世界保健機関(WHO)は先週、今年5月の総会決議に基づき、漸く新型コロナウィルス(COVID-19)発生源の調査のために2人の専門家を中国に派遣した。どこまで真実が調査・開示されるか注目されるが、受け入れる中国側としては、早くから国を挙げてCOVID-19に関わる積極的対策及び情報提供に真摯に実行してきていると国内外に向けてアピールしている。その一環で、この程中国在のキリスト教会が5ヵ月振りの再開を許可されたことが報道されているが、人権監視団体の情報によれば、教会に中国国旗を掲げ、かつ、習近平(シー・チンピン)国家主席によるCOVID-19感染対策を称賛することを命令されたという。
7月10日付
『ニューヨーク・ポスト』紙(
『Foxニュース』配信):「中国在のキリスト教会、再開の条件は習国家主席の感染対策を称賛すること」
中国中東部海南省(ヘナン)开封(カイフェン)在の李世亭(リシティン)カトリック教会が6月14日、COVID-19感染拡大の影響で当局から閉鎖を命じられて以来、約5ヵ月(147日)振りに再開された。
しかし、『寒冬(ビターウィンター、注後記)』オンラインニュースによると、再開に当たって、参列した約20人の前で同教会の司祭は、“習国家主席の類まれな指導力によってCOVID-19を撃退できたことを称賛し、中国国旗を掲げて祝いたい”と述べた。...
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7月10日付
『ニューヨーク・ポスト』紙(
『Foxニュース』配信):「中国在のキリスト教会、再開の条件は習国家主席の感染対策を称賛すること」
中国中東部海南省(ヘナン)开封(カイフェン)在の李世亭(リシティン)カトリック教会が6月14日、COVID-19感染拡大の影響で当局から閉鎖を命じられて以来、約5ヵ月(147日)振りに再開された。
しかし、『寒冬(ビターウィンター、注後記)』オンラインニュースによると、再開に当たって、参列した約20人の前で同教会の司祭は、“習国家主席の類まれな指導力によってCOVID-19を撃退できたことを称賛し、中国国旗を掲げて祝いたい”と述べた。
これは、中国当局から、教会再開に当たって申し渡されたことであり、中国南部広西(クワンシー)チワン族自治区のキリスト教会でも、同様の措置を講ずるよう命令されたという。
列席した信者によれば、“神を敬う讃美歌を歌う代わりに、習国家主席を讃えながら国旗を掲揚するよう命じられた”とし、“明らかに私たちの信仰と真逆のこと”だと嘆いた。
河南省や中国東端の浙江省(チューチャン)在の教会の他、中国南東端の福建省(フーチェン)泉州(チュンヂョウ)の全南(チュエンナン)教会においては、COVID-19に関わる米国対応を非難する声明を出すよう言われたという。
同教会の牧師は、信者に対して“社会主義並びに中国共産党”への敬愛を導くよう指示されたとする。
中国中央統一実践工作部(省に相当)及び国家宗教事務局は、教会再開の条件として以上のような措置を命じており、かつ、“今後も励行されないと、教会は閉鎖され、司祭・牧師は追放される”と脅しているという。
『ビターウィンター』編集長のイタリア人ジャーナリスト、マルコ・レスピンティ氏は『Foxニュース』のインタビューに答えて、“これは中国当局による「中国化」政策の一例である”とし、“当局の真の狙いは、全てを中国共産党の操り人形に仕立て上げること”だと非難している。
更に同編集長は、当局は各教会に対して、十字架等のキリスト教のシンボルを撤去し、代わりに習国家主席の肖像写真を掲げるよう命令しているとも言及した。
(注)ビターウィンター:中国の 信教の自由 と 人権 について報道するオンライン雑誌として2018年5月に創刊。トリノ(イタリア)を拠点とする新興宗教研究センターが、毎日8言語でニュースを発信するが、ニュース源は中国各地に居住する数百人の記者による取材。
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