米中北・米朝首脳会談に向け動く(5月9日)
北朝鮮・金正恩労働党委員長が中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。これを受け、米国・トランプ大統領は習主席と電話で会談した。
史上初の米朝首脳会談を前に北朝鮮の非核化について話し合った。
金委員長がきのうまでの2日間、中国を訪問し習主席と会談した。
金委員長が訪中したのは最高指導者に就任以降ことし3月に続いて2回目で、この様子を北朝鮮国営テレビも伝えた。
中国中央テレビによると習主席は「米朝が対話と交渉で朝鮮半島問題を解決するのを支持し半島問題の対話による平和的解決のプロセス推進と地域の恒久的な安定のため、積極的役割を果たしたい」と述べた。...
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北朝鮮・金正恩労働党委員長が中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。これを受け、米国・トランプ大統領は習主席と電話で会談した。
史上初の米朝首脳会談を前に北朝鮮の非核化について話し合った。
金委員長がきのうまでの2日間、中国を訪問し習主席と会談した。
金委員長が訪中したのは最高指導者に就任以降ことし3月に続いて2回目で、この様子を北朝鮮国営テレビも伝えた。
中国中央テレビによると習主席は「米朝が対話と交渉で朝鮮半島問題を解決するのを支持し半島問題の対話による平和的解決のプロセス推進と地域の恒久的な安定のため、積極的役割を果たしたい」と述べた。
これに対し金委員長は「朝鮮半島の非核化実現はわれわれの一貫した明確な立場であり関係国が敵視政策と安保上の脅威を除けば、われわれは核を保有する必要はなく非核化を実現できる」を表明した。また非核化に一定の条件を付ける考えを強調した。
こうした中、米国・トランプ大統領は日本時間の昨夜、習主席と電話で会談した。金委員長の会談について説明を受けたという。
両首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発計画を恒久的に報告するまで制裁の継続が重要だという認識で一致したとしている。
一方、中国国営の新華社通信によると習主席は米朝双方が互いへの信頼を高め、段階的な行動をとって北朝鮮の安全保障への懸念も考慮するよう望むと述べ最終的な非核化に向けて北朝鮮の要求にも応じるべきという考えを示した。
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北朝鮮・金正恩委員長・再び訪中か(5月8日)
中国・遼寧省大連で迎賓館に続く道路はきのうから厳しい交通規制が敷かれた。
国際空港では北朝鮮国営のコリョ航空機と金正恩朝鮮労働党委員長の専用機と同型機の姿が確認された。
北朝鮮の要人が大連を訪れたものとみられる。
黒塗りの車列も確認された。韓国・連合ニュースは北朝鮮消息筋の話として北朝鮮の最高位級の要人が中国側と接触していると報道した。
接遇の状況などから金委員長の可能性が高まっていると伝えた。...
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中国・遼寧省大連で迎賓館に続く道路はきのうから厳しい交通規制が敷かれた。
国際空港では北朝鮮国営のコリョ航空機と金正恩朝鮮労働党委員長の専用機と同型機の姿が確認された。
北朝鮮の要人が大連を訪れたものとみられる。
黒塗りの車列も確認された。韓国・連合ニュースは北朝鮮消息筋の話として北朝鮮の最高位級の要人が中国側と接触していると報道した。
接遇の状況などから金委員長の可能性が高まっていると伝えた。航空機は日本時間午後4時20分ごろ飛び立った。
金委員長は3月に訪中し習近平国家主席と会談を行ったばかりで、韓国大統領府は「相当な重きを置いて鋭意注意している」としている。
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南北感情のしこりは消えるのか(5月7日)
対立する二人であってもそこに共通の敵が現れればその二人は力を合わせて敵を倒そうとするが、敵を倒した途端、またいがみ合いに戻るという構図は往往にしてある。今の南北朝鮮の融和ムード、協力関係はまさにその構図にみえる。韓国にとって米国は敵とはいえないが、立ちはだかるものであるのではないか。
このため今後米朝首脳会談の行方次第では、南北融和ムードが変わってしまう可能性もある。進展の少しの歪みで、お互いに自分が見たいと思っているところだけを見ていたのが、いやなところもあったことに気づく可能性もある。...
