エクアドル、中国と締結した協定により約50億ドルの損害(2022/04/04)
エクアドル議会の監視委員会は、3月30日に発表された200ページに及ぶ報告書の中で、中国との取引で石油1バレルあたり約3.60ドル(約441円)を失い、その結果、50億ドル(約6000億円)近くの損失を被ったことを明らかにした。
アルゼンチンのニュースサイト
『インフォベイ』によると、当時のラファエル・コレア大統領は2009年から2016年にかけて、中国共産党と一連の協定を結び、融資と引き換えに中国に同国の石油を市場価格より安く提供した。議会の監視委員会報告書によると、現政府はエクアドルが中国から180億ドル(約2兆円)以上の融資を、国際通貨基金(IMF)などの銀行機関との協定から得られるものよりはるかに高い金利で借りていたことを発見したという。...
全部読む
アルゼンチンのニュースサイト
『インフォベイ』によると、当時のラファエル・コレア大統領は2009年から2016年にかけて、中国共産党と一連の協定を結び、融資と引き換えに中国に同国の石油を市場価格より安く提供した。議会の監視委員会報告書によると、現政府はエクアドルが中国から180億ドル(約2兆円)以上の融資を、国際通貨基金(IMF)などの銀行機関との協定から得られるものよりはるかに高い金利で借りていたことを発見したという。コレア元大統領が合意した金利は「金融コストを含まない」状態で7%以上であった。
この借金の返済のために、2024年までに13億2500万バレルの原油をペトロチャイナ、ユニペック・アジア、PTTインターナショナル・トレーディングの3社に引き渡すことを約束した。エクアドルは、原油の実際の市場価値とは無関係な固定価格に同意し、他の買い手に原油を売ることができたであろう価格を大幅に下回る価格で原油を販売した。報告書によると、エクアドルは現在でも87%の原油を実際の価格より低い価格で中国企業に販売しており、現在の価格高騰を考えると特に深刻な損失であることがわかった。エクアドルはこの取引の一環として、これまでに11億7400万バレルを中国に売り渡している。
エクアドルのEl Comercio紙によると、議会監視委員会の委員長はこの調査結果を「国の石油史における最大の汚職スキャンダルだ」と嘆いた。委員長は、コレア元大統領がこの取引に署名したとき、石油取引を仲介する高価な仲介業者を排除し、中国のような経済大国と戦略的提携を結べる方法として、エクアドル国民にこの取引を売り込んだものの、「全く逆であった」と説明した。そして、石油会社の幹部が石油自体の値引きと引き換えにコレアの幹部を買収したことを示唆する証拠があると述べた。監視委員会は、賄賂の疑いを調査することを発表した。
一方、香港の『サウスチャイナモーニング・ポスト』は、米国の議員や専門家たちが上院公聴会で3月31日、米国が西半球での影響力をめぐって、中国にますます劣勢に立たされていると証言したことを伝えている。エドワード・マーキー上院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)は、「中国には計画があるが我々は計画を持っていない。」と指摘した。
国務省、国際開発庁、国際開発金融クラブ(IDFC)の関係者は、労働、環境、腐敗防止の基準がしっかりしたプロジェクトを推進・宣伝することで、南米における中国の膨大な投資、人材、政治的イニシアティブを鈍らせようと努めていると述べた。それには、中国のパートナーと契約する際にしばしば隠されているコストを強調することも含まれるとし、中国が建設と資金提供を行ったエクアドルのダム、コカ・コード・シンクレアの例を挙げた。
2016年に正式にオープンして以来、コカ・コード・シンクレアは7600以上の亀裂が生じ、主要な石油輸出パイプラインを破壊し、先住民のコミュニティに混乱を起こし、地域に数十億ドルの負債を負わせたにもかかわらず、まだ完全に稼働することができていない。国際開発金融クラブ(IDFC)トップのアンドリュー・M・ヘルコヴィッツ氏は、「中国は中国の繁栄だけを優先し、しばしば地元住民の繁栄を損なっている」と述べている。
しかし、米国の行政官たちは中国の影響力に対抗する上で資金難が大きな障害となっていることを認めている。例えば、中南米諸国のほとんどが中所得者層であるにもかかわらず、IDFCは最貧国でのプロジェクトへの融資に限定されているが、中国にはそのような資金調達の制約がないという。
また、米議会内で意見がまとまらないことが原因で、南米地域の大使のポスト8つが空席となっており、各種プログラムも資金不足に陥りがちであることが指摘された。これに対して中国は、戦略的技術への投資、5Gネットワークやその他のインフラへの組み込み、軍事同盟の構築、政治的関係の構築、影響力を得るためのプロジェクトへの早期参加など、現地で積極的な働きかけを行っている。
その結果、中国政府からの経済的・外交的圧力が南米地域にも及ぶようになっている。例えば、中国からの圧力で、台湾との外交関係を解消する国が増えており、ワシントンでは警鐘が鳴らされている。台湾の自治領を認めている14カ国のうち8カ国が南米地域にあるが、最近エルサルバドル、ニカラグア、パナマが中国寄りの立場に切り替えた。米国務省の西半球担当副次官補であるケリー・ハナン氏は、「我々の最大の目標の一つは、各国が中国の承認を求めるように誘導する中国の積極的なキャンペーンに対抗することにある」と述べている。
閉じる
中国、2022年の最貧国からの債務返済額は140億ドル(約1兆7千億円)になる見込み(2022/03/29)
中国の国立大学である復旦大学のグリーンファイナンス&ディベロップメントセンターは、世界で最も貧しい68カ国が、今年530億米ドル(6兆5千億円)近くを債権者に支払わなければならないと予測している。上海にある同研究センターが発表した報告書によると、この金額のほぼ4分の1に当たる140億ドル(約1兆7千億円)は、これらの国々への主要な支援国の1つである中国の懐に入ることになるという。
香港の
『サウスチャイナモーニング・ポスト』によると、同報告書は、2020年末時点で、68カ国が中国の様々な金融機関に対して、二国間の公的債務として合計約1100億米ドル(約14兆円)を負っており、2019年の1050億米ドル(約13兆円)から増加していると推計している。中国は、世界銀行の国際開発協会に次ぐ最大の単独債権者であったという。中国の公的債権者への返済コストは、2022年には8カ国において国民総所得の2%を超えると見られている。...
