米国・ムニューシン財務長官・米中貿易協議・来年1月の見通し(12月19日)
米国トランプ政権は来月1日予定だった中国からの輸入品関税引き上げの制裁措置強化を3月1日まで猶予し、知的財産権侵害や強制的な技術移転問題など対応を求めている。
米国・ムニューシン財務長官は米国メディアのインタビューで中国側と数回電話会談を行ったとした上で来年1月に会合が開かれる見通しと述べた。
両国の貿易協議をめぐり、先週中国側は米国製自動車への上乗せ関税を一時停止すると発表した。
トランプ大統領は「まだ高すぎる、更なる譲歩を求めている。...
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米国トランプ政権は来月1日予定だった中国からの輸入品関税引き上げの制裁措置強化を3月1日まで猶予し、知的財産権侵害や強制的な技術移転問題など対応を求めている。
米国・ムニューシン財務長官は米国メディアのインタビューで中国側と数回電話会談を行ったとした上で来年1月に会合が開かれる見通しと述べた。
両国の貿易協議をめぐり、先週中国側は米国製自動車への上乗せ関税を一時停止すると発表した。
トランプ大統領は「まだ高すぎる、更なる譲歩を求めている。両国の隔てりは大きく3月の猶予期限までに合意に達するか不透明な状況が続いている」と述べた。
更にファーウェイの副会長逮捕について、ムニューシン長官は「中国は貿易の協議とは別の話だと理解している」と述べ、協議への影響はないと示した。
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米中“覇権争い”「米国は一歩も引かず」(12月18日)
覇権とは「軍事力や経済の実権を握ることで得られる支配力や権力」のことで、現在は中国が新興国として台頭し、覇権国・米国は不安に感じている。
米国・ペンス副大統領は10月のワシントン演説で「中国は米国の覇権に挑戦する国」としている。
また「中国は世界への影響力を拡大している。しかし大統領と米国は一歩も引かない」と述べた。
米国は経済面の余裕がなくなっている」と指摘する専門家もいる。
覇権はもともと軍事力で制圧する形だったが、今は軍事力を実際にはそう容易く使うことはできない。...
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覇権とは「軍事力や経済の実権を握ることで得られる支配力や権力」のことで、現在は中国が新興国として台頭し、覇権国・米国は不安に感じている。
米国・ペンス副大統領は10月のワシントン演説で「中国は米国の覇権に挑戦する国」としている。
また「中国は世界への影響力を拡大している。しかし大統領と米国は一歩も引かない」と述べた。
米国は経済面の余裕がなくなっている」と指摘する専門家もいる。
覇権はもともと軍事力で制圧する形だったが、今は軍事力を実際にはそう容易く使うことはできない。
今後はサイバー戦略に移ってゆく可能性が高い。通常戦力もサイバーでコントロールできるなら意味がなくなる。そうなるとサイバーの技術力、情報力が覇権を握るポイントだと世界中が気づいているからこそ、ファーウェイの問題は覇権争いという文脈で出てくることになる。
問題は、中国に覇権が移る可能性もあるが、中国は民主主義、人権、言論の自由などが共有できていないというところが、覇権が移り変わるときに火種になる。中国の今後の政治体制が注目される。
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米中ハイテク戦争の裏側(12月15日)
(なぜ米国は中国にプレッシャーをかけるのか)
ファーウェイ幹部逮捕事件は次世代通信網5Gで技術覇権を握りたい中国に米国がプレッシャーを与える格好となった。そもそもなぜ米国はこうした形で中国にプレッシャーを加えねばならなかったのか。その背景には2025年までに中国が製造強国の仲間入りする「中国製造2025」や、中華人民共和国が建国100周年を迎える2049年までにトップクラスになるというロードマップ「中国製造2049」などの中国の国家戦略の存在がある。...
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(なぜ米国は中国にプレッシャーをかけるのか)
ファーウェイ幹部逮捕事件は次世代通信網5Gで技術覇権を握りたい中国に米国がプレッシャーを与える格好となった。そもそもなぜ米国はこうした形で中国にプレッシャーを加えねばならなかったのか。その背景には2025年までに中国が製造強国の仲間入りする「中国製造2025」や、中華人民共和国が建国100周年を迎える2049年までにトップクラスになるというロードマップ「中国製造2049」などの中国の国家戦略の存在がある。5G、特にその基地局の主導権を中国に握られた場合、大規模停電を引き起こされるなどして原発や病院などの重要インフラに重大なインシデントが出ることや、インテリジェンス情報などの機密情報が中国に抜き取られることなど、安全保障分野への影響を憂慮している。5Gは「中国製造2025」の目玉となっており、中国政府は党や政府直轄の大型国有企業への支援だけでなく、ファンドなどを通じて国をあげて支援している。米国はこうした中国の急進的な動きに苛立っており、情報ハイテク分野でカナダ、ニュージーランド、オーストラリア、英国、日本などとともに中国包囲網を形成し、5Gをリードするファーウェイを牽制する方向に足を踏み込み始めている。
(ファーウェイの次に米国の標的となる企業はどこか?)
