北米・中国メディア;北朝鮮、相変わらず不可解な行動(2)(2015/12/21)
12月14日付
Globali「北朝鮮、相変わらず不可解な行動」の中で、“金正恩(キム・ジョンウン)第一書記がお気に入りの、全員女性から成る北朝鮮のポップスグループが、突然北京公演をキャンセルして帰国の途に就いた。これで中朝間がまた冷え込む恐れがある”と報じた。その後の各国メディアの報道では、金氏の水爆保有発言や、南北間高官対話不調が中国を不快にさせたからとか、招待客限定の同公演の観覧者が、中国指導部から次官級に格下げされたために金氏が激怒したから等、様々な情報が飛び交っている。
12月16日付中国
『アジア・タイムズ』香港オンラインニュースは、「北京、北朝鮮ポップスグループ公演を観損なう」との見出しで、「北朝鮮の女性21人のポップスグループ、牡丹峰(モランボン)らが北京公演をキャンセルして、12月11日に突然帰国してしまった。理由は公にされていないが、同グループの女性と金第一書記が不適切な関係にあるとの根拠のない噂を、ある中国メディアが報じたことに金氏が激怒したとか、また、同グループらによる、独裁者の金氏を礼賛する歌などが過剰過ぎるとして中国側が内容を変更するよう求めたことに対して、北朝鮮側が最高尊厳(金氏)への冒涜として呼び戻した等と言われている。...
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12月16日付中国
『アジア・タイムズ』香港オンラインニュースは、「北京、北朝鮮ポップスグループ公演を観損なう」との見出しで、「北朝鮮の女性21人のポップスグループ、牡丹峰(モランボン)らが北京公演をキャンセルして、12月11日に突然帰国してしまった。理由は公にされていないが、同グループの女性と金第一書記が不適切な関係にあるとの根拠のない噂を、ある中国メディアが報じたことに金氏が激怒したとか、また、同グループらによる、独裁者の金氏を礼賛する歌などが過剰過ぎるとして中国側が内容を変更するよう求めたことに対して、北朝鮮側が最高尊厳(金氏)への冒涜として呼び戻した等と言われている。今回の公演は、ぎくしゃくした中朝関係を改善するワンステップとして企画されたものというが、この“ドタキャン”で関係が逆に更に悪化する恐れがある。」とし、「なお、中国は2千人の兵士を北朝鮮国境に急きょ派遣している。」と報じた。
12月18日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースは、「金氏が女性バンドを呼び戻したことで中国側困惑」との見出しで、「中国はこれまで、北朝鮮と他国との関係の仲介役を果たそうとしてきたが、12月11日に持たれていた南北高官対話が何の進展もなく終わったことに不快感を示したためか、当初政治局員(共産党指導部)が同バンドを観賞する予定だったが、急きょ副部長級(次官級)に格下げした。これに金氏他北朝鮮側が激怒して、公演を急きょキャンセルしたのではないかと言われている。」とし、「近年中国側は、金氏や側近の気まぐれで予測不可能な態度・発言に嫌気しており、習主席は特に金氏と距離を置き始めているという。」と伝えた。
同日付カナダ
『ロイター通信』は、「北朝鮮の女性バンド公演キャンセルは、反米ソングが理由か」との見出しで、「中国当局は、北朝鮮バンドが披露する歌の中に、米国を“粗野なオオカミ”と呼んだり、1950~1953年の朝鮮戦争を賛美したりする歌詞が含まれており、いたずらに米国を挑発することに懸念を示した。しかし、同女性バンドメンバーの人選からショーの中味まで金氏が関わっていると言われていることから、北朝鮮側が反発して急きょ呼び戻したのではないかとみられる。」と報じた。
一方、同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報、人民日報英語版)』は、「中国、国連での北朝鮮非難決議に反対票」との見出しで、「国連総会は12月17日、北朝鮮の人権問題を非難し、かつ、国連安全保障理事会に対し、北朝鮮を国際刑事裁判所に告発するよう求める決議を採択した。賛成119票、反対19票、棄権48票だったが、中国は反対票を投じた。但し、中国は、北朝鮮の人権問題は許されると認めた訳ではなく、中国の主張である、国内問題に他国は干渉すべきではないとの立場から、反対したものである。」とし、「中国国民からみれば、国内にも反対の声もあるのに、中国がこのように、結果として北朝鮮を擁護する対応をしているのに、中朝交流の一環で企画された北朝鮮女性バンドの公演を急にキャンセルするなど、北朝鮮は本当に不可解な国だと思われるはずだ。」と批評している。
