世界初の水空合体ドローンが総務大臣賞を受賞(11月14日)
精密機器やロボット技術を得意とする日本だが、ドローン分野にも活躍の領域を広げている。
先月12日、優れたロボットや部品・ソフトウェア、それらの先進的な活用や研究開発、人材育成の取り組みなどを対象とする「第10回ロボット大賞」において、KDDIスマートドローン、KDDI総合研究所、プロドローンが共同開発した水空合体ドローンが「総務大臣賞」を受賞した。
水空合体ドローンは空中ドローンと水中ドローンを合体させたもので、モバイル通信による遠隔操作によって、空を飛び、水に潜ることができる世界初のドローンである。...
全部読む
精密機器やロボット技術を得意とする日本だが、ドローン分野にも活躍の領域を広げている。
先月12日、優れたロボットや部品・ソフトウェア、それらの先進的な活用や研究開発、人材育成の取り組みなどを対象とする「第10回ロボット大賞」において、KDDIスマートドローン、KDDI総合研究所、プロドローンが共同開発した水空合体ドローンが「総務大臣賞」を受賞した。
水空合体ドローンは空中ドローンと水中ドローンを合体させたもので、モバイル通信による遠隔操作によって、空を飛び、水に潜ることができる世界初のドローンである。世界中どこでも映像をリアルタイムで共有することができる。
音響測位装置により、衛星利用測位システム(GPS)が使えない水中でもドローンの位置を識別でき、これまで船を出しダイバーが行っていた水中の監視や撮影などを、陸から遠隔で行うことが可能で、これまで船の操縦者やダイバーの確保に時間や費用がかかっていた問題を一挙に解決することができる。
橋脚、ダム、港湾施設等、老朽化したインフラの管理や洋上風力発電設備のメンテナンスの利用、河川や沿岸の災害対策、ブルーカーボンの水中監視・撮影・測定などを効率的に行うことができ、2050年カーボンニュートラルに向けての活躍が大いに期待されている。KDDIでは2022年度中の商用化を目指すとしている。
閉じる
トヨタ・ソニーグループ・NTTなど・先端半導体国産化に向け新会社を共同設立(11月10日)
次世代の半導体の開発競争が世界的に激しくなる中、トヨタ自動車やソニーグループ、NTTなど日本の主要な企業8社が、先端半導体の国産化に向けた新会社を共同で設立したことが明らかになった。
関係者によると新会社の名称はRapidusでトヨタ自動車、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、半導体大手のキオクシアなど国内の8社が出資する。
新会社では自動運転やAI人工知能、スマートシティーなど大量のデータを瞬時に処理する分野に欠かせない先端半導体の技術開発を行い、5年後の2027年をめどに量産化を目指す。...
全部読む
次世代の半導体の開発競争が世界的に激しくなる中、トヨタ自動車やソニーグループ、NTTなど日本の主要な企業8社が、先端半導体の国産化に向けた新会社を共同で設立したことが明らかになった。
関係者によると新会社の名称はRapidusでトヨタ自動車、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、半導体大手のキオクシアなど国内の8社が出資する。
新会社では自動運転やAI人工知能、スマートシティーなど大量のデータを瞬時に処理する分野に欠かせない先端半導体の技術開発を行い、5年後の2027年をめどに量産化を目指す。政府も研究開発拠点の整備費用などに700億円を補助することにしていて近く西村経済産業大臣が発表する見通しだ。
先端半導体の分野で日本は米国や台湾などに後れを取ってきたが、新会社のもとで各社の技術を結集し開発から生産まで一貫した体制を築くことを目指す。
閉じる
“半導体産業の人材育成・国も支援”(10月16日)
西村経済産業大臣は台湾の半導体大手であるTSMCが建設する新しい工場の予定地を視察し、地元で進められている半導体産業の人材育成について国としても支援する考えを改めて示した。
西村大臣がきょう視察したのは熊本県菊陽町にある半導体工場の建設予定地。この工場は半導体の受託生産で世界最大手の台湾のTSMCがソニーグループやデンソーと共同で建設を進めているもので、再来年12月の出荷開始を目指している。...
全部読む
西村経済産業大臣は台湾の半導体大手であるTSMCが建設する新しい工場の予定地を視察し、地元で進められている半導体産業の人材育成について国としても支援する考えを改めて示した。
西村大臣がきょう視察したのは熊本県菊陽町にある半導体工場の建設予定地。この工場は半導体の受託生産で世界最大手の台湾のTSMCがソニーグループやデンソーと共同で建設を進めているもので、再来年12月の出荷開始を目指している。
経済安全保障上、半導体の重要性が増す中、経済産業省はこの工場の整備費用として最大で4760億円補助することを決めていて、西村大臣は担当者から工事の進捗について説明を受けていた。
これに先立ち西村大臣は熊本県の蒲島知事らと会談し、地元の熊本大学に半導体の人材育成に向けた専門のコースを設けることなどが報告された。
閉じる
地球温暖化のなかで…(9月24日)
ここ数年で日本列島が台風や線状降水帯の通り道になっていることは気象データが示す通りである。日本の南で発生した台風は必ず東向きに進路を変え日本列島に向かってくる。
そのメカニズムはまず、地球温暖化の影響で黒潮が温められて温度が上がり、東シナ海周辺部でこの熱水の塊・黒潮と日本周辺の通常温度の海水がぶつかり合い、大量の水蒸気が日本列島の南側で発生する。この水蒸気の塊が偏西風に運ばれて日本列島に向かうことによって台風や線状降水帯による未曾有の被害を日本にもたらしているのである。...
