中国外相が米国務長官との会談でタリバン支援求める(2021/08/30)
中国外務省によると、王毅外相がブリンケン米国務長官と電話会談で、国際社会はアフガニスタンのタリバン新政権を支援すべきとの考えを示したという。
8月30日付
『ロイター通信』は「世界が前向きにタリバンを導くべき、中国外相」との見出しで以下のように報道している。
中国外務省によると、王毅国務委員兼外相が29日、ブリンケン米国務長官と電話会談し、国際社会はアフガニスタンのタリバン新政権と対話し「前向きに導くべき」との考えを示した。王毅氏は、「米国は国際社会と協力し、アフガニスタンに経済・人道的支援をすべき。新政権が通常に機能し社会の安定を維持し、通貨下落や物価上昇が収まるよう支援すべきだ」と述べた。...
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8月30日付
『ロイター通信』は「世界が前向きにタリバンを導くべき、中国外相」との見出しで以下のように報道している。
中国外務省によると、王毅国務委員兼外相が29日、ブリンケン米国務長官と電話会談し、国際社会はアフガニスタンのタリバン新政権と対話し「前向きに導くべき」との考えを示した。王毅氏は、「米国は国際社会と協力し、アフガニスタンに経済・人道的支援をすべき。新政権が通常に機能し社会の安定を維持し、通貨下落や物価上昇が収まるよう支援すべきだ」と述べた。また、ダブルスタンダードや選択的なテロとの戦いを否定した。中国国営メディアは、電話会談は米国の招待で実現したと報じた。
以前米当局は、アフガン撤退はバイデン政権の外交政策の優先事項で、米国内の軍政府指導者をインド太平洋や中国からの脅威に集中させるものだとの見解を示していた。中国は正式にタリバンをアフガニスタンの新政権とは認めていないが、王毅氏は先月、ムラ・バラダール氏を招き、国際社会が政権移行を支援すべきだと述べ、8月の電話会合ではブリンケン氏に、米軍の早期撤退は「深刻な影響をもたらす」がアフガニスタンの安定のため米国に協力する旨を伝えていたという。
王毅氏は、アフガニスタンや気候変動に関する今の米中関係について、敵対よりも対話や協力がベターで、中国がどう米国側と折り合うかは、米国側の中国への態度次第だとしている。
8月28日付中国『サウスチャイナモーニングポスト』は「アフガン危機を最優先議題として米中ハイレベル会合が再開」との見出しで以下のように報道している。
中国軍ソースによると、先週、米中軍がバイデン大統領就任以来初めてとなるハイレベル会合を行ったという。
米国防総省側とのビデオ会合は、アフガニスタン危機が最優先議題で、両国代表は軍同士のオープンな会合の重要性を維持する点で一致したという。
中国側は、アフガニスタン問題がリスクマネジメント上最も重要とし、王毅外務相は米軍撤退により非常に危険な状況になると理解し、今年初旬のアラスカ会合にこの問題を取り入れたが、米国側が無視したという。中国軍は米大使館を通し協議を試みたものの、先週の電話会合が初の高官レベル会合となった。
中国が危惧するのは、東トルキスタンイスラム運動(ETIM)などの過激派がアフガニスタンで勢力を広げることである。アフガニスタン危機に比べると、南シナ海問題は大きな問題ではなくなった。緊張は高まっているが、両国は行動規範やリスクマネジメントへの見解を交換し合っている。
27日、中国は米国の誘導ミサイル駆逐艦キッドと沿岸警備隊の巡視船カッターが、台湾海峡を通過したことを批判。度重なる挑発行為から、「米国が一番の平和の破壊者だ」と中国国防省スポークスマンであるタンケ・フェイ氏は述べている。
米国は対中政策を国家安全保障上の中核に置き、バイデン政権は中国との敵対を今世紀「最大の地政学的試練」とする。米中関係は益々緊張が高まり、台湾、香港、新疆の人権問題から南シナ海での軍事活動に至るまで、2大国は対立している。
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中国、依然として米国における不法フェンタニルの主な供給源(2021/08/26)
アメリカの米中経済安全保障検討委員会は24日、中国が依然として、「不法なフェンタニルおよびフェンタニル関連物質の主要な原産国である」と発表した。中国の製造業者は、米国に直接出荷するのではなく、原料をメキシコに送り、そこでカルテルが薬物を製造し、国境を越えて配送しているという。
香港の
『サウスチャイナモーニング・ポスト』は、米国議会の諮問委員会が発表した報告書によると、中国の化学工場から米国への致死性合成麻薬フェンタニルの流入を阻止するという約束を、中国は今のところ果たしていない、と報じている。
米中関係の国家安全保障について米国の議員に助言する米中経済安全保障検討委員会(USCC)は、「中国は依然として、米国で取引される不正なフェンタニルおよびフェンタニル関連物質の主要な原産国である」と結論づけた。...
