新鴨緑江大橋は使用されるのか(2月15日)
新鴨緑江大橋が完成したのは2014年だったが、それから5年たっても使用されていない。北朝鮮側の大橋までのアプローチのための道路が建設されていなかったからだった。
現在使用されている中朝友誼橋が老朽化し、通行量も制限されていた。このため中朝国交樹立60周年であった2009年に温家宝総理(当時)が訪朝した際に援助によって新鴨緑江大橋を建設することを約束したのだった。大橋本体は資金も含めて全面的に中国が建設したが、北朝鮮側の道路は北朝鮮側が建設することになっていた。...
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新鴨緑江大橋が完成したのは2014年だったが、それから5年たっても使用されていない。北朝鮮側の大橋までのアプローチのための道路が建設されていなかったからだった。
現在使用されている中朝友誼橋が老朽化し、通行量も制限されていた。このため中朝国交樹立60周年であった2009年に温家宝総理(当時)が訪朝した際に援助によって新鴨緑江大橋を建設することを約束したのだった。大橋本体は資金も含めて全面的に中国が建設したが、北朝鮮側の道路は北朝鮮側が建設することになっていた。
北朝鮮の資金不足で道路建設ができなかったといわれていたが、2019年6月の習近平主席の訪朝の際に、道路および通関施設の建設を援助することが決まったと伝えられている。
2019年9月の衛星写真を見ると、北朝鮮側橋脚の近くは田圃が拡がっていたが、10月には田圃が切り開かれ、道路が出来上がっており、2020年1月の写真では道路が白くなっていて舗装された様子がうかがわれた。橋脚から4.5㌔の国道まで、道路が繋がった模様。
ただし中国の援助で建設が行われたのならば、国連の制裁違反になる。
また新鴨緑江大橋を使用して、物流が増えることがあれば、また北朝鮮からのトラックの積荷が鉄鉱石や石炭など制裁で取引が禁じられているものであることが明らかになれば、国連の制裁違反になる。
現在は新型肺炎のために中朝の往来は遮断されているが、新型肺炎が終息すれば往来は復活するだろう。果たしてそのとき、中国は新鴨緑江大橋を使用して大っぴらに物流を増やすことをするのか。「密輸をとりしまることができなかったので、たまたま物流があった」という言い訳は通用しない。
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韓国高官、訪米終え訪露へ ~米国の北朝鮮担当者の異動続く~(2月14日)
青瓦台の金鉉宗国家保安室第二次長が、ワシントンでトランプ政権の関係者と面談した後、今度はロシアを訪問していることが明らかになった。
金鉉宗次長は10,11日に韓国で行われていた韓米のワーキンググループにも参加し、北朝鮮の非核化問題や南北朝鮮の協力事業について話し合っていた。同WGに参加していたアレックス・ウォン北朝鮮政策特別副代表(国務次官補代理)も同じ便に搭乗し、ロシアに向かったことから、ロシアで北朝鮮の非核化問題や米朝対話、南北協力事業について三国間で話会われる可能性がある。...
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青瓦台の金鉉宗国家保安室第二次長が、ワシントンでトランプ政権の関係者と面談した後、今度はロシアを訪問していることが明らかになった。
金鉉宗次長は10,11日に韓国で行われていた韓米のワーキンググループにも参加し、北朝鮮の非核化問題や南北朝鮮の協力事業について話し合っていた。同WGに参加していたアレックス・ウォン北朝鮮政策特別副代表(国務次官補代理)も同じ便に搭乗し、ロシアに向かったことから、ロシアで北朝鮮の非核化問題や米朝対話、南北協力事業について三国間で話会われる可能性がある。
一方今年が韓露の国交樹立30周年であることから、30周年記念行事やプーチン大統領の訪韓についても話し合われる予定。
アレックス・ウォン副代表は訪露しているが、11日ホワイトハウスは同氏を国連特別政務次席大使に任命した。昨年末にはビーガン北朝鮮政策特別代表が国務省の副長官に任命され、北朝鮮問題だけに特化することができない状況になっていたことから、ウォン氏の北朝鮮問題に対する役割がさらに重要になっていたところであった。北朝鮮問題担当のマークランバート特使も国連の多者間連携特使に任命されている。トランプ大統領の北朝鮮に対する関心が下がっているとはいえ、北朝鮮の専門家がいなくなってしまえば、状況の正しい分析や判断ができなくなってしまう。孫子に「敵を知り、己を知れば百戦殆うからず」との有名な言葉があるが、米国が現在しなければならないのは、北朝鮮のことを研究し尽くすことのはずである。そうでなければ正しい政策も行えない。韓国が進めようとしている南北協力事業にも大きな影響を与えそうである。
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北朝鮮は核やミサイル開発を継続(2月13日)
11日のロイターは、北朝鮮が核やミサイルの開発を継続していると報じた。国連の北朝鮮制裁専門家パネルの報告書を入手して報じたもの。記事はさらに、北朝鮮は船から船へ積み荷を移し替える「瀬取り」によって石油製品を輸入し、石炭3.7億㌦相当を輸出していると報じている。67ページの専門家パネルの報告書は3月に公表される予定である。
報告書では核やミサイル開発、密貿易、さらには仮想通貨へのサイバー攻撃について述べている。...
