ロシア、経済制裁・原油価格低迷にも拘らず北極海油田開発に邁進【米・ナイジェリアメディア】(2017/10/25)
10月12日付Globali「中ロ関係はやはり盤石-原油供給も人的交流も」で触れたとおり、世界最大の原油消費国である中国向けのロシア産原油供給量は、今やサウジアラビアを遥かに凌駕する事態となっている。習近平(シー・チンピン)国家主席の下で、経済は安定し、今後も大量の原油消費が継続すると期待してのことか、ロシアは、欧米の経済制裁に伴う資金不足や、原油価格が低迷する中にあっても、リスクのある北極海(注後記)の油田開発に積極的に取り組んでいる。
10月24日付米
『USAトゥデイ』 :「ロシア、北極海油田開発に賭ける」
ロシアは、欧米からの経済制裁や原油価格低迷にも拘らず、北極海の油田開発に賭けている。
今年4月、国営石油会社のロスネフチは、北極海のラプテフ海(東シベリア沖)内のカタンスキー認可域で油田掘削に取り掛かった。そして今月初め、同海域で産出可能な8,000万トン超の原油賦存(5億8,640万バレル相当)を確認したと発表した。...
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10月24日付米
『USAトゥデイ』 :「ロシア、北極海油田開発に賭ける」
ロシアは、欧米からの経済制裁や原油価格低迷にも拘らず、北極海の油田開発に賭けている。
今年4月、国営石油会社のロスネフチは、北極海のラプテフ海(東シベリア沖)内のカタンスキー認可域で油田掘削に取り掛かった。そして今月初め、同海域で産出可能な8,000万トン超の原油賦存(5億8,640万バレル相当)を確認したと発表した。
試掘した原油は、軽質油で低硫黄の良好なものという。また、地質データによれば、同海域には2億9,800万トン(21億8,400万バレル相当)が賦存するとする。
ウラジーミル・プーチン大統領に近い人物でもある、ロスネフチのイーゴリ・セーチン会長は、北極海油田開発に今後も積極的に取り組んでいくと述べている。
一方、ドミトリー・メドベーチェフ首相は8月末、北極海の資源開発及びシベリア地域の経済振興のため、2025年までに27億8,700万ドル(約3,149億円)を投入すると発表している。そして、その一環で、2021~2025年に4億1,450万ドル(約468億円)を投じて、石油・ガス施設、資源開発・探査用機材等を整備するとしている。
なお、専門家によれば、北極海油田からの原油生産量が、2050年までにはロシア全体の20~30%まで上昇するものとみられるという。
一方、同日付ナイジェリア『ザ・ネーション』 紙:「ロシア、7ヵ月連続で中国向け原油の最大供給国に」
中国税関総署のデータによると、今年9月のロシア産原油輸入量は一日当り154万5,000バレルと、昨年同月比+60.5%増加している。そして、3四半期(1~9月)累計でも昨年同期比+18%、一日当り120万バレルになり、最大供給国となっているという。
ロシア産原油が低価格であることと、中国内にクリーン・ディーゼル化の波が押し寄せていることが背景にあるとみられる。専門家によると、ロシア産原油は低硫黄分であることから、排ガス規制が厳しくなっている中国にとって必要な品質という。
一方、原油供給量2位はアンゴラ(アフリカ南西部の共和国)で、+11.7%で一日当り114万バレルである。そしてサウジアラビアは、+9.6%で一日当り104万バレルであるも、全体3位に後退している。
なお、ロシア産原油の2018年供給量は更に増える見通しである。それは、民間複合企業の中国貨信能源(CEFC China Energy)が今月初め、世界最大の石油会社であるロスネフチに91億ドル(約1兆1,830億円)を投資することを決めた際、同社から一日当り22万~26万バレル相当の原油を購入することに合意しているからである。
(注)北極海:ユーラシア大陸、グリーンランド、北アメリカ大陸などによって囲まれた海。米国、ロシア、カナダ、デンマーク、ノルウェーの5カ国に囲まれている。北極点は北極海内にある。世界の未発見の石油・天然ガスのうち4分の1以上が海底に埋蔵されているとみられている。地球温暖化による北極海の気候の温暖化・海氷の減少によって、これらの資源は開発が容易になることが想定されており、開発計画も多数存在する。
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米・英・ロシア・マレーシア・中国メディア;中国、やはり南シナ海軍事拠点化促進(2016/12/15)
11月28日付
Globali 「米政権交代期にアジアに睨みを利かせる中国」及び12月12日付
同 「中国軍、東シナ海で飛行訓練再実施」で触れたとおり、中国は、米大統領交代期に米国のアジアへの睨みが疎かになっている隙に、軍事演習を頻繁に行ったりして東アジアにおいて威圧的な対応を取っている。そして、更に現実になったことは、習主席が軍事拠点化はしないと言っていた南シナ海において、中国が一方的に埋め立てて築いた人工島全7島に対空機関砲等を装備していることが判明した。
12月14日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』 :「中国、人工島の防衛強化」
「●米リサーチ社アジア海洋活動透明性追求団体(AMTI)のグレゴリー・ポーリング代表は12月14日、中国が南シナ海の人工島全7島に対空機関砲やミサイル迎撃システム等の最新兵器を装備していることが衛星写真から判明したと発表。
●ポーリング氏は、昨年オバマ大統領と会談した際に、習近平(シー・チンピン)主席が南シナ海を軍事拠点化することはないとした発言を否定するものとコメント。...