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香港の
『サウスチャイナモーニング・ポスト』は、米国議会の諮問委員会が発表した報告書によると、中国の化学工場から米国への致死性合成麻薬フェンタニルの流入を阻止するという約束を、中国は今のところ果たしていない、と報じている。
米中関係の国家安全保障について米国の議員に助言する米中経済安全保障検討委員会(USCC)は、「中国は依然として、米国で取引される不正なフェンタニルおよびフェンタニル関連物質の主要な原産国である」と結論づけた。
しかし、麻薬の多くはもはや中国から直接輸送されておらず、代わりに原材料をメキシコに送り、カルテルがそれをフェンタニルに製造してから南部国境を通して米国に届けてられていると報告書は述べている。米麻薬取締局は、フェンタニルはヘロインの50倍の効力を持っていると説明している。
2年前、習近平国家主席はドナルド・トランプ前米大統領に対して、中国当局がフェンタニルの製造と流通を取り締まると約束した。報告書によると、中国当局はその後、「判明している製造拠点の調査を強化し、不正なフェンタニルを販売しているウェブサイトを取り締まり、出荷規則の施行を開始し、特別調査チームを設置した。しかし、化学・製薬産業に対する規制や取締りは依然として脆弱であり、中国の密売人たちは、規制を回避する巧妙な手段で、アメリカにフェンタニルを送り続けているという。中国の密輸業者は、フェンタニルの完成品を製造する代わりに、メキシコのカルテルに原料を輸出し、メキシコのカルテルがフェンタニルを製造して国境を越えて販売している。
『エポックタイムズ』によると、米国では、2020年の合成オピオイドによる過剰摂取による死亡者数が5万6千人を超え、2019年から2万人の増加となり、過去最多となった。
報告書はまた、中国のマネーロンダリング業者がメキシコの麻薬カルテルの犯罪活動を支援するために活動していると述べている。米国の検察当局は近年、複数の中国人を麻薬カルテルのマネーロンダリングの容疑で起訴している。
報告書によると、米中当局は協力して一部のフェンタニルの違法ネットワークを解体したものの、両者の協力関係は「現場ではまだ限定的である」としている。「米中の麻薬対策協力、特に取締りと刑事訴追には両国で大きな差がある」と述べている。報告書は、中国の規制当局は、フェンタニルを作る材料となる物質が作られている可能性のある場所への立ち入り検査を遅らせることが多く、「違法な事業者が敷地から逃げ出し、片付けたりするのを許してしまっている」という。
今年の4月、密輸をしていた中国人が一人、数千万の麻薬資金を伴う中南米のカルテルのマネーロンダリングを巡ってイリノイ州で14年の禁固刑を言い渡された。しかし、その捜査を行う際、米国は非公式に支援要請を複数回出したにもかかわらず、中国当局から何の支援も受けることができなかったという。
報告書は、元麻薬取締局捜査官のジェフリー・ヒギンズが2018年に「中国は米当局に協力しているように見せかけようとしているだけで、何の改革も実施していない」と語っていたことも引用している。
なお、麻薬の密輸の増加が指摘されている米国南部国境では、米『フォックスニュース』の報道によると、7月だけで、国境警備隊が遭遇した移民の数は21年ぶりの高水準となる21万2千人で、これは、6月の18万9千人に比べて13%の増加であり、バイデン大統領の就任以来、毎月増加しているという。国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカース長官は8月中旬、「国境が最初の防衛線であるならば、我々は負けるだろう。これは持続不可能だ。これを続けていたらだめだ。現場の人間も耐えられないし、我々のシステムもそれに対応していない。」とテキサスの国境警備隊員に話していたことが明らかになっている。
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