なお、中国関係者の直近の情報では、モランボン楽団らの公演のリハーサルをみた中国当局関係者が、背景の映像に、同公演本番日の3年前の2012年12月12日に北朝鮮が行った、長距離弾道ミサイルの発射実験の様子が含まれていたことを認めた。この時中国政府は、自重を求めていたにも拘らず発射実験を行ったことに不快感を示していたが、2013年2月12日に北朝鮮が3度目の核実験を行ったことで、ついに中国の堪忍袋の緒が切れて、中国は、同年3月に提議された国連安保理の対北朝鮮追加制裁決議の賛成に回っている。従って、中国の顔に泥を塗るような、ミサイル発射実験の映像を流させることなどとても容認できず、習主席自身が、当該映像をあくまで流すというなら、即刻帰国させるよう指示を出したと言われている。
なおまた北朝鮮は2013年12月12日、当時No. 2だった張成沢(チョン・ソンテク、金第一書記の叔父)を粛清している。中国にとっては、北朝鮮との経済関係の交渉・調整役と認めていた張氏の排除についても、非常な不快感をもたらす事件だっただけに、2015年12月12日にも、金氏が何かしでかすのではないかと疑心暗鬼になっていたことも背景にあるとみられる。
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米・英・ロシアメディア;油井氏含めた3人の宇宙飛行士無事帰還(2015/12/14)
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた、宇宙飛行士の油井亀美也氏(45歳)他2名が、ロシアのソユーズ宇宙船でカザフスタン中央部の草原地帯に着陸し、地球に帰還した。今年7月の出発以来5ヵ月振りで、3人とも健康状態は良好という。各国メディアが詳細に報道している。
12月11日付米
『Yahooニュース』は、「米国のリングレン、日本の油井、そしてロシアのコノネンコ宇宙飛行士が12月11日夜、ロシアのソユーズ宇宙船でISSから141日振りに帰還した。冬のカザフスタン草原に夜に着陸するのは滅多にないことだった。なお、ISS運用に関わるロシアと西側諸国の共同プロジェクトは、ウクライナ問題で関係に亀裂が走っている中で、唯一継続されている事業である。」と報じた。
12月12日付米
『NYSEポスト』NY証券取引ニュースは、「米航空宇宙局(NASA)は、有人宇宙船が日没後に着陸するのは初めてで、(無人の)ソユーズ宇宙船でも僅か6度目であり、この成功は今後の技術開発を進めるのに意義あることだと発表した。...
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12月11日付米
『Yahooニュース』は、「米国のリングレン、日本の油井、そしてロシアのコノネンコ宇宙飛行士が12月11日夜、ロシアのソユーズ宇宙船でISSから141日振りに帰還した。冬のカザフスタン草原に夜に着陸するのは滅多にないことだった。なお、ISS運用に関わるロシアと西側諸国の共同プロジェクトは、ウクライナ問題で関係に亀裂が走っている中で、唯一継続されている事業である。」と報じた。
12月12日付米
『NYSEポスト』NY証券取引ニュースは、「米航空宇宙局(NASA)は、有人宇宙船が日没後に着陸するのは初めてで、(無人の)ソユーズ宇宙船でも僅か6度目であり、この成功は今後の技術開発を進めるのに意義あることだと発表した。なお、ISSは時速28,800キロメーターで地球の周りを回っており(編注;約90分で1周、1日約16周)、地球までの飛行は僅か6時間で到達する。」と伝えた。
同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『AFP通信』記事引用)は、「ロシア連邦宇宙局(Roscosmos)広報官は、ソユーズ宇宙船の夜の着陸は2012年11月以来であったが、ロシア回収チームは、昼夜問わず、また、どんな天候にも適用できるよう訓練しているので、滞りなく宇宙飛行士を乗せたソユーズを無事に回収したと発表した。なお、交代の3人の宇宙飛行士(米国のコプラ、英国初のピーク、ロシアのマレンチェンコ飛行士)を乗せたソユーズ宇宙船は12月15日に打ち上げられる。」と報じた。
また、12月11日付ロシア
『スプートニク・ニュース』は、「ISS運用事業は、米NASA、ロシアRoscosmos、欧州宇宙機関(ESA)、日本の宇宙研究開発機構(JAXA)、及びカナダ宇宙庁(CSA)による共同事業である。なお、ISSは二つのセクションに分かれていて、ロシア側モジュール(編注;ザーリャ、ズヴェズタ)と米側モジュール(編注;ハーモニー、デステニィ、ユニティ。日本の実験棟“きぼう”)がある。」と伝えた。
油井氏は日本人10人目の宇宙飛行士で、6年前に過去最年長の39歳で宇宙飛行士候補に採用された、元航空自衛隊のパイロットである。「中年の星」として、日本人として初めての日本の無人補給船「こうのとり」をキャッチするなど、数々の任務をこなした。ISSへの食料や機器を届けるため、種子島宇宙センターから打ち上げられた「こうのとり」は、NASA等での(物資補給船の)打ち上げの失敗を取り返すための重要なミッションを帯びており、日本の宇宙開発技術が世界に認められた瞬間といえよう。
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