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11日のロイターは、北朝鮮が核やミサイルの開発を継続していると報じた。国連の北朝鮮制裁専門家パネルの報告書を入手して報じたもの。記事はさらに、北朝鮮は船から船へ積み荷を移し替える「瀬取り」によって石油製品を輸入し、石炭3.7億㌦相当を輸出していると報じている。67ページの専門家パネルの報告書は3月に公表される予定である。
報告書では核やミサイル開発、密貿易、さらには仮想通貨へのサイバー攻撃について述べている。
2019年にも北朝鮮は制裁決議に違反して核やミサイルの開発を続けており、北朝鮮の独自技術に加えて、海外から不正に部品や技術を入手して開発している。北朝鮮は昨年少なくとも25回新型の短距離ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイルを発射した。
北朝鮮は2017年から輸出が禁止されている石炭を2019年1~9月に3.7億㌦輸出しており、280万㌧の石炭は北朝鮮船から中国船に積み替えられていた。また少なくとも2200万㌦相当の川砂利を中国に輸出していた。
もっとも中国はこれらのことについて証拠がないとしており、「北朝鮮に対する経済制裁について、中国は忠実に厳格に国際的な義務を果たしている」と主張している。火曜日に中国外交部の報道官は、報告書がリークされた件にふれ、まだ正式に公開されたものではなく、極秘扱いすべきである、と述べた。
北朝鮮はまた石油製品を「瀬取り」で輸入している。2017年以降、北朝鮮は経済制裁によって、石油製品の輸入の上限を50万バレルと定められたが、昨年1月1日から10月末までで、すでにこの上限を超えてしまっているとのことである。
国連の経済制裁は、北朝鮮の人々を苦境に陥れようとするものではない。ただしこの報告では「データや証拠は限られており、曖昧な部分を取り除く信頼すべき方法もないが、制裁が人々の情況や援助に対し、予測していなかった影響を及ぼしていることは否めない」とも書かれている。
ロシアや中国は、制裁が市民に害を与えているとして、さらに行き詰まっている米朝の会談に突破口を開くために、幾つかの規制を緩和すべきだと言っているが、米国やフランス、英国は、現在は制裁を解除すべき時ではないとしている。
北朝鮮はまた世界中の金融機関や仮想通貨取引所をサイバー攻撃し、金融制裁に違反し、違法な資金を得ていた。このサイバー攻撃は低リスク、高リターンで、捜査が難しく、北朝鮮が巧妙になればなるほど、特定するのが難しくなってくる。
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北朝鮮総理、防疫体制視察(2月12日)
『朝鮮中央通信』が11日伝えたところによると、新型肺炎に備えて、北朝鮮の金才龍総理が中央と平安南道、黄海北道、南浦市の緊急防疫体制の視察を行った。
報道によれば金才龍総理は中央の緊急防疫指揮部で、会議を招集し、責任をもって厳格に国境地域での検疫を行い、厳格に防疫規律を遵守する体制をさらに強化するようにと述べた。
金才龍総理は地方での防疫体制も詳細に視察し、新型肺炎の防疫をしっかり行うことが国家の安全、人民の生命にとって重要な任務であることをしっかり心に刻み、徹底して迅速に準備を行うようにと幹部たちに求めた。...