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対立する二人であってもそこに共通の敵が現れればその二人は力を合わせて敵を倒そうとするが、敵を倒した途端、またいがみ合いに戻るという構図は往往にしてある。今の南北朝鮮の融和ムード、協力関係はまさにその構図にみえる。韓国にとって米国は敵とはいえないが、立ちはだかるものであるのではないか。
このため今後米朝首脳会談の行方次第では、南北融和ムードが変わってしまう可能性もある。進展の少しの歪みで、お互いに自分が見たいと思っているところだけを見ていたのが、いやなところもあったことに気づく可能性もある。それ以上に心配なのは、地域対立の感情である。かつて韓国の大統領選挙のときに地域によって候補者の得票率が全く異なっていたことがあった。とくに慶尚道と全羅道の対立は顕著であった。このように地域感情が激しい朝鮮半島の人々が、両地域間の人々の往来もないままに、本当に融和することは可能なのだろうか。
あるいは文化や考え方の相互理解は大丈夫なのか。確かに文在寅大統領と金正恩委員長は通訳無しで話し合いができる。しかし分断後70年がすぎ、社会科学の用語や言葉使い、発音などに違いがでている。また北朝鮮でも韓国のドラマをこっそり見ている人もいるようだが、お互いのプロパガンダ的な部分しか見ることができていない可能性もある。いわゆる脱北者の人々の中には韓国の生活になじめない人々もいる。
またもし統一、あるいは統一まではいかなくても南北朝鮮の間で人々が自由に往来できるようになったとしたならば、どの人が韓国の出身で、どの人が北朝鮮の出身か一目瞭然にわかる。体格が全く違っているからである。北朝鮮の人々は栄養不足から小柄でやせている人々が多い。物理的に南の人は北の人を見下すことになる。
現在の融和ムードのなかで相手への期待感が大きくなればなるほど、その気持ちにわずかな齟齬が生じたときに、裏切られたという思いが強くなってしまいかねない。地域感情はさらにそれを増幅させる可能性もある。
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北朝鮮の米国非難の意図(5月7日)
スウェーデンで開催されていた卓球の世界選手権で南北合同チームが急遽編成されるなど、融和ムードが続いていた朝鮮半島情勢であるが、日中韓の首脳会談や米朝首脳会談を前に、北朝鮮は、米国が制裁と人権で圧力を加え続けているとして、米国を非難した。
5月6日、北朝鮮の外務省報道官が北朝鮮の朝鮮中央通信の記者の質問に答えて述べたもの。「(板門店宣言で示された非核化の意思が)米国の制裁と圧力の結果であるように世論を操作している」「(米国が)北朝鮮の完全な核廃棄まで制裁と圧力を続けて朝鮮半島情勢を再び緊張させようとしていると非難した」(「連合ニュース」2018年5月6日)。...
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スウェーデンで開催されていた卓球の世界選手権で南北合同チームが急遽編成されるなど、融和ムードが続いていた朝鮮半島情勢であるが、日中韓の首脳会談や米朝首脳会談を前に、北朝鮮は、米国が制裁と人権で圧力を加え続けているとして、米国を非難した。
5月6日、北朝鮮の外務省報道官が北朝鮮の朝鮮中央通信の記者の質問に答えて述べたもの。「(板門店宣言で示された非核化の意思が)米国の制裁と圧力の結果であるように世論を操作している」「(米国が)北朝鮮の完全な核廃棄まで制裁と圧力を続けて朝鮮半島情勢を再び緊張させようとしていると非難した」(「連合ニュース」2018年5月6日)。
なぜこの時期に北朝鮮は米国を非難したのか。首脳会談の準備段階で何らか齟齬があった可能性もあるが、それよりも会談が米国の主導で行われるのではない、北朝鮮から提案したことを強調し、優位にたとうとしているように思われる。
首脳会談の場所と日時が間もなく発表できるだろう、拘束されていた米国人が間もなく解放されるだろうと、トランプ大統領が次々とフライング気味にツイッターで発表し、自分の手腕を誇示している、ことへの苛立ちである。
北朝鮮としては、「米国の思惑に乗せられているわけではない」「(制裁に)屈服などしていない」ことを示し、米国が(北朝鮮から見て)勝手気ままにふるまえば、いつでの「首脳会談から降りる」用意がある、とアピールしているようにも見受けられる。
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米朝首脳会談、場所と日程間もなく決まる(5月5日)
(米朝首脳会談に向けて高まる南北融和ムード)
5月末もしくは6月上旬に行われる米朝首脳会談に向けて南北融和ムードが高まっている。韓国は南北境界線上にある拡声器を撤去、北朝鮮は標準時間を韓国に合わせ5月5日から元に戻した。日中の首脳が初めての電話会談を行い、板門店宣言を評価することで一致したというのもこれまでではあり得ない動きだ。英国で行われた賭けの対象にノーベル平和賞候補として、金正恩委員長、文大統領、トランプ大統領の名前が挙がったり、卓球の世界選手権で南北合同チームが結成され、いきなり銅メダルを獲得してしまうなどといった話が世界を駆け巡っている。...
