中国は今年初め、内陸部上空の混雑緩和を理由に、台湾海峡上空に4つの民間航空路を一方的に設定した。これに対して台湾は、新航空路が実質的な軍事境界線と位置付けられる中台中間線に近く、かつ、台湾の領土である金門島(ジンメンタオ)・馬祖島(マンツータオ)の外側であることから、安全保障上重大な懸念があると非難した。そしてこの程、中国の航空会社2社から申請された、春節(今年は2月16日)期間中の増便について不認可とした。更に台湾は、台湾海峡における中国海軍の戦艦などによる頻繁な軍事演習に対抗して、この程実弾演習を実施して精一杯抵抗する姿勢をみせている。
2月1日付英
『デイリィ・メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「台湾、中国が一方的に設定した航空路問題が今後の中台関係に影響すると表明」
台湾の中国大陸外事委員会は1月31日晩、中国が一方的に設定した台湾海峡上空の新航空路問題がどのように解決されるかによって、台湾人にとっての中台関係の行方が占われることになると表明した。
中国側は今年初め、台湾の了解なしに一方的に、台湾領土の2つの島の外側に民間航空路を設定した。...
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2月1日付英
『デイリィ・メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「台湾、中国が一方的に設定した航空路問題が今後の中台関係に影響すると表明」
台湾の中国大陸外事委員会は1月31日晩、中国が一方的に設定した台湾海峡上空の新航空路問題がどのように解決されるかによって、台湾人にとっての中台関係の行方が占われることになると表明した。
中国側は今年初め、台湾の了解なしに一方的に、台湾領土の2つの島の外側に民間航空路を設定した。これに対して台湾側は、安全保障が脅かされると反発し、中国の航空会社2社から出された春節期間中の増便申請を不許可とした。
なお、中国は、2016年に台湾独立派と考えられる民主進歩党の蔡英文(ツァイ・インウェン)党首が総統に就任以来、一つの中国政策を強引に推し進める方針を取ってきている。
同日付中国『新華社通信』:「春節期間の増便不許可は“台湾人に被害”」
中国の国務院台湾事務弁公室の馬暁光(マー・シャオカン)報道官は1月31日、台湾が春節期間中の中国航空会社の増便申請を不許可としたことで、中国在留の台湾人等5万人に不便を強いることになると表明した。
中国東方航空と厦門(シャアメン)航空2社は、春節期間中にM503ルートを飛行する176便の増便を申請していたが、台湾当局は、大陸から台湾への航路(M503南下ルート)は安全保障上問題(民間航空機に戦闘機が紛れ込む恐れ等)だとして不許可としている。
なお、台湾から大陸への航路(M503北上ルート)は2015年3月、中国内陸部上空の混雑緩和を目的として中台間で合意されている。
一方、1月31日付米『ニューズウィーク』誌:「台湾、中国の侵略脅威に対抗するため実弾演習実施」
台湾軍は1月30日、台湾東部中央の花蓮(ホァリエン)港において、中国軍の侵略を想定して実弾演習を実施した。
台湾軍はこれまで、春節前に軍事演習を実施してきたが、今回は、偵察機が軍艦の侵入を想定した哨戒飛行を行い、戦車はヘリコプターに向けて火炎砲を発射し、また、F-16戦闘機も地上の敵部隊を殲滅させる等の実戦演習であった。
黄凱森(ホァン・カイセン)中将は、春節期間中も台湾国民の安全を確保するため、台湾軍は24時間体制で対応していくと語った。
台湾軍は、中国軍の侵略に対抗するためだとはっきり表現してはいないが、台湾海峡を安定化させ、国防に備える必要があるとしている。
一方、中国軍は最近、台湾海峡での演習を頻繁に実施し、また、今年になっても国産空母“遼寧(リャオニン)”に2度同海峡を航行させて、中台間の緊張を高めてきている。
なお、『ワシントン・フリー・ビーコン』オンラインニュースは昨年10月、中国軍が2020年までに台湾を侵略する極秘計画を作成しているとの内部資料があると報じている。
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