全部読む
香港の
『サウスチャイナモーニング・ポスト』によると、同報告書は、2020年末時点で、68カ国が中国の様々な金融機関に対して、二国間の公的債務として合計約1100億米ドル(約14兆円)を負っており、2019年の1050億米ドル(約13兆円)から増加していると推計している。中国は、世界銀行の国際開発協会に次ぐ最大の単独債権者であったという。中国の公的債権者への返済コストは、2022年には8カ国において国民総所得の2%を超えると見られている。アンゴラが最も悪い状態に置かれており、利子の支払いと過去の借入の元本の返済のために、国民所得のほぼ5%を中国に負っている。
また報告書は、中国は債務救済対象国の主要債権者であることから、「他の国よりも債務再編のための二国間・多国間支援を行う責任と機会がある」と記している。中国は債務救済に参加しているが、他の国際的な貸し手は中国の融資の総量についてもっと透明性と明確性を必要としているとも指摘されている。
2020年末、中国政府は、パンデミックを通じて貧しい国々を支援する国際的な取り組みのもと、20億米ドル(約2500億円)以上の債務について債務返済義務を停止したと発表した。しかし、その取り組みは2021年12月に終了した。
仏『レゼコー』によると、モラトリアムの終了に伴い、地球上で最も貧しいとされる国々は、今年から再び公約を守らなければならなくなる。そのうちの17カ国は、中国が最大の債権者である。
中国政府は、トンガとジブチの負債の55%、ラオスの負債の52%、カンボジアの負債の44%を保有している。そして、中国がその国の最大の債権者でない場合でも、世界銀行に次ぐ債権者になっていることが多い。8カ国が2022年に国民総所得の2%以上を支出し、中国への債務の一部を返済しなければならない。アンゴラとジブチがそれぞれ国民総所得の4.9%と3.9%に相当する返済額でトップに来ている。続いて、トンガ(2.8%)、ラオス(2.8%)、モルジブ(2.7%)、ザンビア(2.6%)、コンゴ(2.4%)、サモア(2.3%)と5カ国が続く。
なお、米『ブライトバート』によると、英BBCは1月、ウィリアム&メアリー大学のAidDataプロジェクトの報告書を引用し、「中国の途上国への融資の半分は公式の債務統計で報告されていない」とし、途上国の財政状況は公式の数字に基づく報告よりもさらに悪いと思われると伝えている。
BBCは、ジブチ、ラオス、ザンビア、キルギスの債務残高を計算すると、年間GDPの20%近くにもなるとして、AidDataの報告書は、中国の金融業者への債務リスクがGDPの10%を超える低・中所得国が現在40カ国以上あると報告している。
こうした帳簿上のごまかしは、中国の一帯一路インフラ融資の大部分が名目上「民間」銀行を通じて行われているため、政府間の送金と同様に世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの機関に報告されないことで可能となる。
報告書は、「中国は対外貸付の記録を公表しておらず、契約の大部分には非開示条項があり、借り手はその内容を明らかにすることができない」と付け加えている。
AidDataは、中国に対する「隠された債務」の例として、59億ドル(約7千億円)の中国とラオスを結ぶ鉄道プロジェクトを挙げている。ラオスでは完全に帳簿から外されているが、ラオスにはGDPの3分の1に相当する非公式債務が課されている。報告書は、「中国政府は、他の公的債権者よりもリスクの高い国のプロジェクトに資金を提供することに積極的だが、返済待ちの列の先頭に立つことに関しても他の債権者よりも積極的だ」と指摘している。
閉じる
その他の最新記事