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(米朝首脳会談に向けて高まる南北融和ムード)
5月末もしくは6月上旬に行われる米朝首脳会談に向けて南北融和ムードが高まっている。韓国は南北境界線上にある拡声器を撤去、北朝鮮は標準時間を韓国に合わせ5月5日から元に戻した。日中の首脳が初めての電話会談を行い、板門店宣言を評価することで一致したというのもこれまでではあり得ない動きだ。英国で行われた賭けの対象にノーベル平和賞候補として、金正恩委員長、文大統領、トランプ大統領の名前が挙がったり、卓球の世界選手権で南北合同チームが結成され、いきなり銅メダルを獲得してしまうなどといった話が世界を駆け巡っている。今の世界はトランプ大統領と金正恩の2人を中心に回っているといっても過言ではないのではないか。トランプ大統領は自分がいかにベルリンの壁崩壊に匹敵する歴史的大イベントの主役となり、11月の中間選挙を有利に導くことができるかということを中心に置き、一方の金正恩委員長は核兵器を温存しながらいかに経済援助を引き出していくかという点に主眼を置いていると感じる。
(米朝首脳会談はいつどこで行われるか)
米韓首脳会談が今月22日ワシントンで行われるとの発表があったが、いよいよ米朝首脳会談の具体的な場所と時間がまもなく決定するものとみられる。米朝首脳会談の焦点は検証可能で不可逆的な非核化の行方がどうなるのかに注目が集まっている。さらに拘束された3人の韓国系米国人がいつ解放されるのか、日本の拉致被害者がどうなるのかという点も注目だが、3人の米国人の解放に関しては米朝会談開催の前提条件となっているので、遅くとも5月中旬ぐらいまでに解放されることになるだろう。開催場所と時間については6月16日に中立的なシンガポールで行われるとの観測も挙がっている。ただ、劇的な演出効果が期待でき、歴史的意義が強調できる板門店になる可能性も高い。
(一方北朝鮮による偽装平和攻勢であるとの見方も)
こうした楽観的な空気に異議を唱える声もある。こうした動きは北朝鮮の偽装平和攻勢であり、韓国は過去2度もだまされており、歴史をさかのぼってみればそれはわかるという。金大中大統領が南北首脳会談を実現させ、ノーベル平和賞をもらった当時、北朝鮮に韓国が提供した5億ドルや、その後、ノムヒョン大統領が南北首脳会談を実現させた際に北朝鮮に提供した1億ドルは北朝鮮の核・ミサイル開発の資金に流れた。また日本の拉致被害者について北朝鮮は全員死亡しているとの立場であり、調査はするものの、結局同じ結果になる可能性もある。北朝鮮は情報を小出しにしながら日本からなんとか資金や経済援助を引き出そうとするだろう。非核化については先に北朝鮮に核を放棄させ経済制裁を緩和させるリビア方式を主張する米国に対し、朝鮮戦争終戦から平和協定プロセスに米国を引き込むことで米国に武力行使というオプションを使えなくさせることを狙っている。日本にとって最悪なのはトランプ大統領がICBM廃棄と米国人3人の解放、そして平和協定プロセスの構築で北朝鮮と中途半端な妥協をしてしまうことだ。
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