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『朝鮮中央通信』が11日伝えたところによると、新型肺炎に備えて、北朝鮮の金才龍総理が中央と平安南道、黄海北道、南浦市の緊急防疫体制の視察を行った。
報道によれば金才龍総理は中央の緊急防疫指揮部で、会議を招集し、責任をもって厳格に国境地域での検疫を行い、厳格に防疫規律を遵守する体制をさらに強化するようにと述べた。
金才龍総理は地方での防疫体制も詳細に視察し、新型肺炎の防疫をしっかり行うことが国家の安全、人民の生命にとって重要な任務であることをしっかり心に刻み、徹底して迅速に準備を行うようにと幹部たちに求めた。さらに隔離や治療設備をしっかり整え、検査や検疫体制を厳格に行えるように、対策部署を設けるようにと強調した。
10日現在、北朝鮮では新型肺炎の患者はいない、18名の疑わしい事例があるだけだとしているが、すでに平壌だけで3人が新型肺炎でなくなったとの情報もある。とくに中国との国境付近では多くの発症者がいるとの噂もある。地方ではとくに医療体制も整っていない場合も多く、新型肺炎を思わずに、感染が拡大する可能性も高い。
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トランプ「大統領選の前には米朝首脳会談をやりたくない」と語る(2月11日)
「大統領選の前に、米朝首脳会談をやりたくない」とトランプ大統領は外交顧問に語ったと複数の消息筋が語った。10日にCNNが伝えたもの。
2度目の米朝首脳会談はほぼ1年前に行われたが、成果なく終わり、それ以降北朝鮮との非核化の外交は手詰まり状態になっていることもあり、トランプ大統領は再選に力を注ぐべく、北朝鮮問題に対する興味をなくしている、とその消息筋は伝えている。
トランプ大統領は昨年10月に行われた実務者協議がうまくいくと思っていたにも関わらず、物別れに終わったことに対し、不満を漏らしており、消息筋によると交渉はすでに「死に体」であるという。...
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「大統領選の前に、米朝首脳会談をやりたくない」とトランプ大統領は外交顧問に語ったと複数の消息筋が語った。10日にCNNが伝えたもの。
2度目の米朝首脳会談はほぼ1年前に行われたが、成果なく終わり、それ以降北朝鮮との非核化の外交は手詰まり状態になっていることもあり、トランプ大統領は再選に力を注ぐべく、北朝鮮問題に対する興味をなくしている、とその消息筋は伝えている。
トランプ大統領は昨年10月に行われた実務者協議がうまくいくと思っていたにも関わらず、物別れに終わったことに対し、不満を漏らしており、消息筋によると交渉はすでに「死に体」であるという。
2017年にはトランプ大統領は、金正恩委員長のことを「リトル・ロケットマン」と呼ぶような状況だったが、2018年のシンガポール会談の後は、2人は「恋に落ちた」とさえ語る状況を示していた。
しかしハノイ会談の後に、北朝鮮は再びミサイル発射を繰り返した。当初ボルトン大統領補佐官(当時)は、短距離ミサイルであっても国連の制裁違反だと語っていたが、トランプ大統領はICBMでなければ構わないと語っていた。しかし12月のロンドンで行われたNATOの会議の席上で、トランプ大統領は金正恩委員長のことを再び「リトル・ロケットマン」と称し、これに対し北朝鮮の崔善姫第一外務次官はトランプ大統領のことを「老いぼれの耄碌が再び始まった」と非難した。
今年1月トランプ大統領は、金正恩委員長宛てに誕生日のメッセージを送ったが、北朝鮮はそれに対し、黙殺を決め込んだことから、トランプ大統領は金正恩委員長のことをツィートすることはなくなった。
大晦日にトランプ大統領は、北朝鮮が米国にクリスマス・プレゼントを送る(プレゼントがどのようなものになるかは米国次第だとして、何らかの挑発行動を行うのではないかと思われていた)としていたことに対し、何事もなかったことを受けて、金正恩委員長との関係は良好だと述べたていたが、トランプ大統領の再選にとって、北朝鮮問題は重要な要素ではなくなっていると考えていると思われる。
事実トランプ大統領は今年の一般教書演説で、北朝鮮問題を取り上げることはなかった。昨年の一般教書演説では、第二回の米朝首脳会談について触れていたし、2018年には脱北者をゲストに招いていた。
大統領をはじめとする政権担当者は、すでに北朝鮮問題に意欲を失っているし、北朝鮮側も、制裁が緩和されない限り交渉には応じないだろう。そしてトランプ大統領が制裁を緩和する見込みはない。
ただし、オブライエン大統領補佐官は「私の希望は北朝鮮が交渉のテーブルに戻って来ることだ」と2月5日に語った。大統領選の前に交渉が行われることがあるか、との問いに、オブライエン補佐官は「政治的な日程とトランプ大統領の北朝鮮政策は関係ない」ときっぱりと述べた。
一方北朝鮮側も1月には金桂官外務省顧問が「米国と交渉していた1年半は、我々は米国に騙されただけでなく、時間も浪費してしまった」として、二度と時間を浪費したくない、と語っており、新たな交渉が始まる気配は北朝鮮側にもない。
一方経済制裁と新型肺炎の対応で、それどころではないのかもしれないが、2月8日の建軍記念日は何事もなく過ぎた。おそらく2月16日の光明節(故金正日総書記の誕生日)も何の挑発行動もせずに、何事もなく終わらざるを得ないだろう。
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