経済・貿易で悪化する米中関係(3月17日)
(経済で悪化する米中関係)
米中で貿易摩擦の恐れが出てきている。米国財務省高官は「中国は市場開放に逆行している」と中国を名指しで批判し、G20財務相・中央銀行総裁会議のアジェンダで中国の貿易・投資政策を取り上げる考えを示している。トランプ政権は赤字全体の半分近くを占める中国製品の輸入を抑制するため、対米黒字を1000億ドル(10.6兆円)減らすよう圧力をかけており、中間選挙を控え雇用の創出を急ぎたい米国は中国に狙いをしぼってきている。...
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(経済で悪化する米中関係)
米中で貿易摩擦の恐れが出てきている。米国財務省高官は「中国は市場開放に逆行している」と中国を名指しで批判し、G20財務相・中央銀行総裁会議のアジェンダで中国の貿易・投資政策を取り上げる考えを示している。トランプ政権は赤字全体の半分近くを占める中国製品の輸入を抑制するため、対米黒字を1000億ドル(10.6兆円)減らすよう圧力をかけており、中間選挙を控え雇用の創出を急ぎたい米国は中国に狙いをしぼってきている。今後も「米国ファースト」のスローガンの下で、中国に対してさらなる強硬姿勢を示していく可能性が出ている。
(国家副主席に親米派の王岐山が選出)
こうした中、北京で開かれている全人代で国家副主席に69歳の王岐山が選出された。王は去年の党大会で68歳定年制に従い、政治局常務委員を退任したばかりだ。中国政府の要職は68歳以上は引退するのがルールであり、69歳の王が副主席に選出されるのは極めて異例な人事である。これまで王は汚職摘発キャンペーンの陣頭指揮をとり習近平国家主席を支えてきたという実績で知られている。
(王岐山起用の背景は?)
今回、王が選出されたな要因として、2010年に人民元の対ドルレートを「固定変動制」から「管理変動相場制」へ移行させる業務を担当するなどした経済通であることに加え、胡錦涛政権時代から「米中戦略経済対話」に何度も参加した経験を持ち、米国に太いパイプを持っていることが、米中経済摩擦を解消するためのうってつけであったことがあげられる。ここ数か月の間にも、ヘンリーポールソン元財務長官やトランプ大統領の元側近スティーブンバノンなどと会談している。王の起用は米中関係を改善したいという中国側からのシグナルでもあり、それだけ習近平政権はトランプ政権における米中関係に強い危機感を持っているともいえる。米中関係の安定は世界経済の安定にもつながるだけに、王の投入が今後の米中関係にどのような影響をもたらすのかを注視していく必要がありそうだ。
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円谷プロダクション・訴え“中国でウルトラマン映画・著作権侵害”(3月14日)
去年、中国で公開された「ウルトラマン」の映画は、広東省広州の会社が制作し、去年10月から中国全土で1か月余り上映された。
この会社に対し、日本の円谷プロダクションは“無許可で製作されたものだ”としてこれまでに、直接上映停止を求めたほか、上海の裁判所に宣伝活動などで著作権の侵害があったとして訴えを起こしていた。
しかし、中国の会社は映画の上映を強行、円谷側は宣伝活動に絞っていた訴えを取り下げ、上映の映画を含めて著作権侵害があったと先月訴えを起こし今月認められた。...
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去年、中国で公開された「ウルトラマン」の映画は、広東省広州の会社が制作し、去年10月から中国全土で1か月余り上映された。
この会社に対し、日本の円谷プロダクションは“無許可で製作されたものだ”としてこれまでに、直接上映停止を求めたほか、上海の裁判所に宣伝活動などで著作権の侵害があったとして訴えを起こしていた。
しかし、中国の会社は映画の上映を強行、円谷側は宣伝活動に絞っていた訴えを取り下げ、上映の映画を含めて著作権侵害があったと先月訴えを起こし今月認められた。日本の放送局の取材に対し円谷プロダクションは、「当社はいかなる権利も放棄していない。今後も法的措置により権利侵害行為と戦っていく」と話している。
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中国・全人代で国家主席の任期撤廃へ(3月5日)
中国・習近平国家主席への権力の集中が鮮明になる中で開かれる今回の全人代の焦点は2004年以来の憲法の改正が焦点になる。
習の指導思想を毛沢東、トウ小平に続いて、習首席の個人名を冠した形で明記される。
国家主席の任期を「2期10年まで」の規定を撤廃する見通し。
国家主席の任期は、毛沢東が晩年、文化大革命を発動し、中国全土を混乱に陥れた反省から憲法の規定に盛り込まれた。
任期が撤廃されれば、習主席が2期目を終える2023年以降も無期限に主席にとどまることが可能になる見通し。...
