南北首脳会談と中国の立ち位置(4月28日)
歴史的な南北首脳会談の翌日(2018年4月28日)の日本の新聞各紙は1面トップで首脳会談を報じていた。それに対し、中国の共産党機関紙「人民日報」では習近平国家主席とインドのモディ首相の会談がトップ記事であり、南北首脳会談は3面右下での報道であった。
習近平一強体制が出来上がって以降、毎日「人民日報」の一面には習近平の写真が掲載されている。視覚効果による刷り込みを狙っているのだろうか。
しかしながら「人民日報」系の「環球時報」(ネット版)では27日の18時43分(日本時間19時43分)に南北首脳会談に関する社説を早速リリースしている。...
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歴史的な南北首脳会談の翌日(2018年4月28日)の日本の新聞各紙は1面トップで首脳会談を報じていた。それに対し、中国の共産党機関紙「人民日報」では習近平国家主席とインドのモディ首相の会談がトップ記事であり、南北首脳会談は3面右下での報道であった。
習近平一強体制が出来上がって以降、毎日「人民日報」の一面には習近平の写真が掲載されている。視覚効果による刷り込みを狙っているのだろうか。
しかしながら「人民日報」系の「環球時報」(ネット版)では27日の18時43分(日本時間19時43分)に南北首脳会談に関する社説を早速リリースしている。日本の報道ぶりとの違いはまず「朝鮮半島の戦争状態を本年中に終息させ、朝鮮半島の平和構築メカニズムができあがる」ことを非核化より前に紹介していることである。2番目に非核化にも触れているが、これに関しては「(北)朝鮮が金正恩時代になってはじめて公式に『核放棄』を述べている。」として、今回の会談は予想されていた成果の上限に達している(予想されたなかで一番良い結果)と評価している。
ただし半島情勢はまだまだ不安定で先の見えない状態にあるのは、もう一人の主役であるトランプ大統領がまだ登場していないからだとし、同大統領の「良い事だが、時を経て答えがでるであろう」「(米国は現在起こっていることに関し)習近平主席に感謝している」というツイッターの文章を紹介している。中国では一般にはツイッターは受発信できないにも関わらず、わざわざ紹介しているのである。
さらに南北首脳会談は、米朝会談の予行演習であるとさえ、述べているし、戦争状態の終結にしても非核化にしても「板門店宣言」は「願望」に過ぎず、確実なものとはなっていない。なぜなら、最終的にはトランプ大統領と金正恩委員長との会談で決まるのであり、韓国はパスを出すだけで、韓国の駆け引きの力は有限だからである、としている。
中国は、南北首脳会談、あるいは北東アジアの安定における平和構築のなかで韓国の役割を過小評価したいのではないかと思われる。韓国は朝鮮戦争の休戦協定の調印者にはなっていないことも一因であるが、それ以上に中国こそが、金正恩委員長をして、平和攻勢に変換させた立役者であり、北朝鮮の後ろ盾になっていて、米国にも影響力を奮っている影の主役である、と言わんとしているのではないか。米朝首脳会談では、中国がその場には存在しないものの、影の主役の座を狙っているものと思われる。
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北に対する中国の変化(4月28日)
(日米の北に対する最大限の圧力継続をけん制する中国)
米朝首脳会談に注目が集まる中、米朝首脳会談後にも中国・習近平国家主席は訪朝を計画しており、その存在感を示そうと懸命に準備を進めている。おそらく中国は4者協議をプラットフォームにしつつ、北朝鮮に対する影響力を発揮していきたい考えだ。そのスタンスは4月24日付・環球時報を見ていくとよくわかる。「もし米国や日本が今後も圧力路線を継続していくようなことがあれば、それは今の融和路線を台無しにするだけでなく、これまでになく悪化した状況を招く恐れもある」と日米の圧力路線をけん制し、「国際社会は北朝鮮を信用のおけない怪物的な存在と見ることをやめ、新たに経済国家として歩みだそうとしている一国家として扱った上で、制裁を部分的に解除し、通常の国交を回復するような方法で、北朝鮮が安定的な行動をとれるように促しつつ、北朝鮮の核廃棄をサポートしていくべきだ」としている。...
