トランプとマクロン仏大統領、正反対の二人でも相性抜群の仲(2018/04/24)
フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は4月23日から3日間、
トランプ大統領の大統領就任以来、最初の国賓としてアメリカを訪問している。一見すべての面で異なるトランプ大統領とマクロン大統領。共に昨年始めて国のトップに選ばれ、それから1年、互いを知るようになり、さらには、互いに認め合うようになっている。
仏ニュースのリポーターは「一方は、億万長者、保護主義者、反体制の実業家。他方は、エリート官僚養成学校出身者、エリート中のエリート、そして世界主義者。気候、世界貿易、イランなど、すべての主要な問題において意見が食い違う。しかし、彼らは波長が合い、シリアだけでなく様々なことでコミュニケーションを取り合っている。」とコメントしている。なぜこれほどまでに違う二人は波長が合うのか?
ル・パリジャン紙はこのように説明している。...
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仏ニュースのリポーターは「一方は、億万長者、保護主義者、反体制の実業家。他方は、エリート官僚養成学校出身者、エリート中のエリート、そして世界主義者。気候、世界貿易、イランなど、すべての主要な問題において意見が食い違う。しかし、彼らは波長が合い、シリアだけでなく様々なことでコミュニケーションを取り合っている。」とコメントしている。なぜこれほどまでに違う二人は波長が合うのか?
ル・パリジャン紙はこのように説明している。二人とも「伝統的な政党や政治演説から離れて」かつ、「誰からも期待されていなかった」時に選挙で勝利した。「共にナルシストで、互いに魅了されている」。
マクロン大統領は、ロスチャイルド家の銀行で投資銀行家としてのキャリアを経ており、その際にアメリカ文化に馴染み、アメリカでの人脈も持っており、英語も流ちょうに話す。そのおかげでトランプ大統領とは、仲介者を必要とせず、直で話し合いが出来ており、これもコミュニケーションがうまく取れている要因の一つになっている。
去年5月のNATO首脳会談で、二人の初会談での握手外交が有名だ。両大統領は互いの目を見ながら握手を交わしたが、こぶしが白くなるほど手をきつく握りあっていた。長い握手が続いた後、トランプ氏がようやく手を放そうとしたが、マクロン氏はトランプ氏の手をなかなか離さなかった。マクロン大統領側は、対等な相手として扱われることを意図した握手だったという。この自信たっぷりの若い大統領をトランプ大統領が気に入ったと見られている。
故ドゴール元仏大統領は、米国に対し次のようなモットーを持っていた。「穏やかな天候の時は独立して、嵐の時には連携する関係」。マクロン大統領は、トランプ大統領とは全ての問題で意見が異なるものの、シリアではしっかりと協力している。
年齢とスタイルの違いに関わらず、マクロン大統領は、トランプ大統領にとって欧州内の特別なパートナーになっている。
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仏メディア:グーグルの家宅捜索(2016/05/27)
租税逃れでフランスで最も槍玉に上がっていたグーグル社のパリ事務所に大規模家宅捜索が入った。EUでは近年グーグルなどIT系多国籍企業の租税逃れが問題となっており、昨年の秋にEU加盟国とG20加盟国は租税逃れ防止プランを採択した。OECD主導で練り上げたプランは通称「BEPS」と呼ばれる。フランスのメディアは次の通り報じる。
「税の最適化」か「租税逃れ」か
店舗など所在が明確な営利活動なら当然その国に税金が納められるが、オンラインというボーダーレスな世界で得た収益をどの国で課税するかは曖昧な部分もある。分かり易い例の一つがバナー広告クリックによる収益で、フランスでもここ数年問題視された。「今回の家宅捜索には、検察官や財務税務犯罪取締り当局に加え25名のIT専門家が同行」(
『パリジャン紙』)した理由でもある。「グーグル社は、脱税でなく“税の最適化”と反論してきた」。...
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「税の最適化」か「租税逃れ」か
店舗など所在が明確な営利活動なら当然その国に税金が納められるが、オンラインというボーダーレスな世界で得た収益をどの国で課税するかは曖昧な部分もある。分かり易い例の一つがバナー広告クリックによる収益で、フランスでもここ数年問題視された。「今回の家宅捜索には、検察官や財務税務犯罪取締り当局に加え25名のIT専門家が同行」(
『パリジャン紙』)した理由でもある。「グーグル社は、脱税でなく“税の最適化”と反論してきた」。(
『トリビューン紙』)この「税の最適化」はIT業界の多国籍企業では慣行となっており、税務当局の標的となった。
これまでの経緯
『トリビューン紙』によると、「税の最適化」との闘いは2011年に既に始まっている。「移転価格」調査で、家宅捜索や差し押さえがグーグルパリ事務所に入った。グーグル欧州本社は、EU低課税国の中でも企業収益に課税するアイルランドにおかれたため、欧州と米国で同時告訴された事がある。仏当局からは2014年3月に課税変更通知を受け取った。
『レゼコー紙』によると、「悪質な脱税」と「組織ぐるみのマネーロンダリング 」で仏政府が告訴した後、昨年2015年6月に仏検察はグーグルパリ事務所の予備調査を開始した。予備調査の焦点は三つで、「グーグルアイルランドがフランスに恒久的に事務所を有するか」と、「仏国内での企業活動の申告漏れの有無」、「グーグルアイルランド社の法人所得税と付加価値税での違反の有無」である。起訴の場合、グーグルは1千万ユーロか資金洗浄とみなされる額の半分のどちらかの罰金が課される。
今年4月に既にグーグル社はフランスで税評価修正を理由にフランス当局から訴訟手続き開始の恐れがあった。
『フィガロ紙』は「グーグル社は他の多国籍企業のように、欧州各国の税制遵守に対応するだろう」と報じる。昨年12月にアップル社は3億1800万ユーロをイタリアに未払い分として支払った。グーグルも英国に1億7千万ユーロの追徴課税を支払った。「営利活動を行う国で税金を支払うよう仕向けるために、国別の調査結果と税負担を企業は詳細に説明する必要がある」が、これは前述のOECDが起草した「BEPS」内での提案事項の一つで、課税ベースの浸食や利益移転に対抗するものだ。現に「我々は当局の捜査に協力し、フランスの法律を完全に遵守する」とグーグル広報が
『ロイター通信』に送った声明で述べた。
パナマ文書の影響もあり、グーグル社が譲歩する形をみせる一方で、
『レゼコー紙』は「IT責任者までもが尋問対象となれば、いずれ経営幹部は常に備えるようになる」と、いたちごっこになる可能性も示唆する。
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