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12月14日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』 :「中国、人工島の防衛強化」
「●米リサーチ社アジア海洋活動透明性追求団体(AMTI)のグレゴリー・ポーリング代表は12月14日、中国が南シナ海の人工島全7島に対空機関砲やミサイル迎撃システム等の最新兵器を装備していることが衛星写真から判明したと発表。
●ポーリング氏は、昨年オバマ大統領と会談した際に、習近平(シー・チンピン)主席が南シナ海を軍事拠点化することはないとした発言を否定するものとコメント。
●これに対して米国務省のジョン・カービー報道官は、人工島を武装する必要性は全く考えられず、従って中国の動静を今後とも注意深くみていくと表明。
●軍事専門家は、中国が今後更に戦闘機や長距離ミサイルを人工島に配備するとなれば、近隣諸国と脅威となり新たな国際問題を惹起しかねないので、中国はそこまで軍備強化することはあるまいとコメント。」
同日付英
『ロイター通信英国版』 :「米シンクタンク:中国が人工島に兵器類を装備していると発表」
「●米シンクタンクのAMCIによれば、今年6、7月以来、南沙(スプラトリー)諸島のファイアリークロス、ミスチーフ、スビ岩礁上に築かれた人工島に軍用に資する滑走路を整備済み。
●そして更に、11月に撮影した衛星写真から、ガベン、ヒューズ、ジョンソン、クァテロン岩礁上の人工島に、最新兵器が装備されていることが判明。
●AMCIポーリング代表は、中国はあくまで防衛上の話と弁解するかも知れないが、かかる最新鋭兵器を装備することは軍事拠点化の紛れもない証拠だとコメント。
●米国務省のカービー報道官は、南シナ海の領有権問題を平和裏に解決するため、(中国含めて)どの当事国にも岩礁埋め立て、施設建設、更には軍事化することを控えるよう、引き続き要求していくとコメント。」
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』 :「衛星写真から中国の“軍事拠点化”が明らかになったので、米国は中国に対して“厳しく対応していく”と表明」
「●米太平洋軍ハリー・ハリス司令官はシドニー(豪州)での講演会で、中国の南シナ海軍事拠点化は絶対許容されることではなく、必要とあれば近隣諸国に協力して中国と対峙することも辞さないと発言。
●更に同司令官は、ドナルド・トランプ新政権となっても、米国の“恒久権益”に変更はないと明言。
●これに対して中国外交部の耿爽(ゲン・シュァン)報道官は12月14日、米国はこれまでどおり、南シナ海問題に余計な口をはさまず、関係当事国が対話によって問題解決を図ろうとして努力を尊重すべき、と表明。」
12月15日付マレーシア
『ザ・ネーション』 オンラインニュース:「中国、南シナ海で軍備増強」
「●AMCIによれば、衛星写真から装備されたのは最新鋭大型ミサイル迎撃システムなどで、米国他同盟国が空軍基地に配備しようとしているクルーズ・ミサイルに対応するものであるのは明らか。」
一方、同日付中国
『環球時報』 (
『新華社通信』 配信):「中国、米国に対して南シナ海問題に口をはさまないよう警告」
「●中国外交部の耿報道官は、ハリス太平洋軍司令官の“中国対峙”の発言に対して、域外国が南シナ海問題に口をはさめば、いらぬ緊張を高めるだけなので、当初の約束どおり 黙って見ているべきだと警告。
●更に同報道官は、米国防総省高官が、台湾の軍備強化の必要性に触れたことに対しても、米国には改めて、かつて発表の3つの米中共同声明にある“一つの中国”原則を尊重するよう求めると付言。」
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