日本政府は、中国政府による海外旅行解禁措置を受けて、12月30日以降中国(香港・マカオ含む)からの到着便を4空港に制限すると発表した。この決定を受けて香港行政府が、日本への観光客が異常な勢いで増えていることから、不都合を生じさせないよう即刻当該条件の撤廃を要求している。
12月29日付米
『ブライトバート』オンラインニュース(2005年設立)は、「香港、日本に対して到着便の4空港制限条件撤廃を要求」と題して、日本政府が今年10月に外国人旅行者受け入れを解禁して以来、異常な勢いで香港人の訪日が増えていることから、香港行政府が4空港に制限することを中止するよう要求したと報じている。
中国共産党実質支配の香港は12月29日、日本が香港含めた中国からの到着便を4空港に限定することとした決定を撤回するよう求めた。
中国政府は今週、国内で山火事のような勢いで新型コロナウィルス(COVID-19)感染が急拡大している最中、春節(2023年1月21~27日)に続く年最大の旅行シーズン到来を前に、アジア含めた海外旅行の制限を緩和した。
これを受けて、日本の他、インド・イタリア・台湾が12月27日、感染拡大防止の水際対策を強化するため、中国からの旅行者に対して到着前のCOVID-19検査を義務付ける旨発表した。
イタリア当局発表によると、義務化後に到着した中国便の乗客の実に半分近くが陽性であったという。
一方、日本は、他国に遅れて2ヵ月前に外国人旅行者の受け入れ制限を緩和したばかりであり、また中国人の訪問先のトップであったことから、香港を含めた中国からの到着便の受け入れを4空港に制限することを決定した。
この措置を受けて香港行政府は、毎日2万人の陽性者が出ているにも拘らず12月29日以降ほとんどの行動制限を緩和していたこともあって、近々訪日を予定している6万人の香港人が不便を強いられるとして、日本政府に対して受け入れ空港制限措置に真っ向から反対し、“失望している”とまで言い放った。
李家超行政長官(リー・ジアチャオ、ジョン・リー、65歳、2022年就任)は、“香港旅行者が4空港以外の空港を利用できるようにすることを望む”との要求を突き付けている。
この要求が奏功したのか、日本政府は12月29日、香港からの到着便について、搭乗前7日以内に中国本土滞在の乗客がいないことを条件に、先の4空港に加えて、新千歳・福岡・沖縄空港での受け入れを容認すると譲歩した。
ただ、香港行政府はこの妥協案についても、中国共産党政府を慮ってか、“不合理だ”と反発している。
一方、豪州のアンソニー・アルバニージー首相(59歳、2022年就任)は12月29日、中国や世界の“COVID-19感染状況を引き続き注視する”としながらも、中国人旅行者に特別措置を講じることはしないと表明した。
中豪関係は、前保守党政権がCOVID-19発生源の厳格な調査を要求したこともあって、貿易紛争に発展する程懸案となっていたが、労働党新政権が中国に歩み寄り始めたところである。
また、フランスも同日、政策を変更する場合もあるとしながらも、中国人旅行者に対して厳しく対応する理由はない旨発表している。
ブリジット・オートラン健康リスク監視委員会委員長(68歳、2022年就任)は、“措置変更がないとは言わないが、科学的観点から、水際で新たな制限措置を講じる必要はない”とし、“何故なら、中国で流行しているのはオミクロン変異株であり、フランスでは既に同変異株の感染が下火となっていて免疫が確保されているからだ”と言及した。
同日付香港『香港経済新聞』(2013年設立)は、「日本政府による香港からの旅客便に制限と修正で混乱」と事の顛末を詳報している。
日本政府は12月27日、中国本土でのCOVID-19感染爆発を踏まえ、中国からの渡航者と7日以内の中国滞在歴がある人を対象に、3回目ワクチン接種証明書か出国前72時間以内の陰性証明を求めてきていたが、更に入国時検査も義務付けるとした。
更に、香港・マカオを含めて中国からの旅客機が離発着できる空港を、成田・羽田・関西・中部の4ヵ所に限定した上、航空会社に対して増便しないようにも求めた。
香港が含められたのは、香港と中国本土との往来が隔離なしでできるようになった後、香港経由で中国本土から観光客が殺到するのを懸念しての措置である。
ところが日本政府は12月29日、香港から新千歳・福岡・沖縄3空港に到着する直行便について、搭乗前7日以内に中国本土に滞在した乗客がいないことを条件に、受け入れを認めると発表した。
この措置によって、北海道や沖縄での観光を予定していた香港人は、従来予約していた直行便での旅行が可能となり、安堵している。
一方、12月27日の措置に怒って旅行をキャンセルしてしまった人たちからは、落胆や恨みの声が上がっている。
閉じる