【Globali】
米メディア;またしても黒人2人射殺の白人警官に無罪判決(2015/05/25)
2月16日付「ニューヨーク市警の新米警官は起訴」の中で、“2014年11月下旬にミズーリ州ファーガソン署の白人警官(18歳の黒人青年を射殺)が、また、12月初めにニューヨーク市警の白人警官(43歳の黒人被疑者を絞殺)が、それぞれ大陪審によって不起訴処分とされ、黒人等のマイノリティによる抗議行動が全米に広がった。しかし、誤射事件を起こした新米警官は、大陪審によって起訴されることになった”と報じた。しかし、その後も、白人警官による黒人の射殺事件は止むことなく続発していて、米連邦捜査局(FBI)長官が、米警察当局内に人種偏見が存在し、対処する必要があると認識すると、異例なコメントを表明する程である。そうした中、2012年に発生した、白人警官による黒人男女2名の射殺事件について、大陪審ではなく今度は裁判所が、殺人罪に問われていた同容疑者に無罪判決を言い渡したと米メディアが伝えた。
5月24日付
『CBSニュース』は、「オハイオ州の裁判所は5月23日、同州クリーブランドで2012年11月、武器を所持していなかった黒人の男女が乗っていた車のボンネットに上がって15発発砲し、2人を射殺したとして殺人罪に問われていた、クリーブランド署白人警官のマイケル・ブリーロ被告(31歳)に対して、無罪判決を言い渡した。当時、被害者であるティモシー・ラッセル氏(43歳)とマリッサ・ウィリアムズさん(30歳)が乗った車が、市警本部前を通過した際、たまたまバックファイア(エンジンのシリンダー内部の火炎が吸気管に逆流する現象)を起こし、警官らがその音を銃声と聞き間違えた。...
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5月24日付
『CBSニュース』は、「オハイオ州の裁判所は5月23日、同州クリーブランドで2012年11月、武器を所持していなかった黒人の男女が乗っていた車のボンネットに上がって15発発砲し、2人を射殺したとして殺人罪に問われていた、クリーブランド署白人警官のマイケル・ブリーロ被告(31歳)に対して、無罪判決を言い渡した。当時、被害者であるティモシー・ラッセル氏(43歳)とマリッサ・ウィリアムズさん(30歳)が乗った車が、市警本部前を通過した際、たまたまバックファイア(エンジンのシリンダー内部の火炎が吸気管に逆流する現象)を起こし、警官らがその音を銃声と聞き間違えた。ブリーロ被告と他12人の警官が、車を追跡して停止させた。車には合計137発の銃弾が撃ち込まれ、このうち、死に至らしめたとされる15発を含む49発を、ブリーロ被告が撃っていた。ジョン・オドネル判事は、被告が発砲した銃弾が2人に致命傷を負わせた可能性があるが、武器を所持しているか不明な中、早まって発砲したとは言えないし、故意による殺人と立証するには証拠が不十分だとした。」とし、「裁判所や市警前には200人余りが集まって抗議したが、多くの警察官が警戒に当ったこともあり、大きな騒ぎとはならなかった。なお、司法省が先日、クリーブランド署の取り調べが従来から行き過ぎていて、人権侵害を起こしていたと断定したこともあって、司法省、連邦地検及びFBIは、今回の事件の証言や証拠を改めて精査するとしている。」と報じた。
先に述べたように、未だに白人警官による黒人への過剰な対応が続発している。今年2月には、ロス・アンゼルス市警の白人警官が、殺人事件の容疑者と間違えて15歳の黒人少年を誤射(重傷だが命に別状はなかった)、3月にはウィスコンシン州マディソン市警の白人警官が、19歳の黒人青年を射殺している。
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米メディア;相も変わらず白人警官による黒人射殺事件再発(2015/03/11)