全部読む
ここ数年で日本列島が台風や線状降水帯の通り道になっていることは気象データが示す通りである。日本の南で発生した台風は必ず東向きに進路を変え日本列島に向かってくる。
そのメカニズムはまず、地球温暖化の影響で黒潮が温められて温度が上がり、東シナ海周辺部でこの熱水の塊・黒潮と日本周辺の通常温度の海水がぶつかり合い、大量の水蒸気が日本列島の南側で発生する。この水蒸気の塊が偏西風に運ばれて日本列島に向かうことによって台風や線状降水帯による未曾有の被害を日本にもたらしているのである。
この状況に対しただ指をくわえて見ているわけにはいかないと日本のベンチャー企業や大学、研究所、投資家が動き始めた。
まず紹介するのは「沖縄科学技術大学院大学」と「NTT」が共同で開発した観測機器「せいうちさん」である。この機器にはGPSや風速、水蒸気量を観測する様々なセンサーが搭載されている。これらのセンサーで台風の進路を予測し、台風が海に及ぼす影響の測定、台風そのものをエネルギーに変える研究などを行っている。台風や水蒸気の進路をビックデータ化し日々集計することで、今後増加が予測されるスーパー台風の発生をより精密なものにできると期待されている。
次に紹介するのは投資家の前澤友作氏も出資している羽根がない風力発電である。従来のプロペラ式風力発電は強風に弱く、台風がくるたびに倒壊し、根元から折れてしまう等、残念な代物であった。普通に考えれば、台風になればかなりの風が吹くので風力発電にとっては絶好のチャンスではないかと思ってしまうが、実際にはリスクを避けて発電を止めてしまうのが現状であった。
そんな状況を打破しようと挑んだベンチャー企業が「チャレナジー」社である。同社は台風の中でも全く影響を受けずに発電し続けるという羽根がない風力発電を開発した。マグナス力(回転しながら進む物体にその進行方向に対して垂直の力が働く現象)という原理を応用した羽根がない風力発電は暴風時でも折れることなく発電できる。
前澤氏は「台風というデメリットで悩まされている日本をなんとかしたいという気持ちで投資している」と語っている。四方を海で囲まれており、実際に災害が多い日本は天然の実験室と見ることも可能であり、そこにはチャンスが埋もれているともいえる。日本の土壇場の科学力に期待したい。
閉じる
原発回帰に向かう日本(9月3日)
ロシアのウクライナ侵略に伴い世界的に原発回帰の流れが加速する中、日本でも原発回帰の動きが出ている。
自民党議員連盟が政府による次世代原発の開発・建設の検討を後押ししている。議連最高顧問の甘利前幹事長は放射能漏れを防ぐ対策を施した「革新軽水炉」や「小型モジュール炉」を念頭に「新しいもの(原発)がより安全なのは間違いない」と断言し、党議連は原発の建て替えが電力のひっ迫やエネルギー調達リスクの解決につながるとのスタンスである。...
全部読む
ロシアのウクライナ侵略に伴い世界的に原発回帰の流れが加速する中、日本でも原発回帰の動きが出ている。
自民党議員連盟が政府による次世代原発の開発・建設の検討を後押ししている。議連最高顧問の甘利前幹事長は放射能漏れを防ぐ対策を施した「革新軽水炉」や「小型モジュール炉」を念頭に「新しいもの(原発)がより安全なのは間違いない」と断言し、党議連は原発の建て替えが電力のひっ迫やエネルギー調達リスクの解決につながるとのスタンスである。
現在、多くの日本の原子炉が高経年化を迎えており、最長で60年運転すると仮定しても、原子炉を建設し、運転期間を延長しなければ、国内の原子炉は2050年には23基になり、2060年にはわずか8基となる。
再稼働するにしても半年以上の時間が必要となり、今がギリギリのタイミングといえる。そうした意味で、今回の岸田総理の決定は原発回帰への第一歩であると受け止められている。
このタイミングで、英国の次世代原子炉「高温ガス炉」の開発に日本原子力開発機構の参加が決まった。「高温ガス炉」は、炉心の核燃料から出る熱をヘリウムガスで取り出すもので立地の制約が少ないことから次世代原子炉の1つとして注目されている。発電以外にも熱を利用して燃料電池に用いる水素を製造できるため、各国も「高温ガス炉」の開発に着目している。
今回のプロジェクトでは技術を売り込みたい日本と、開発実績に乏しい英国の思惑が一致した格好である。日本はこの他にも、原子力機構と三菱重工業が米国・テラパワー社の高速炉開発計画に参画し、IHIや日揮などは米国ニュースケールパワー社の小型モジュール炉開発計画に参画している。
特に期待を集めているのが小型モジュール炉であり、そのメリットは、建設にあたって工場で設備(モジュール)のかなりの部分を作り、それを運んでいくことができることである。工期を短くすることによって、従来の大型炉に比べ予算を大幅に削減することができる。
閉じる
「日本の技術」内の検索