2月15日付
『ザ・ネーション』誌(1865年創刊の米最古のリベラル系週刊誌):「バイデン大統領、東アジアに対して軍事的対応政策」
バイデン新政権は、1月20日の発足以来、トランプ前政権が国際社会に示した政策とは明確に異なった外交政策をいくつか取り始めている。
まず2月4日、ジョー・バイデン大統領は国務省での演説で、サウジアラビアが主導したイエメン内戦に参画し続けることを止めると発表した。
これには、バーニー・サンダース上院議員(79歳、バーモント州選出)ら革新系議員が称賛しているが、更に彼らを喜ばせるように、同大統領は、2015年のイラン核合意交渉を主導したロブ・マレー氏(57歳、弁護士・政治学者)をイラン特命全権公使に任命した。
同大統領は演説の中で、主要同盟国と“連携”して事に当たると宣言した上で、“我々の敵や競争相手とは外交を通じて交戦していくことが米国の利益につながる”と強調している。
一方、新政権のアジア政策では、ここ数年で最も好戦的な戦略を取ろうとしている。
同大統領は先週、国防総省を訪れた際、アジア政策においてはもっぱら、中国の軍事力及び経済力の台頭を阻止することに注力すると明言した。
その数日前、米海軍は、中国を牽制するため、南シナ海に2つの空母打撃群を派遣している。
更に、同大統領就任後に囁かれていることは、中国の支援を受けている北朝鮮に対して、オバマ政権(2009~2017年)のときと同様に厳しい対応を取っていくとみられており、金正恩総書記(37歳)にとって再び危機を迎える可能性がある。
対アジア強硬政策を推進する一環で、同大統領は、オバマ政権下で国務次官補(東アジア・太平洋担当)であったカート・キャンベル氏(63歳、外交官)を国家安全保障会議・“インド太平洋問題”首席顧問に起用した。
同氏は、顕著な反中国思想家であり、アジアに対して冷戦を仕掛けることに熱心である。
同氏は、オバマ政権時代から今回の起用に繋がるはたらきをしてきていて、当時の政権が推進した“アジア重点政策”の名付け親であり、その方針の下で米軍部隊を中東からアジアへ移転させている。
そこで同氏は今後、アントニー・ブリンケン国務長官(58歳)及びアブリル・ヘインズ国家情報長官(51歳)の支援を得ながら、オバマ政権時代と同様、北朝鮮の核開発を断念させるために、軍事的圧力、極秘サイバー攻撃、更には経済制裁継続で揺さぶるとみられる。
なお、同氏は熱心な親日家のひとりで、日本をアジア政策における要としてみており、保守系の与党・自民党と連携していく上で重要な役割を演じると見込まれる。
また、他の専門家やシンクタンクが評価しているのと同様、同氏は韓国を日米共同政策推進の従属的パートナーとみており、この連携で以て、北朝鮮の核兵器開発を諦めさせ、また、中国の軍事力拡大を阻止しようと考えている。
一方、同氏は2007年、国防政策アドバイザーのミッシェル・フルーノワ氏(60歳)と共同で、タカ派の軍事問題シンクタンクである新米国安全保障センター(CNAS、本部ワシントンDC)を設立しているが、両代表含めてCNAS幹部数人がオバマ政権の国務省・国防省高官として重用されており、今回のバイデン政権でもCNASが二軍的なはたらきをするものとみられている。
すなわち、経済政策シンクタンクの経済・政策研究センター(1999年設立、本部ワシントンDC)が先週公開した報告書によると、バイデン政権もキャンベル氏含めて少なくとも13人をCNASから起用したという。
更に、同報告書によると、CNASは、韓国や日本に駐留する米軍に武器等を提供している軍需産業-原子力関連企業のゼネラル・アトミックス(1955年設立)、世界最大の航空宇宙機器開発・製造会社ボーイング(1916年設立)、世界有数の防衛宇宙複合企業ゼネラル・ダイナミクス(1899年設立)、航空機・宇宙船の開発製造会社ロッキード・マーティン(合併によって1995年設立)、軍用機・軍艦等の製造大手のノースロップ・グラマン(合併によって1994年設立)、世界最大のミサイルメーカーのレイセオン(1925年設立)から資金援助を受けているという。
なお、国務省のネッド・プライス報道官(38歳)は先週、バイデン政権では目下、対北朝鮮政策について見直し中であるが、“米同盟国及び友好国との協議”が整い次第、具体的施策実行に移ることになると発表している。
ただ、ブリンケン長官は既に、北朝鮮が核開発計画中止に向けての具体的措置を講じるまで、対北朝鮮圧力政策を実施していく意向を示唆している。
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して移民流入に対処しながらトランプの移民政策をどう転換していくかという3つの課題があるとしている。2月7日付米国
『CNBC』は「中国とは熾烈な競争だがトランプ政権とは違うアプローチ方法をとる」との見出しで以下のように報道している。
バイデン政権は中国とのし烈な競争を想定しているが、そのやり方は、前大統領とは一線を画すものとしている。バイデン大統領は、「国際ルールに従い、トランプとは違う方法をとる。対立しないのが理想だが、激しい競争は避けられないだろう」としている。
CBSのインタビューでバイデン氏は、先月の就任以来中国とは電話会談を行っていないとし、「私は習氏をよく知っている。副大統領時代、他の世界のリーダーより多くの時間を過ごした。聡明で、手ごわい相手。批判するつもりはないが、彼の中に民主主義のという概念はみじんもない。」と述べている。
トランプ政権下、米中の緊張関係は高まった。過去4年トランプ氏は知的財産権侵害、貿易不均衡、コロナ禍等の様々な問題で 中国を批判してきた。
中国による経済課題に直面するだろう。中国を最も重要な競争相手だとしている。国務省でバイデン氏は、米国の利益となれば、中国問題に対処する準備がある。
バイデン氏に代わり、週末、ブリンケン国務長官が中国の楊潔琳(中央外務委員会事務局長)と電話会談を行った。電話で、ブリンケン氏は台湾問題などで中国に説明責任を求めるとし、ミャンマーで起きた軍事クーデターを非難するよう中国に求めた。
同日付米国『ポリティコ』は「バイデン、習氏や中国との交渉はトランプとは違う方針で」との見出しで以下のように報道している。
中国と米国の関係において、ジョー・バイデン大統領は中国の習首席に前任大統領とは違う方針をとる意向を示した。
CBSの「フェース・ザ・ネーション」のインタビューで、バイデン氏は「習氏は非常に聡明で手ごわい相手。批判ではなく、真実として、彼の中には民主主義という概念はみじんもない」と指摘。「常に彼には対立すべきでないと伝えてきたが、激しい競争となるだろう、そして私は国際的ルールに則ることに注力し、彼が思うやり方とは違う方法、トランプとは違うやり方をとるつもりだ。」としている。また、1月就任以来電話会談を行っていない習氏との関係は長く、副大統領時代に世界の首脳の中で一番多くの時間を共有しているとしている。
同じ番組で、リンゼー・グラム上院議員は、中国外交は最も重要な国際問題の一つだと指摘。バイデン政権には、トランプと違った方法でいかにイランと向き合うか、いかに中国と向き合うか、そ
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