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(日米の北に対する最大限の圧力継続をけん制する中国)
米朝首脳会談に注目が集まる中、米朝首脳会談後にも中国・習近平国家主席は訪朝を計画しており、その存在感を示そうと懸命に準備を進めている。おそらく中国は4者協議をプラットフォームにしつつ、北朝鮮に対する影響力を発揮していきたい考えだ。そのスタンスは4月24日付・環球時報を見ていくとよくわかる。「もし米国や日本が今後も圧力路線を継続していくようなことがあれば、それは今の融和路線を台無しにするだけでなく、これまでになく悪化した状況を招く恐れもある」と日米の圧力路線をけん制し、「国際社会は北朝鮮を信用のおけない怪物的な存在と見ることをやめ、新たに経済国家として歩みだそうとしている一国家として扱った上で、制裁を部分的に解除し、通常の国交を回復するような方法で、北朝鮮が安定的な行動をとれるように促しつつ、北朝鮮の核廃棄をサポートしていくべきだ」としている。気になるのは既に中国では北朝鮮への制裁の緩和を求める議論が出ていることだ。
(北朝鮮の非核化に対する中国のスタンス)
さらに環球時報は「朝鮮半島の真の非核化と、北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を停止するという現状との間には、大きな隔たりがある」と書いているが、この意味では、米軍の朝鮮半島からの削減・撤退を意味し、それはそのままの中国の思いでもある。加えて「研究や開発に多大な時間と労力をかけてきた核兵器を北朝鮮が簡単に手放すわけはなく、放棄することのメリットとデメリットを天秤にかけてメリットがデメリットを上回った場合のみに初めて放棄する時がくる」とした上で国際社会は北朝鮮に核兵器が不必要となるほどの見返りを北朝鮮に与えるべきだとしている。おそらく中国は北朝鮮を一路一帯やAIIBに巻き込んでいきたいという願望を持っているのだろう。中国が北朝鮮にどう絡んでくるかに目が離せない。
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中国・南シナ海、台湾海峡で米国をけん制する(4月14日)
(南シナ海、台湾海峡で米国をけん制する中国)
習近平国家主席が軍事拠点化を押し進める南シナ海で、12日、中国史上最大規模の観艦式が行われた。この式典には中国初の空母「遼寧」を含む48隻の艦艇や76機の航空機、約1万人の将兵が参加した。習主席は演説で「世界一流の海軍を建設」し「断固として国益を守る」よう求めた。さらに中国は来る18日、台湾海峡で軍事演習を実施するとしていて、18日に実弾射撃演習を行うため、人民解放軍は台湾海峡で同海峡の一部を航行禁止にした。...
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(南シナ海、台湾海峡で米国をけん制する中国)
習近平国家主席が軍事拠点化を押し進める南シナ海で、12日、中国史上最大規模の観艦式が行われた。この式典には中国初の空母「遼寧」を含む48隻の艦艇や76機の航空機、約1万人の将兵が参加した。習主席は演説で「世界一流の海軍を建設」し「断固として国益を守る」よう求めた。さらに中国は来る18日、台湾海峡で軍事演習を実施するとしていて、18日に実弾射撃演習を行うため、人民解放軍は台湾海峡で同海峡の一部を航行禁止にした。「航行の自由」作戦などで中国に圧力を加え続けるトランプ政権およびトランプ政権に接近する台湾の蔡英文政権に対するけん制とみられる。
(中国に対抗し台湾も軍事演習)
中国が、台湾海峡で18日にも軍事演習を行うとしている中で、13日、台湾軍も軍事演習を行い、海上作戦を空軍や陸上の部隊とも連携して行えることをアピールした。視察した蔡英文総統は今回の演習について「中国を念頭に入れたものではない」としているが、中国に対するけん制であることは明らかだろう。台湾の後ろ盾となっている米国では3月、高官の相互訪問を促す「台湾旅行法」が成立し、これに中国は強く反発しているもようだ。日本にとっては南シナ海や台湾海峡での有事にもつながりかねない中国の危険な動きをどのように対処していくのか早急な議論が必要とされている。4月17日、18日に安倍総理は訪米しトランプ大統領との会談が行われるが不測の事態についての対応をトランプ大統領とはよく話し合うものと見られる。
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米国大統領“中国への制裁措置・増額検討を”(4月6日)
米国のトランプ大統領は、知的財産の侵害を巡る中国への制裁措置に対し、中国側が報復措置を検討するとしたことを受けて、関税を課す対象となる輸入品の額を原案で示した500億ドルから、さらに1000億ドル増やすかどうか検討するよう、通商代表部に指示した。
5日、ホワイトハウスは「中国は、みずからの不正行為を是正するのではなく、米国の農家や製造業に損害を与えることを選択した」とトランプ大統領の声明を出し、中国の報復措置を厳しく非難した。...
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米国のトランプ大統領は、知的財産の侵害を巡る中国への制裁措置に対し、中国側が報復措置を検討するとしたことを受けて、関税を課す対象となる輸入品の額を原案で示した500億ドルから、さらに1000億ドル増やすかどうか検討するよう、通商代表部に指示した。
5日、ホワイトハウスは「中国は、みずからの不正行為を是正するのではなく、米国の農家や製造業に損害を与えることを選択した」とトランプ大統領の声明を出し、中国の報復措置を厳しく非難した。
米国の1000億ドルの関税増額の検討に対して、中国国営の新華社通信は「国際貿易ルールに重大に違反している」と批判している。
一方、トランプ大統領は、中国側と協議を行う考えも示していて、米国の制裁措置の発動時期は不透明となっている。
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米中“貿易戦争”のリスク・日本への影響は・・・(3月26日)
先週トランプ大統領が打ち出した強硬な通商政策で貿易戦争の懸念が出てきた。
各国の株価が大きく下げている。
穏健派のティラーソン国務長官、コーン国家経済会議委員長も政権を去った。
米国は中国に鉄鋼、アルミニウム高関税の輸入関税とかけ、知的財産侵害に対する制裁関税も打ち出した。貿易戦争の危険は十分にあり、米中包括経済対話が昨年7月に1回行ったきりでその後、音沙汰がない。
今回除外された国はFTAを米国とやっている国が多く、今後トランプ政権は2か国間の貿易交渉を強めると見られている。
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