9月7日付
『CNBC』は、安倍晋三氏が2012年以来自民党総裁をつとめ、今回の総裁選では無投票で継続して総裁になるこがと決まり、再び3年の任期をつとめることを伝えている。日本の総理大臣は小泉元首相が5年つとめた後、2006年の第一次安倍内閣発足以来「回転ドアのように」目まぐるしく変わったことも伝えている。安倍首相は今後、安保法案が可決された後、経済の立て直しに専念するつもりであるという。ただやはり、安保法案によって有権者の支持が下がっていることは否めないとしている。安倍首相は安保法案については、憲法改正を視野に入れた議論を深めていきたい意向であり、これに対しては日本の国民は非常に慎重であることに言及している。
9月7日付
『アメリカ・アルジャジーラ』では、内閣官房長官である菅義偉氏の「安倍内閣は引き続き経済の再活性化を目指し、日本の威厳を取り戻したい」とのコメントを引用している。また、
『ジャパンタイムズ』の記事を引用し、野田聖子氏の立候補へ向けた動きも見られたが、これを許せば安保法案成立の遅れを招きかねないという党内の懸念から、野田氏は立候補の規定数を獲得出来なかったと述べている。安保法案は日本国内外ともに強い関心を集めているといえそうだ。また、安倍氏は少子高齢化問題にも熱心に取り組む意向であることを伝えている。
では今後の経済に関してはどうか。9月7日付
『アメリカ・アルジャジーラ』は、安倍氏は「経済の好循環を促し、日本の隅々まで景気回復感が行き渡り、デフレからの脱却、未来志向の経済を目指していきたい」と支持者らに語ったことを伝えている。2012年の第二次安倍内閣発足以降、円は対ドルで30%以上安くなり、株価と企業収益は大きく伸びた。しかしながら、企業の設備投資は未だ鈍く、賃金の伸びも高いレベルを維持することはできていないし、消費も冴えない。輸出の不振と弱い消費のため、4月から7月のGDPも年ベースで1.2%の落ち込みを記録している。経済アナリストらは、安倍内閣は硬直した労働市場の開放といったような、より思い切った構造改革に取り組むべきだが、おそらくは予算の増額や金融緩和などに終始するだろうと予測する。
9月8日付
『ヤフー.com』は、
『ロイター通信』の記事を引用し、やはり安保法案の通過のため、支持率の低下を招きつつあるとする。そしてアベノミクスの3本目の矢である労働市場の開放は、長期的経済成長に不可欠であるものの着手するのはまず無理だろうとしている。
『ロイター通信』が行った調査に対し、15名のエコノミストらは、安倍内閣は労働市場の開放と高齢化社会のための社会保障に、最優先で取り組むべきだと述べたという。また、アベノミクスの第一、第二の矢である景気刺激対策のために予算を組み、金融緩和も必須だとしている。バークレイズ証券チーフエコノミストである森田京平氏は、「円安にもかかわらず製造部門での設備投資が弱く、経済成長の予測が今一歩だ」と語ったという。
エコノミストらは安倍氏のエネルギー関連や医療、農業部門での成果は認めている。だが、さらにアベノミクスの3本目の矢、すなわち民間投資を喚起する構造改革が必要だと主張する。また、富士通総研のマーテイン・シュルツ氏のコメントを引用し、先に行われたTPPの進捗の遅れが、ただでさえ困難な構造改革への圧力を弱めているとしている。政府は来年7月の参院選にむけて、広がりつつある経済格差の是正という課題も抱えており、これもまた構造改革が後手になる原因であるとしている。
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