世界が見るイラン核交渉大枠合意(2015/04/03)
ぎりぎりの交渉が続いていた主要6か国(中国、フランス、ドイツ、英国、ロシア、米国)とイランによる、イラン核協議の大枠の合意が成立(イランは10年間核開発を制限、欧米は段階的に制裁を解除など)した。最終的な合意は6月までにまとめられる予定。合意を受けてオバマ大統領が演説し、「今回の枠組みはイランの核開発につながるあらゆる道を断つことにつながる」と述べ合意の成立を歓迎、その模様はイランにも実況中継された。このところ外交で失点続きだったオバマ外交だが、"イラン核問題解決の最良の道は外交"と一貫して主張してきたオバマ外交を評価する声も出ている。ただ合意後にイラン側が”制裁はなくなる”と主張したのに対し、米国は”段階的に制裁を解除し違反があれば制裁を元に戻す”としているなど解釈の違いも表面化しており、6月の最終合意まではまだまだ楽観視できない。 各国はイラン核交渉大枠合意について、以下のように報じた(一部NHKBSワールドニュースを参照した)。
4月3日付
『BBC』(英国)は「今回、オバマ大統領のスピーチがイランではめずらしく実況中継された」とした上で、「オバマ大統領は”最終的な包括合意が実現できるのならば世界はより安全になり、今回の了解事項が歴史的なものとして記憶されるだろう”として、今回の大枠合意を歓迎した」と報じた。また「イランとの核交渉は、イスラエルの生存を脅かすものだと主張しているネタニヤフ首相のスポークスマンが、”(イランとの妥協は)核拡散のリスクを高め、聖戦のリスクを高めるものだ”との声明を発表した」と報じた。...
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4月3日付
『BBC』(英国)は「今回、オバマ大統領のスピーチがイランではめずらしく実況中継された」とした上で、「オバマ大統領は”最終的な包括合意が実現できるのならば世界はより安全になり、今回の了解事項が歴史的なものとして記憶されるだろう”として、今回の大枠合意を歓迎した」と報じた。また「イランとの核交渉は、イスラエルの生存を脅かすものだと主張しているネタニヤフ首相のスポークスマンが、”(イランとの妥協は)核拡散のリスクを高め、聖戦のリスクを高めるものだ”との声明を発表した」と報じた。さらに、「当初の目的からはかけ離れた困難な出発になった。イランに対する制裁を米国が段階的に解除する前に、オバマ大統領は議会に対して取引内容の詳細を説明する必要がある」との米共和党のベイナー下院議長の発言を紹介した。
4月3日付
『ABC』(米国)は、「今回の合意の内容は枠組の合意に過ぎない。これから数ヶ月は厳しい交渉が続くことになる」と報じ、イランが約束を守らなければ「枠組み自体の崩壊の可能性はある」とのケリー国務長官の発言を伝えた。
4月3日付
『AFP通信』(フランス)は、「合意の発表を受けてテヘランには数百人の人々が道路を埋め尽くし、行き交う車は祝砲のクラクションを鳴らした」と報じた。
4月3日付
『F2』(フランス)は「最終的には、イランが約束を守るかどうかにすべてはかかっている」と伝えた。
4月3日付
『ZDF』(ドイツ)は「外交筋は、今すぐ大喜びできるものではないとしているが、歴史的一歩であることは間違いない」と報じた。
4月3日付
『フォーブス』(米国)は「イラン核交渉の大枠合意成立は、米国共和党、イスラエル、北朝鮮にとっては悪いニュースだろう」と報じた。
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世界が見るネタニヤフ首相の米議会での演説(2015/03/04)
イスラエルのネタニヤフ首相が米国の上院・下院合同議会で演説し、「現在、米国が進めているイランとの核協議ではイランの核開発を防ぐことはできないし、イランが大量の核兵器を持つことにもつながりかねないものだ」と述べ、イランとの対話路線を推進するオバマ大統領を非難した。ネタニヤフ首相の演説はオバマ大統領も含め56人の民主党議員が欠席し、ネタニヤフ首相の演説に対し、オバマ大統領は「建設的な提案はひとつもなかった」と批判し、首脳会談も開かれないことになった。ネタニヤフ首相の米議会での演説は、米国とイスラエルの溝を浮き彫りにしただけでなく、米国自身も内部に分裂を抱えていることを内外に露呈した恰好となった。各国はネタニヤフ首相の米議会での演説について、以下のように報じた(一部
『NHKBS』ワールドニュースを参照した)。
3月4日付
『ワシントンポスト』(米国)は、「ネタニヤフ首相がイラン核問題での自国の立場を主張するも、米国の選択肢は限られている」との見出しで、「ネタニヤフ首相の演説は米国が主導するイランとの合意について影響力を持つものではないが、この問題の解決をこじらせ、遅らせる可能性はある」と報じた。
3月4日付
『BBC』(英国)は、「オバマ大統領がネタニヤフ首相の演説に反論」との見出しで、「ネタニヤフ首相の演説はイランと米国の核問題交渉の妨害を目論むものであり、米国の外交政策に対する直接的な干渉だった。...
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3月4日付
『ワシントンポスト』(米国)は、「ネタニヤフ首相がイラン核問題での自国の立場を主張するも、米国の選択肢は限られている」との見出しで、「ネタニヤフ首相の演説は米国が主導するイランとの合意について影響力を持つものではないが、この問題の解決をこじらせ、遅らせる可能性はある」と報じた。
3月4日付
『BBC』(英国)は、「オバマ大統領がネタニヤフ首相の演説に反論」との見出しで、「ネタニヤフ首相の演説はイランと米国の核問題交渉の妨害を目論むものであり、米国の外交政策に対する直接的な干渉だった。ネタニヤフ首相の批判者からは、ネタニヤフ首相が自国での政治的ポジションを優位にするために、米国とイスラエルの緊密な関係を利用しているとの声が挙がっている」と報じた上で、「民主党のリーダー、ナンシーロペス議員はネタニヤフ首相から米国の政策をこけにされ、演説の間中泣いていた」と報じた。その上で、「確かにイスラエルから見ればイランは脅威であることには間違いなく、ネタニヤフ首相の演説が多くの米国人を魅了したのもまた事実だ。オバマ大統領は3月31日のイランとの合意に向けて、ネタニヤフ首相の演説以上に説得力のあるロジックを持って人々を説得していく必要がある」と指摘した。
3月4日付
『AFP通信』(フランス)は、「ネタニヤフ首相がイランとの核交渉問題でオバマ大統領を非難」との見出しで、「イスラエルでは同盟国の外交手法に関して、ネタニヤフ首相が無謀にも干渉したということに懸念の声が挙がる一方で、”米国の上院・下院合同議会で演説の機会を与えられたこと自体に感動している”との声もあった」と報じた。また「ネタニヤフはイランの平和的な核開発について嘘を広めている」とのイラン外務省のアフハム報道官の発言を紹介するとともに、「EU外交政策チーフのフェデリカモゲリーニ氏がイランとの合意が近づく中で、”(イスラエルが)イランに対する恐怖を広げることにならないよう望む”と、ネタニヤフ首相に釘を刺した」とイランとEUの反応も伝えた。
3月4日付
『ZDF』(ドイツ)は「ネタニヤフ首相の対イラン政策批判は、オバマ大統領にとっては挑発行為だった」と報じた。
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