
3人はスパイ行為や敵対的な犯罪行為などをしたとして3年前から去年5月にかけ拘束された。...
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北朝鮮による拘束から解放された米国人3人は米国の首都ワシントン近郊のアンドリュース空軍基地に到着した。
トランプ大統領自らが乗り込んで出迎えた後メラニア夫人も含めてそろってタラップの上に姿を見せ帰国を歓迎した。
トランプ大統領は「北朝鮮に拘束されていた3人が解放された」とTwitterで明らかにした。
3人はスパイ行為や敵対的な犯罪行為などをしたとして3年前から去年5月にかけ拘束された。
3人の解放は史上初となる米朝首脳会談に向け懸案となっていて、トランプ大統領はポンペイオ国務長官を北朝鮮に派遣して調整を進めていた。
3人の解放についてトランプ大統領は「誰もこのようになるとは思わなかった。キム委員長が彼らを解放してくれたことに感謝する。」と述べた。
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米国の厳しい要求(5月10日)
今朝の朝日新聞に目を通すと、米国の驚きの要求が目を止めさせた。
米国は、北朝鮮に対して、「核開発のデータ廃棄」「数千人ともみられる核開発に関係した技術者を海外に移住させる」ことを要求しているということだった。
特に数千人規模の海外移住ということになれば、前代未聞である。
当然北朝鮮は、難色を示しているという。
北朝鮮観測筋が明らかにしたというこの情報は、米朝首脳会談のお膳立ての状況がいかに厳しいものであるのかをうかがわせるものでもある。...
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今朝の朝日新聞に目を通すと、米国の驚きの要求が目を止めさせた。
米国は、北朝鮮に対して、「核開発のデータ廃棄」「数千人ともみられる核開発に関係した技術者を海外に移住させる」ことを要求しているということだった。
特に数千人規模の海外移住ということになれば、前代未聞である。
当然北朝鮮は、難色を示しているという。
北朝鮮観測筋が明らかにしたというこの情報は、米朝首脳会談のお膳立ての状況がいかに厳しいものであるのかをうかがわせるものでもある。
更に米国は、生物化学兵器などすべての大量破壊兵器の廃棄も求めているという。
加えて、長距離弾道ミサイルと同等能力を持つ人工衛星を搭載した宇宙ロケットの発射も認めないと要求している模様である。
また米国は、「核兵器の廃棄を終える期間と方法を数カ月から2年で実行する」ように主張している。
金正恩が習近平を7日に訪問し、相談した内容には、米国から求められたこんな条件に対応する事もあったと考えられる。
ただポンペオ米国務長官と交渉した金正恩が「内容には満足した」と述べた意味は何なのか気がかりではある。
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金正恩再訪中:何を話し合ったのか(5月9日)
5月8日金正恩委員長が中国の大連で習近平主席と、3月末に続いて再度会談を行った。初訪中から40日余での再訪であり、異例のことである。朝鮮半島に関しては、9日に2年半ぶりに開催された日中韓サミットでも議題となり、またポンペオ国務長官が同じく9日に北朝鮮を再訪している。米朝首脳会談にむけて朝鮮半島をめぐる事態が大きく動いている。
では金正恩再訪中で何が話し合われたのか。5月6日に北朝鮮の外務省スポークスマンの「米国が北朝鮮の完全な核廃棄まで制裁と圧力を続けて朝鮮半島情勢を再び緊張させようとしている」と非難したことの北朝鮮側の真意を釈明したのかもしれない。...
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5月8日金正恩委員長が中国の大連で習近平主席と、3月末に続いて再度会談を行った。初訪中から40日余での再訪であり、異例のことである。朝鮮半島に関しては、9日に2年半ぶりに開催された日中韓サミットでも議題となり、またポンペオ国務長官が同じく9日に北朝鮮を再訪している。米朝首脳会談にむけて朝鮮半島をめぐる事態が大きく動いている。
では金正恩再訪中で何が話し合われたのか。5月6日に北朝鮮の外務省スポークスマンの「米国が北朝鮮の完全な核廃棄まで制裁と圧力を続けて朝鮮半島情勢を再び緊張させようとしている」と非難したことの北朝鮮側の真意を釈明したのかもしれない。さらに8日夜に習近平主席はトランプ大統領と電話会談を行っているのだがそれもヒントになる。そこで中国は「朝米双方が相互に信頼し、段階的に行動していくことを希望する」「北朝鮮に対する敵視政策がなくなり、安全への脅威がなくなったならば核が必要なくなる」、つまり北朝鮮への安全への脅威がある間は核が必要だということを強調している。遅くとも大統領選挙までに成果をあげたいトランプ大統領に対し、習近平主席は「段階的に行うように」今一度念をおしていることになる。「段階的に非核化を行いたい」という北朝鮮の思いは、たとえば在韓米軍の駐留などを口実に非核化の引き延ばし戦略ができると思っていたのに、米国自身が在韓米軍の撤退を口にすることに対して、時間稼ぎできなくなるという北朝鮮の危機感もあったのだろう。
さらにイラン核合意からの米国の離脱も北朝鮮の危機意識をあおったのかもしれない。3月末に中朝首脳会談が行われた時点でこの事態は予想されていたことであるが、いざ離脱が目前になった段階で、もう一度米中による北朝鮮への体制の保証、米朝首脳会談によって発表される合意事項の米国による遵守の確約を必要としたともいえる。
一方中国にしてみれば、朝鮮半島の平和には中国の関与が必要であることも強調したかったのだろう。米国・北朝鮮と並んで中国こそが平和協定への調印者であることを今一度強調する必要があった。
そのためには中朝の友好度のアピールも忘れない。これまでは習近平中国国家主席と金正恩国務委員長との会談であったものが、今回はこれらの肩書の前に、各々中共中央総書記、労働党委員長の肩書をつけている。さらに成果としての第一には両国の伝統的友誼が、第二に社会主義国家同士としての団結が、第三に両党(中国共産党と朝鮮労働党)の高官の往来など交流の強化がいわれている。かつて中朝関係は「党と党が特別な関係」にある国家だった。しかし1992年の中韓国交樹立後は、他の国交関係にある国家と同じ関係になっていた。今回の金正恩訪中によって両国は再び「特別な関係」になったわけである。
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