ドバイ首長国に拠点を置く広告会社「ASDA’A BCW」は6日、アラブ人の若者を対象とした世論調査「アラブ・ユース・サーベイ」の結果を発表した。今年は、移住や汚職が若者の関心事のトップに来ている。
毎年行われているこのサーベイには、アルジェリア、バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モロッコ、パレスチナ、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦、イエメン、計15か国の国・地域の、18歳から24歳までの男女約4000人が参加している。
今年の調査では、アラブ人の若者の一番の関心事は移住であることが判明した。この地域の若者の10人に4人以上が、他国への移住を検討している、あるいは過去に検討したことがあると回答している。...
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毎年行われているこのサーベイには、アルジェリア、バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モロッコ、パレスチナ、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦、イエメン、計15か国の国・地域の、18歳から24歳までの男女約4000人が参加している。
今年の調査では、アラブ人の若者の一番の関心事は移住であることが判明した。この地域の若者の10人に4人以上が、他国への移住を検討している、あるいは過去に検討したことがあると回答している。
海外への移住志向の高い国・地域は、危機に見舞われたレバノン、リビア、イエメン、次いで北アフリカとなった。レバノン、リビア、イエメン、イラクでは、60%以上の若者が海外移住を検討している。
『エルサレムポスト』や『アルジャジーラ』によると、中でもレバノンでは77%もの若者が移住を検討しているという。反面、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の湾岸諸国では3%にとどまっている。
多くの若者が移住を検討している理由として、自国の貧弱なリーダーシップ、横行する汚職、広範な経済的失敗などへの失望をあげている。アラブ・ユースの77%が自国に汚職があると回答しており、特にイラク、リビア、チュニジア、イエメンが上位を占めている。
サーベイでは、若者が反政府デモを熱心に支持していることも判明した。アルジェリア、レバノン、イラク、スーダンではいずれも最近大規模な抗議運動が起こっており、それぞれの国の若者の80%以上が支持している。
『モロッコワールドニュース』によると、若者の3分の1以上は、政府が国内の汚職を止めること最優先事項とし、続いて新たな雇用創出に力を入れるべきだと回答している。
なお、若者の35%が借金をしており、2019年の21%から大幅に増加している。学生ローンや車のローンが主な借金内容となっている。
しかし、87%以上が失業を懸念していると回答しており、これらの借金に対処するのは難しい状況となっている上、政府が失業問題に対処できると確信しているのは、半数以下だった。
『エルサレムポスト』によると、若者の20%が、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、自分か家族の一人が職を失ったと答え、72%が仕事を見つけるのが困難だと答えている。就職に最も苦労しているアラブの若者はヨルダンで90%、レバノンで91%となっている。
『モロッコワールドニュース』は、2019年のサーベイと同様に、今年も、アラブ人の若者、特に北アフリカでは、宗教が自分たちのアイデンティティの重要な部分であると考えていると伝えている。
しかし、67%が中東では宗教があまりにも大きな役割を果たしており、66%が宗教機関の改革を希望していると回答している。イエメンとアラブ首長国連邦の若者が、宗教とのつながりが最も低く、宗教が自分たちのアイデンティティにとって重要な要素であると答えた若者は10%に満たない。
『モロッコワールドニュース』は、2020年のアラブ・ユース・サーベイは、この地域の若者が改革を熱望していることを改めて示していると伝えており、次世代が、緑の牧草地に見える海外の国に出ていくことがないよう、各国政府は仕事、教育、腐敗との戦いを優先すべきであると指摘している。
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