北朝鮮を新型コロナウイルスの脅威が襲う(2月22日)
米国および世界の制裁がボディブローのように効いている北朝鮮を今度は新型コロナウイルスの脅威が襲った。当初は感染者がひとりもいないと主張していた北朝鮮だったが、清津市で、肺炎とインフルエンザの症状があり治療を受けていた患者12人がわずか2日の間に死亡したという。コロナウイルスの可能性が高い。今、北朝鮮市民は新型コロナウイルスの脅威に怯えている。ただ、北朝鮮は新型コロナウイルスの国内での感染拡大を恐れ、いち早く中国人観光客の受け入れを拒否したはずである。...
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米国および世界の制裁がボディブローのように効いている北朝鮮を今度は新型コロナウイルスの脅威が襲った。当初は感染者がひとりもいないと主張していた北朝鮮だったが、清津市で、肺炎とインフルエンザの症状があり治療を受けていた患者12人がわずか2日の間に死亡したという。コロナウイルスの可能性が高い。今、北朝鮮市民は新型コロナウイルスの脅威に怯えている。ただ、北朝鮮は新型コロナウイルスの国内での感染拡大を恐れ、いち早く中国人観光客の受け入れを拒否したはずである。さらにいえば中国との貿易を全面的に停止する措置を取っている。こうした行動は貿易の9割以上を中国に依存し、今でも抜け穴から中国の援助を受けている国にしては思い切ったものにみえる。中国からの報復も考えられないこともない。「デイリーNK」によれば、案の定北朝鮮は国家間の密貿易という裏の手を使うために朝鮮労働党国際部の金成男第1副部長を北京に派遣し中国に密貿易を頼み込んだ結果、中国は北朝鮮の申し出を拒否したという。北朝鮮の新型コロナウイルス水際対策が裏目に出た格好である。
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北朝鮮、再度新型肺炎発生していないと発表(2月19日)
北朝鮮の『労働新聞』は18日、現在北朝鮮には新型コロナウィルスの病例はないと再度発表した。中央人民保健指導委員会幹部の発言である。同幹部はもしも症状が発見されたならば、政府は迅速に国家緊急防疫体制をとるとも語った。さらに新型コロナウイルスの伝染経路の予測は難しいことから、関係各部門は警戒を怠らず、衛生防疫体制を強化している、としている。
北朝鮮は今月2日、国内では新型コロナウイルスの発生はないと発表し、また17日にも内閣保健省呉春福なども発生がないと強調していた。...
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北朝鮮の『労働新聞』は18日、現在北朝鮮には新型コロナウィルスの病例はないと再度発表した。中央人民保健指導委員会幹部の発言である。同幹部はもしも症状が発見されたならば、政府は迅速に国家緊急防疫体制をとるとも語った。さらに新型コロナウイルスの伝染経路の予測は難しいことから、関係各部門は警戒を怠らず、衛生防疫体制を強化している、としている。
北朝鮮は今月2日、国内では新型コロナウイルスの発生はないと発表し、また17日にも内閣保健省呉春福なども発生がないと強調していた。
13日には米国国務省のオータガス報道官が北朝鮮の防疫体制の脆弱性に憂慮している、北朝鮮を援助する用意がある、と発言していたことを意識した発言と思われる。
一方2月5日には韓国の『Liberty Korea Post紙』は、消息筋の話として、北朝鮮には7例の症例がでており、感染拡大を防ぐために軍事訓練も中止されていると伝えている。ただし韓国世宗研究所の北朝鮮問題の専門家である鄭成長企画本部長は、この報道は信用できないと述べている。
いずれにしろ、北朝鮮で感染例が出現すれば感染拡大を防ぐのは難しい状況にある。
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金正恩、21日ぶりに姿現す(2月17日)
1月25日以来、動静が伝えられていなかった金正恩委員長が、21日ぶりに姿を現した。父親である金正日総書記の誕生日の光明節に、錦綉山太陽宮に献花に訪れたもの。
姿を隠していたのは、イランのソレイマニ司令官がドローンによる攻撃で暗殺されたことから同じように暗殺されるのではないかと恐れて、あるいは新型肺炎に罹患することを恐れて外出を避けていた、とする説や、心筋梗塞の手術を受けて入院していた、という説などがある。...
