北米メディア;米国でも男女賃金格差は歴然(2015/03/27)
3月5日付「シリコンバレー企業は出産・子育てに優しい?」の中で、“米国は世界の中で、リベリア、シエラレオネ、パプアニューギニアとともに唯一、出産・育児休暇の有給が保障されていない国である。オバマ大統領が、両親に出産・育児有給休暇を認めるべきとの政策を訴えても、それらは全て雇用者側次第というのが実情である。更に、女性の米企業の管理職は20%以下であり、しかも、フォーチュン誌掲載のトップ500社のうち、女性最高経営責任者は僅か5%というのが現実である”と報じた。そして、女性就業者の多い看護士の世界でも、十数年の調査の結果、男女間賃金格差が歴然と続いてきていると北米メディアが伝えた。
3月24日付
『ロイター通信(カナダ)』は、「看護士の世界でも、男女賃金格差」との見出しで、「米医師会雑誌(注1後記)の最新号によると、女性が9割を占める看護士の世界であっても、男女賃金格差が存在するとの調査結果が出たという。経験、研修、就業時間、診療上の専門性、婚姻しているかどうかなどを加味しても、年5千ドル(約60万円)程の収入格差が常に発生している。二つの調査結果から明らかになったもので、ひとつは全米登録看護士サンプル調査で1988~2008年の間、約8万8千人を対象にしていて、上記条件を加味しない単純比較で、男性看護師の方が年10,243~11,306ドル(約123万~136万円)多い収入を得ている。...
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3月24日付
『ロイター通信(カナダ)』は、「看護士の世界でも、男女賃金格差」との見出しで、「米医師会雑誌(注1後記)の最新号によると、女性が9割を占める看護士の世界であっても、男女賃金格差が存在するとの調査結果が出たという。経験、研修、就業時間、診療上の専門性、婚姻しているかどうかなどを加味しても、年5千ドル(約60万円)程の収入格差が常に発生している。二つの調査結果から明らかになったもので、ひとつは全米登録看護士サンプル調査で1988~2008年の間、約8万8千人を対象にしていて、上記条件を加味しない単純比較で、男性看護師の方が年10,243~11,306ドル(約123万~136万円)多い収入を得ている。そして、もう一つの調査は、全米公共サービス調査で2001~2013年の間、約20万6千人を対象にしたが、前述調査と同様、年9,163~9,961ドル(約110万~120万円)の格差が生じているという。理由として、男性の方が賃金や昇格交渉に長けているとか、子育てや両親の介護などで長期休暇を必要とする女性に比べて、男性の休暇取得日数が少ないとかが考えられる。専門家は、今回の調査結果を基に、働き方や男女間の不平等是正等、もっと議論がなされ、賃金格差の是正に向けての具体的対策が採られることが望まれるとしている」と報じた。
一方日本においては、男女賃金格差や雇用上の差別等が歴然(注2後記)としていて、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが出した、2014年男女平等の度合いを示すランキングで、世界142ヵ国中で日本は104位であった。先進国の中では117位の韓国と並んで、目立って順位が低い。因みにトップ5は、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマークと北欧諸国が占め、米国は20位であった。最近の日本は、以前はなかった育児休業などの制度が整い、女性の社会進出は一定程度進んだ。しかし、働く女性が妊娠すると、4人に1人が解雇や契約打ち切り、降格などのマタニティ・ハラスメントに遭っている。出産後に仕事を辞める女性は6割で、この割合はここ30年変わっていない。
(注1)米医師会雑誌:1883年創刊の、米医師会によって年48回刊行される、国際的な査読性の医学雑誌。
(注2)賃金格差(2013年国税庁調査):男性511万円、女性272万円。雇用形態(2014年総務省調査):男性の正社員率78%(総数2,897万人)、女性の正社員率43%(同2,352万人)。
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米メディア;日本の移民受け入れ政策への批評(2)(2015/03/13)
2月25日付「日本の移民受け入れ政策への批評」の中で、“安倍政権は、人口減少や労働人口減問題に対応するため、毎年20万人の移住者を受け入れようとしている。しかし、実態は、主にインドネシアやフィリピンから、老人等介護補助業務を薄給で行わせるトレイニー(職業訓練者)を受け入れる制度の拡大であり、また、高度な技術者に限っての移住許可である”と報じた。そして今度は、日本政府が、難民申請している人達の僅か0.2%しか受理しなかったと米メディアが非難した。
3月11日付
『ヤフー・ニュース』(
『ロイター通信(カナダ)』記事引用)は、「日本は2014年、5千人の難民申請の内受理したのは僅か11人」との見出しで、「法務省のデータによると、2014年に日本が難民申請を受理したのは、5千人中僅か11人、率にして0.2%と先進国の中で最低であった。これについて、人権活動家や弁護士から、日本は難民救済政策が全く不十分だと非難されている。2013年の受理数は、過去15年で最低の6人であった。...
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3月11日付
『ヤフー・ニュース』(
『ロイター通信(カナダ)』記事引用)は、「日本は2014年、5千人の難民申請の内受理したのは僅か11人」との見出しで、「法務省のデータによると、2014年に日本が難民申請を受理したのは、5千人中僅か11人、率にして0.2%と先進国の中で最低であった。これについて、人権活動家や弁護士から、日本は難民救済政策が全く不十分だと非難されている。2013年の受理数は、過去15年で最低の6人であった。一方、2013年のドイツの受理数は109,580人、また米国は88,360人で、その差は非常に大きい。2010年以降、日本への難民申請はほぼ4倍となっているが、例えばネパールやスリランカの人達が申請するほとんどの理由は、政治的亡命ではなく日本での就労目的である。しかし安倍首相は、労働人口減に対応するため、トレイニーの受け入れを増やそうとしているが、現実的には薄給でかつ人権虐待の扱いだと非難されている」と報じた。
過去、西欧の多くの国々では、労働人口減を補うため、特に3Kの職場労働確保(ゴミ掃除、工事現場作業員等)の政策目的で、多くの低賃金労働者を移民させてきた。しかし、ドイツにおける1万8千人参加の反移民デモ(移民によって職を奪われたことに起因)、フランスにおけるイスラム教移民のテロ行為(貧しい移民の反発が背景)等、安易な労働力確保の移民受け入れ政策が行き詰まりを見せ始めている。従って、毎年20万人の移住者を受け入れるといっても、それが3Kの労働者確保が主となるとしたら、やがて今の欧州の移民問題と同様の事態に繋がる恐れがある。
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