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中国・習近平国家主席への権力の集中が鮮明になる中で開かれる今回の全人代の焦点は2004年以来の憲法の改正が焦点になる。
習の指導思想を毛沢東、トウ小平に続いて、習首席の個人名を冠した形で明記される。
国家主席の任期を「2期10年まで」の規定を撤廃する見通し。
国家主席の任期は、毛沢東が晩年、文化大革命を発動し、中国全土を混乱に陥れた反省から憲法の規定に盛り込まれた。
任期が撤廃されれば、習主席が2期目を終える2023年以降も無期限に主席にとどまることが可能になる見通し。
習主席に権力が集中する中目立つのが強い力による実効の力である。
改革の推進にはプラスに働く一方で、極端な手法で実行に移され、波紋も呼ぶケースも出ている。
習主席が今力に入れているのは農村の貧困対策で、2020年までに貧困層を一層掲げている。
農村部では生活が改善し習主席の熱烈や支持者も増えている。
一方、北京では去年11月の火災をきっかけに建物が取り壊し、出稼ぎ労働者が追われる事態だ。
ネット上では底辺の言葉が検索できない事態で、さらに新皇帝や独裁者という言葉も検索できない形になっている。
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中国を狙いうちか?米国の輸入制限措置(3月3日)
トランプ政権は米通商法232条に基づき、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税をかけると発表した。米通商法232条適用は、2月に米国商務省が鉄鋼とアルミの輸入増が米国の安全保障上の脅威になるとして提示していたもので、これまで中国は国内で余っているアルミや鉄鋼を安価で米国に輸出していた。この方針はトランプ大統領が11月に行われる中間選挙を強く意識して行ったものであることも間違いないが、米国に代わる世界覇権国となることを狙っている中国に対する強硬姿勢を貿易分野において、強く打ち出した側面が強い。...
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トランプ政権は米通商法232条に基づき、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税をかけると発表した。米通商法232条適用は、2月に米国商務省が鉄鋼とアルミの輸入増が米国の安全保障上の脅威になるとして提示していたもので、これまで中国は国内で余っているアルミや鉄鋼を安価で米国に輸出していた。この方針はトランプ大統領が11月に行われる中間選挙を強く意識して行ったものであることも間違いないが、米国に代わる世界覇権国となることを狙っている中国に対する強硬姿勢を貿易分野において、強く打ち出した側面が強い。現に昨年末に発表した国家安全保障戦略で米国はロシアより先に中国を「現状変更勢力」として警戒する姿勢を見せている。中国商務省は「国家安全を名目に貿易を制限するのは国際貿易秩序に重大な打撃を与える」と今回の米国の方針を非難したが、中国は米国産大豆の輸入制限などの報復措置をとる可能性もあり、米中貿易戦争に発展する可能性も出てきた。
懸念されるのは米中の貿易摩擦が安全保障問題にまで波及した場合
これまで対北朝鮮政策では中国に対し融和的だった米国だったが、北朝鮮への中国の圧力効果があまり見られず、貿易赤字問題においても中国が積極的な解決策を示すことがなかったため、昨年秋頃にトランプ政権が中国を見限った可能性がある。危惧されるのは米中摩擦が経済問題だけでなく安全保障問題にまで波及した場合で、その際は対北朝鮮問題でこれまで中立の姿勢を見せていた中国が北朝鮮サイドに立つ可能性もある。そうすると日米VS中朝ロという構図が露わになってくる。北朝鮮との融和に前のめりな韓国が中朝ロ陣営に加わった場合には、米軍基地があるとは言え、また台湾がかろうじて日米側に立つ可能性もあるものの、東アジアで日本は敵国に囲まれた状態となることは確かだ。日本はこうした状況を作らないよう今こそ外交力を活用する時である。
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フィリピン・ドゥテルテ大統領“中国と共同探査”発言が波紋(3月2日)
南シナ海での石油や天然ガスなどの資源探査をめぐりフィリピン・ドゥテルテ大統領の「中国は共同探査を提案している。
共同所有のようなもので争うよりましだ」との発言が波紋を広げている。
フィリピン政府も中国国営企業と国営探査を協議していることを認めたがフィリピンが領有権を主張してきた海域だけに議会から中国への領土の引き渡しだとの批判も出ている。
フィリピン大統領府は南シナ海においてフィリピンと中国の共同鉱物探査が行われるとすれば共有に近い形になると示唆したドゥテルテ大統領の発言に重大な意味はないとしている。...
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南シナ海での石油や天然ガスなどの資源探査をめぐりフィリピン・ドゥテルテ大統領の「中国は共同探査を提案している。
共同所有のようなもので争うよりましだ」との発言が波紋を広げている。
フィリピン政府も中国国営企業と国営探査を協議していることを認めたがフィリピンが領有権を主張してきた海域だけに議会から中国への領土の引き渡しだとの批判も出ている。
フィリピン大統領府は南シナ海においてフィリピンと中国の共同鉱物探査が行われるとすれば共有に近い形になると示唆したドゥテルテ大統領の発言に重大な意味はないとしている。
大統領報道官は「中国企業を契約を結ぶかもしれない。交渉段階で詳細は明らかにできない。話しが進めば契約書は議会に提出されるとし内容は議員が精査できるものの採決はできない」とも語った。
また南シナ海における中国とのいかなる合同探査も違憲だとするカルピオ最高裁上級判事の警告を一蹴した。
左派系・ザラテ下院議員は大統領の共有発言は裏切りというだけでなく中国へのフィリピン領土の完全な引き渡しと解釈され得ると述べた。
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