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1月25日以来、動静が伝えられていなかった金正恩委員長が、21日ぶりに姿を現した。父親である金正日総書記の誕生日の光明節に、錦綉山太陽宮に献花に訪れたもの。
姿を隠していたのは、イランのソレイマニ司令官がドローンによる攻撃で暗殺されたことから同じように暗殺されるのではないかと恐れて、あるいは新型肺炎に罹患することを恐れて外出を避けていた、とする説や、心筋梗塞の手術を受けて入院していた、という説などがある。写真を見る限り、体形に急激な変化は認められず、大病を患ったようには見えない。
米国も中国も北朝鮮のために動かない手詰まり状況のなかで、金正恩委員長としては次の一手をどのようにすればいいのか、思案しているところであろう。
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キム委員長・新型コロナウイルス・感染対策を指揮か(2月16日)
北朝鮮はきょうキムジョンウン委員長の父・キムジョンイル総書記の生誕から78年を迎えた。国営の朝鮮中央テレビはけさの放送でキム委員長がキム総書記の遺体が安置されているピョンヤンの宮殿を訪れたと伝えた。
キム委員長の動静が伝えられたのは21日ぶりである。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、北朝鮮は中国との航空便や列車を止めて往来を遮断する措置を取っていて、きのう付けの党機関紙労働新聞は「わが国では患者は全く発生していない」としている。...
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北朝鮮はきょうキムジョンウン委員長の父・キムジョンイル総書記の生誕から78年を迎えた。国営の朝鮮中央テレビはけさの放送でキム委員長がキム総書記の遺体が安置されているピョンヤンの宮殿を訪れたと伝えた。
キム委員長の動静が伝えられたのは21日ぶりである。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、北朝鮮は中国との航空便や列車を止めて往来を遮断する措置を取っていて、きのう付けの党機関紙労働新聞は「わが国では患者は全く発生していない」としている。
きょう付けの労働新聞は「一部の人は国境もすべて封鎖したので、ウイルスは入ってこないだろう」と漫然と対応しているとして、警戒を緩めないよう国民に呼びかけていて、キム委員長も感染対策を指揮しているものとみられる。
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北朝鮮の新型肺炎対策と米朝関係(2月16日)
新型肺炎の流行が拡大するなかで、北朝鮮は1月末から国境を閉鎖し、水際作戦につとめている。
2月13日、米国国務省のオータガス報道官は北朝鮮の防疫体制の脆弱性を憂慮しているとして、米国と世界の各衛生機関は北朝鮮に援助する準備をすでにしていると発表した。一方北朝鮮の保健省は、北朝鮮ではまだ新型肺炎の症例は出ていないと述べ、WHOも北朝鮮はうまく対処していると述べている。
新型肺炎の潜伏期間にあわせて、隔離期間を日本では当初14日、その後12.5日としているが、北朝鮮では隔離期間を当初は24日とし、その後さらに30日まで延長した。...
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新型肺炎の流行が拡大するなかで、北朝鮮は1月末から国境を閉鎖し、水際作戦につとめている。
2月13日、米国国務省のオータガス報道官は北朝鮮の防疫体制の脆弱性を憂慮しているとして、米国と世界の各衛生機関は北朝鮮に援助する準備をすでにしていると発表した。一方北朝鮮の保健省は、北朝鮮ではまだ新型肺炎の症例は出ていないと述べ、WHOも北朝鮮はうまく対処していると述べている。
新型肺炎の潜伏期間にあわせて、隔離期間を日本では当初14日、その後12.5日としているが、北朝鮮では隔離期間を当初は24日とし、その後さらに30日まで延長した。一旦感染が始まれば、十分な医療体制もなく、基礎体力も劣っている人が多い北朝鮮では感染の拡大を防ぐことは難しい。このため感染の抑え込みに十全の対策をとろうとしていると思われる。
このような状況のなかで、北朝鮮は米国国務省が述べた援助の提案には乗って来ないだろう、と中国のある専門家はみている。
米国は北朝鮮との間の膠着した局面を打開するために、小さなコストですむ提案をしたにすぎず、北朝鮮の最大の関心事である「制裁の解除」には触れていない。昨年末の第7期五中全会以来、北朝鮮は米国には誠意が無いと見なしており、北朝鮮の米国に対する態度は「積極的な接触」から「強硬な態度」に変わってしまった。米国が妥協しない限り、北朝鮮が米国に対し、「オリーブの枝(平和の象徴)」を差し出すことはもはやないと思われる、とこの専門家は述べた。
一方中国社会科学院の朝鮮半島と米朝関係の専門家である王俊生は「朝米間の鍵となる問題の溝が小さくなる様子は未だ見えないものの、米国国務省の提案は米朝関係の突破口とまではならないが、両国関係を好転させるきっかけになるかもしれない」と述べた。
さらに王俊生は、北朝鮮は政策の重点を2018年以来経済建設に移し、国際社会との交流を望んでいた。しかし現在25か国で新型肺炎が蔓延し、伝染性が高いということになれば、北朝鮮自身の衛生や健康状態が比較的薄弱であることを考えると、国際社会との交流に影響を与えないわけがない」とも語った。
米国の援助の申し入れに対し、北朝鮮は未だ返答していないことから、援助を受け入れる可能性は現状では少ないと思われるが、援助を受け入れたなら、奇禍によって、新しい道が開けることもあり得るかもしれない。
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