ファーウェイはスマホ市場では既にアップルを抜き、サムスン電子に次ぐ市場2位となっている。基地局数世界トップの強みを生かし5Gで一気に市場のトップに躍り出ようとしていた矢先に今回の事件が起きた。中国政府は、私企業ではあるが、ファーウェイを踏み台にして中国の国家戦略「中国製造2025」の実現を狙っていただけに、ファーウェイの失速は大打撃となっている。5Gは4Gの100倍の速度を持つと言われ、スマホで現在は数分かかる映画のダウンロードが数秒で済み、IoTと連結することにより、医療分野では遠隔操作による手術を可能にし、自動運転車、軍事分野でも必要不可欠の技術となっているため、5Gを制する者は世界を制すとまで言われている。悪用すれば痕跡を残さずにソフトウエアで社会システムの書き換えができてしまう。ただ、直進性がないというのが5Gの最大の欠点であり、それを補う役割を担っているのが基地局である。現在、中国は基地局を増やし続けているが、それは中国政府の海外進出とセットとなっている。中国の基地局があるルートを一帯一路のルートと重ねてみると見事にその場所が重なる。2015年から3年間で新設した通信基地局数でみると中国のものが35万か所に対し、米国のものはわずかに3万か所しかない。中国が国家戦略に従って着々と行動を進めてきたことが基地局の数からも見て取れる。
(米国がファーウェイの基地局を制裁などの標的にしてくる可能性)
今後、米国がとってくる手段として考えられるのはファーウェイの基地局を制裁などの標的にしてくることである。極論だが、ファーウェイやZTEの基地局や設備を使用している通信会社には「セキュリティ上の問題」を理由に米国との通信が遮断される可能性が出てくる。現在、世界の基地局はノキア、エリクソン、ファーウェイ+ZTEの3つの陣営に分かれているが、結果として今後はノキアとエリクソンの比率が上がることになるかもしれない。ポジティブにとらえるならば日本のメーカーの出番が出てくるなど日本企業にとってのチャンスが出てくる可能性もある。
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米中関係は既に新たな段階に入っている(12月15日)
(新たなフェーズに入った米中関係)
ファーウェイ・孟晩舟最高財務責任者を米国政府の要請を受け、カナダが逮捕したことをきっかけに米中貿易戦争は安全保障もからんだ米中ハイテク戦争という新たなフェーズに突入していることが明らかになった。孟氏は、保釈金を支払い、追跡可能な電子タグの装着や、全てのパスポートの提出に応じることで保釈された。ファーウェイは安価で高性能なスマホで有名だが、本業は通信インフラの構築にある。...
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(新たなフェーズに入った米中関係)
ファーウェイ・孟晩舟最高財務責任者を米国政府の要請を受け、カナダが逮捕したことをきっかけに米中貿易戦争は安全保障もからんだ米中ハイテク戦争という新たなフェーズに突入していることが明らかになった。孟氏は、保釈金を支払い、追跡可能な電子タグの装着や、全てのパスポートの提出に応じることで保釈された。ファーウェイは安価で高性能なスマホで有名だが、本業は通信インフラの構築にある。次世代通信網5Gにおいては世界中の通信インフラの主導権を握りつつある。ファーウェイは私企業であり、ZTEのような国有企業ではないが、仮に中国政府がファーウェイに対しネットワークを壊す指令を下した場合には、この命令に従うほかなく、世界のネットワークがマヒする可能性もあるという安全保障上の大きな脅威となっている。すでに米国政府や関係機関は情報漏えいのリスクがあるとして、ファーウェイ製品の排除を決定し、日本政府も、政府調達の通信機器から事実上ファーウェイを排除することを決定した。その一方でトランプ大統領は、「中国との貿易交渉に役立つのであれば、私はこの事件に介入するだろう」などと発言し、物議をかもしている。
(米国の軟化の兆しを見て取った中国)
この発言によって、中国はファーウェイ幹部逮捕事件を司法案件ではなく政治案件としてトランプ大統領が捉えている可能性もあり、交渉次第では訴追を免れることができると受け取っている可能性がある。少なくとも11日のトランプ発言で米国の軟化の兆しを受け取った中国はすぐに行動に出た。一連の米中貿易戦争の報復合戦の中で中国は米国から輸入する自動車や自動車部品合計211品目について関税を40%に引き上げていたが、14日、唐突に15%に引き下げると発表したのだ。これを受けて米国がどのような動きに出るのかが注目されるが、3月1日に期限を迎える90日間の交渉中は緊張していた米中関係は緩和する方向に進む可能性がある。もちろん交渉に進展がなければ中国が再び関税を引き上げる可能性や、報復合戦がより過激化する可能性もゼロではないが、日本としては米中関係が適度な緊張関係にあった方がいいかもしれない。多くの専門家も指摘しているように、米中関係が落ち着くと米国の次の矛先が日本との貿易戦争に向かう可能性が高いからである。
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連絡取れないカナダ人・中国外務省・身柄拘束を認める(12月13日)
通信機器大手・ファーウェイ・孟晩舟副会長が米国の要請を受けたカナダ当局によって逮捕された事件。
昨日に続き中国に滞在中の別のカナダ人、北朝鮮と海外との交流などを行う組織を運営しているマイケルスパバも拘束されていた。
初めに中国での拘束が明らかになったのは休職中の外交官・マイケルコブリグ。
中国外務省は報復措置ではないかとの見方を問われると「法と規則に基づいて行動を取っている」と述べるに留めた。
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