日本の火星衛星探査・NASAが機器提供へ(4月12日)
JAXA(宇宙航空研究開発機構)が中心となって進める「MMX」というプロジェクトは火星の衛星に探査機を打ち上げて表面の砂を持ち帰る計画について、NASA(米国航空宇宙局)が観測機器を提供することになり、林外務大臣と米国のエマニュエル駐日大使が文書に署名した。
JAXAは来年度中に探査機を打ち上げる計画で2029年度に「フォボス」の砂を持ち帰り“火星にいたかもしれない生命の痕跡が衛星に残されていないか調べるほか火星の衛星の起源などを調べたい”としている。
日本フードテック最前線(4月10日)
世界のフードテック市場は、ここ10年で急成長を遂げており、2021年の投資額は約5兆円に上っている。
家畜の細胞を培養技術で増やし、本物に近い肉質を提供できる培養肉や、大豆などの植物由来の原料を使った代替肉、気候変動や人口爆発の際の切り札と言われる昆虫食の開発に、日本の技術力や文化的背景を活かしたノウハウが生かされつつある。
まず、培養肉は、家畜から生きたままの状態で種細胞を採取し、培地(培養液)で細胞を生育し、缶状のバイオリアクターに移して大量に増殖させ、3Dプリンターなどで3次元組織を構築すれば、本物の肉のような形や食感を再現することができる。...
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世界のフードテック市場は、ここ10年で急成長を遂げており、2021年の投資額は約5兆円に上っている。
家畜の細胞を培養技術で増やし、本物に近い肉質を提供できる培養肉や、大豆などの植物由来の原料を使った代替肉、気候変動や人口爆発の際の切り札と言われる昆虫食の開発に、日本の技術力や文化的背景を活かしたノウハウが生かされつつある。
まず、培養肉は、家畜から生きたままの状態で種細胞を採取し、培地(培養液)で細胞を生育し、缶状のバイオリアクターに移して大量に増殖させ、3Dプリンターなどで3次元組織を構築すれば、本物の肉のような形や食感を再現することができる。従来の畜産業と比較して、肉質や栄養価の管理が容易であり、食品安全性に関するリスクも低く、大量生産できる上、環境にも負荷をかけないことから世界からの注目を集めている。
日本には、農業の技術力や素材力、食品加工技術などがある上、必要とされる培養肉工場についても、無菌製造や効率化のノウハウが求められるが、ここに日本の先進的な技術を生かせるのではないかと期待を集めている。
一方、タンパク質に富む昆虫食も、持続可能な食糧生産や環境保護の観点から注目されている。日本は昔からイナゴを食べるなど、昆虫食文化が根付いており、昆虫を食用として扱う技術や様々なノウハウが蓄積されていて、この部分に日本への期待が集まっている。
その一方で昆虫食に偏見をもつ人も日本には多い。ある航空会社が実験的に昆虫食による機内食を提供したところ、批判が殺到したことからもそれは明らかである。昆虫食に対する偏見をいかになくすかがクリアすべき課題である。
一部外食チェーンでの提供が開始されている代替肉については、割高ではあるがまったく普通の肉と変わらないとの評価が定着しつつある。現状では代替肉がフードテックの中で最も早く市民社会に適応しつつあるようだ。
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ファッション業界にデジタル活用(4月5日)
洋服などに使う生地を3Dでデータ化し精密な映像で再現する技術など、デジタル技術を活用したファッション業界の最新の動きを紹介する展示会が、5日から7日まで開催されている。
流通大手がネット販売強化・ロボット1000台活用(4月5日)
イオンが始める新たなネット販売では、首都圏に大型の倉庫を建設して食品や日用品などを幅広く取りそろえ、約1000台のロボットが人の10倍の速度で商品をピックアップする。
また、はAIが効率的な配送ルートを選び、朝7時から夜11時まで1時間単位で指定した時間に届けるという。
この夏から東京や千葉など首都圏で新たなサービスを展開する計画で、2030年度には年間4000億円の売り上げを目指す方針。こうしたネット販売には西友やイトーヨーカ堂なども強化に取り組んでいる。
空飛ぶ車実用化に向けた課題(3月28日)
SFや映画、テレビドラマの話ではなく「空飛ぶ車」がパイロットを乗せた形で空を舞った。今月14日、大阪市の大阪城公園内野球場で、日本初となる「空飛ぶ車」の有人実証飛行が行われ無事、成功に終わった。
「空飛ぶ車」は2025年の大阪・関西万博における目玉のひとつであり、万博会場での商用運用を目指して、2020年代後半以降には専用空域の設置やビルの屋上などでの専用の離着陸場の開発も行われ、一部の都市では主に物流分野で従来の航空機より高い密度で運航されると想定しているという。...
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SFや映画、テレビドラマの話ではなく「空飛ぶ車」がパイロットを乗せた形で空を舞った。今月14日、大阪市の大阪城公園内野球場で、日本初となる「空飛ぶ車」の有人実証飛行が行われ無事、成功に終わった。
「空飛ぶ車」は2025年の大阪・関西万博における目玉のひとつであり、万博会場での商用運用を目指して、2020年代後半以降には専用空域の設置やビルの屋上などでの専用の離着陸場の開発も行われ、一部の都市では主に物流分野で従来の航空機より高い密度で運航されると想定しているという。
2020年代後半といえばあと7年間あるが、現段階では「空飛ぶ車」の明確な定義さえなく、なぜこれを車と呼ぶのかという疑問にさえ答えることができない。
そのため国や事業者などで作る協議会が「空飛ぶ車」の基本的な定義のたたき台を突貫工事で作っている。この案では「空飛ぶ車」を「電動化、自動化技術や垂直離着陸で実現される次世代の空の移動手段」などと定義している。
基本的に機体はプロペラで、翼によって3タイプに分類され、専用の離着陸場は「バーティポート」と呼ばれる。新たな交通管理として機体が頻繁に行き交えるよう空の通り道のような専用空域「コリドー」が設けられると規定している。
使用事例としては、都市内や都市間の移動、離島や山間部を結ぶ路線、災害発生時の搬送などを挙げている。
今後、このたたき台を踏まえ、制度設計や開発などが進められる見通しだが、そもそも事故が起きた場合はどうなるのかという一番肝心な箇所がまだ十分にクリアになっていない。
事故が起きた際の責任の所在はどうなるのか、下にいた人が巻き込まれたり、付近の建物が燃えた場合にはどうなるのかなど、未整備の部分が多く、期待が大きい反面、不安も大きい。
たたき台の「離島や山間部を結ぶ路線」などの言葉を参考にすると、離島や郊外など人がほとんどいない場所で動かしつつ法律を整備していくものと推察される。
法整備を含めリスクを極限まで減らし、完全実用化を実現してほしい。
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