2月16日付「米連邦捜査局(FBI)長官、米警察内部の人種偏見を戒め」の中で、“FBIのコミー長官(54歳の白人)は、米警察当局内に人種偏見が存在し、対処する必要があるとの認識を示した。同長官は、白人中心の中で育った米国人には、人種偏見を持っている人が多くおり、また、警官になるときに人種偏見を持っていなくとも、白人以外の移民が多く住んでいる犯罪率の高い地区を巡回する警察官たちは、無意識のうちに人種偏見を抱きがちだと述べた”と報じた。そうした中、またしても白人警官による黒人青年の射殺事件が発生したと米メディアが伝えた。
3月8日付
『ワシントン・ポスト』紙は、「ウィスコンシン州警察は、ファーガソン(ミズーリ州)を反面教師として対応」との見出しで、「ウィスコンシン州(編注;米北東部の州で、スペリオル湖の南、ミシガン湖の西に位置)マディソンで3月6日夜、同市警所属の白人警官が、武器不所持の19歳の黒人青年を射殺する事件が発生した。同市警トップは、(昨年8月の)ファーガソン市警の失策が全米デモを引起したことを教訓に、①事件発生数時間後には遺族の元を訪れ遺憾の意を伝え(ファーガソン:殺害された18歳の黒人青年の情報を暫くの間公表せず)、②すぐさま加害者の白人警官の氏名等をメディアに公表(同:加害者情報を公表したのは1週間後)、③被害者の犯罪歴等をすぐリリースすることを拒否(同:加害者情報公表した際、撃たれる直前、被害者が窃盗をはたらいたというビデオを同時公表)する等の対応を取った。...
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3月8日付
『ワシントン・ポスト』紙は、「ウィスコンシン州警察は、ファーガソン(ミズーリ州)を反面教師として対応」との見出しで、「ウィスコンシン州(編注;米北東部の州で、スペリオル湖の南、ミシガン湖の西に位置)マディソンで3月6日夜、同市警所属の白人警官が、武器不所持の19歳の黒人青年を射殺する事件が発生した。同市警トップは、(昨年8月の)ファーガソン市警の失策が全米デモを引起したことを教訓に、①事件発生数時間後には遺族の元を訪れ遺憾の意を伝え(ファーガソン:殺害された18歳の黒人青年の情報を暫くの間公表せず)、②すぐさま加害者の白人警官の氏名等をメディアに公表(同:加害者情報を公表したのは1週間後)、③被害者の犯罪歴等をすぐリリースすることを拒否(同:加害者情報公表した際、撃たれる直前、被害者が窃盗をはたらいたというビデオを同時公表)する等の対応を取った。」とし、そして「しかし、人権活動家は、本事件は起こるべくして起こったもので、黒人への人種偏見に基づく制度を改善する等の話がなされた訳ではないと、同市警トップの対応を批判した。なお、今回の警官による発砲事件は、昨年立法化された新州法に従って、外部の機関によって検証されることになる」と報じた。
米国において、人種差別・人種偏見は、国の成り立ち・移民の歴史から、長い間取り組んできた重要課題であり、昨今の相次ぐ事件発生を見る限り、根本的な問題解決にはまだ長い道のりがあると言わざるを得ない。実は1965年3月7日、米南部アラバマ州セルマで、公民権運動(注後記)のひとつである、黒人に選挙権を与えるよう求めて行進していた黒人たちが、白人の警察隊から暴行を受けるという「血の日曜日」事件が発生していた。そして、当該事件が起きて50年目に当る3月7日にはオバマ大統領夫妻及びブッシュ前大統領夫妻が、また3月8日には約7万人の市民が、事件の起きた橋上を行進し、人種差別撤廃を訴えている。
(注)公民権運動:1950~1960年代、米国の黒人が、憲法で保障された個人の権利の保障と人種差別の解消を求めて行った大衆運動。その結果、1964年に公民権法(人種・宗教・性・出身国による差別禁止)が、1965年に投票権法(黒人の投票権剥奪を禁止)がそれぞれ成立。
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